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週刊アニメ時評 第53回

キャッキャウフフと見せかけ、意外と骨太!『ステラ女学院高等科C3部』が急展開

suterac3.jpg『ステラ女学院高等科C3部』公式HPより

 女子高校生たちが泥まみれになってサバイバルゲームに燃える青春模様が話題を呼び、一説には世間に「サバゲー女子」なる存在を生み出しつつあるというアニメ『ステラ女学院高等科C3部』。以前、この連載でもリアルなサバゲーシーンが見どころだと書きましたが、物語も折り返し地点を過ぎたあたりで、本作は主人公・大和ゆらの見せる「自己承認欲求がもたらす危うさ」という意外なメッセージを発し始めました。

 ゆらはもともと極度の引っ込み思案、かつ妄想癖のある性格で、どちらかというとコミュ障的な要素を持つ内気な少女でした。しかし、そんな自分を変えようとステラ女学院に入学。そしてサバゲーを行う「C3部」に入部し、新たな自分に出会っていくという成長ドラマが本作の一つのテーマとなっています。

 当初はBB弾飛び交う戦場に恐れをなして、身動きが取れなかったりあっさり敵に投降したりと、内気な性格が災いしてチームに迷惑をかけていたゆらですが、長かった髪を切り、心機一転。サバゲーに真面目に取り組むようになってからは、目覚ましい成長を遂げ始めます。果敢に敵陣に飛び込み、情け容赦なく敵を一掃していくなど、一気にエースクラスの活躍を繰り広げ、たちまちチームの中核的存在となると同時に、どんどん社交的な性格になっていきます。

 ここまでなら、いわゆる「内気な少年・少女が意外な才能を発揮して自己実現を達成する成長譚」という、割とよく見る展開なのですが、そんなゆらの戦いぶりにC3部の先輩・鹿島そのらだけは何か思うところがある模様。そんな彼女の目線に気づいた視聴者は、ゆらの抱える危うさに直面することになります。

 それまでは内気な性格もあってか、深く他人と接することもなく、それゆえに誰かを傷つけるような行動は見せなかったゆらですが、サバゲーの才能を発揮し始めると、徐々に好戦的(もしくは無鉄砲な)な側面を見せます。その片鱗が見えたのは第5話。他校とのゲームに勝利し、C3部一同はゆらを中心に喜びを分かち合いますが、そのらだけは、勝利しか目に入っていない言動を見せたゆらにどこか不安そうな表情。続く第6話では文化祭の出し物として、部員同士によるゲームを披露することになりますが、そこでもゆらはギャラリーを巻き込みかねない危険なプレースタイルでそのらに勝ってしまいます。

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