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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.222

「劇的ビフォーアフター」と岩井ワールドが合体『建築学概論』で味わう“蛇の生殺し”感覚!

kenchikugakugairon1.jpg『建築学概論』でヒロインの大学1年生時を演じたスジ。
あらゆる男性を初恋に悶え苦しんだ郷愁の時代へ誘う“人間タイムマシン”だ。

 史上最高の美女は果たして誰か? クレオパトラ、エリザベート、グレース・ケリー、それとも壇蜜? いやいや、どんな美女も敵わない無敵の美女は他にいる。自分の思い出の中に閉じ込めてある初恋の女性に勝る美女はいないだろう。記憶というフィルターが掛かっている分、美しさが数倍アップし、その甘美な魅力はいつまでも色褪せることがない。初めて自分の体じゅうにアドレナリンを駆け巡らせた女性は、それだけ特別な存在だ。彼女持ちや妻帯者たちの多くが初恋の女の子に関する記憶を収集した“思い出の小部屋”を脳内に設け、厳重に鍵を掛けて他の女性が立ち入れないようにしている。だが、そんな秘密の扉のロックを簡単に解錠してしまう映画が現われた。韓国映画『建築学概論』がそれだ。映画を観ているうちに、自分自身が物語の主人公となり、ヒロインに自分の初恋の相手の面影を重ね合わせていることに気づく。自分だけのものだったはずの初恋の思い出がスクリーンに次々と大きく映し出されていることに驚く。

 『建築学概論』は韓国で2012年に公開され、400万人以上を動員した大ヒット作。男性客のリピーターが続出し、初恋ブームなるものが起きたそうだ。主人公は30代半ばの建築士のスンミン(オム・テウン)。仕事は熱心だが、会社の業績には貢献できずにいる売れっ子建築家には程遠いタイプ。そんなスンミンの前に、謎の美女ソヨン(ハン・ガイン)が現われ、済州島にある実家を取り壊すことになったので新築する家の設計をお願いしたいと頼む。スンミンは新居の建築プランについて打ち合わせを重ねるうちに、大学1年生のときに建築学を学び始めたことを思い出していく。その頃、一緒に建築学概論の授業を受けていた女の子の存在が、スンミンの記憶の底から鮮やかに蘇ってきた。依頼主のソヨンこそ、大学生だったスンミンが狂おしいまでに想い続けていた初恋の女性だったのだ。その初恋の相手が15年ぶりに自分を訪ね、しかも学生時代より洗練された大人の女性となっているではないか。こりゃ、たまらん設定だッ。

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