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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.237

同性に惹かれ合う美少女たちの甘く危険な世界!『ジェリー・フィッシュ』の新進女優が眩しい

jerryfish01.jpg「女による女のためのR-18文学賞」作品の映画化シリーズの第2弾『ジェリー・フィッシュ』。主演の大谷澪と花井瑠美が新鮮な魅力を放つ。

 海の中をフワフワと浮遊するクラゲたちの群れは、忘却の彼方にある記憶を思い起こさせる。その昔、人間の先祖はまだ水溜まりの中で暮らす小さな原生動物であり、無性生殖によって仲間を増やしていた。つまらないモラルもなく、男女の性別もなく、とてもシンプルで美しい生き物だった。修学旅行先の水族館で水槽いっぱいに群生するクラゲに見とれていた夕紀は、同級生の叶子に声を掛けられてハッとする。2人が口を利くのは初めてだったが、静かな水槽の前でじっとクラゲの群れを並んで見つめた。ひんやりとした海底に2人きりでいるような気分だった。いつの間にか手を繋いでいた2人は口づけを交わして、その場を離れた。それは夕紀にとって生涯忘れられない恋の始まりだった。映画『ジェリー・フィッシュ』は、女子高生2人の甘く危険な恋愛の始まりから破局まで、その短くて掴みどころのないフワフワした一生を描いた官能ドラマだ。今なおカルト的な人気を博している『1999年の夏休み』(88)の金子修介監督が少女たちの繊細な世界を美しく幻想的に撮り上げている。

 高校生の夕紀(大谷澪)はクラスの中で浮いており、いつもひとりぼっちで図書館で過ごしていた。そんな夕紀の孤独な姿が、友達に囲まれている人気者の叶子(花井瑠美)には風変わりで新鮮に映った。修学旅行から帰ってきて、学校内で夕紀と叶子が会話を交わすことはなかったが、放課後のバス停で2人は人目を忍んで口づけを重ね続けた。女の子同士の口づけはとても柔らかくて気持ちよくて、まるで2人は元々は一体のクラゲだったかのようだ。やがて叶子は夕紀の部屋に遊びに来るようになり、2人はベッドの上で戯れる。好奇心旺盛な叶子はお互いの首を締め合うというプチSMプレイを提案する。叶子に嫌われたくなくて、夕紀はそのプレイを受け入れる。少女たちは性の概念が希薄なだけでなく、生と死の分別もまだ曖昧だった。酸欠状態で気を失った夕紀は、海を浮遊するクラゲたちの一部になっていた。

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