日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 石原慎太郎は同性愛嫌いじゃない

“同性愛嫌い”ではなかった!? 石原慎太郎が書いた「BL小説」のすごい中身

61kDoM-YL6L._SS500_.jpg『石原慎太郎を読んでみた』(原書房)

 ロシアが今年施行した「同性愛宣伝禁止法」という同性愛差別を肯定した法律によって、ソチ冬季五輪のボイコット運動が世界各地で勃発している。この騒動を見ていてつくづく思うのは、石原慎太郎が都知事を辞めていてよかったということだ。ご存じの通り、石原といえば数々の“同性愛差別発言”で知られる人物。同性愛者に対し「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう」と暴言を吐いたり、過激な性表現が焦点となっていた都青少年健全育成条例改正案をめぐる発言でも、なぜか「テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になりすぎている」と論点と思いきりズレた話を展開し始めたりと、賛成派さえ困惑に陥れたことも。

 プーチンにも負けず劣らずの、同性愛を憎悪するホモフォビア日本代表──。しかし、そんな石原に思わぬ過去があった。なんと、こともあろうかBL小説を書いていたというのだ。

 石原がしたためたBL小説とは、『待伏せ』という1967年に発表された短編。今では読むのが困難な作品だが、これを発掘しているのが、書評家・豊﨑由美と評論家・栗原裕一郎の対談本『石原慎太郎を読んでみた』(原書房)だ。

 同書によれば『待伏せ』は、石原がベトナム戦争真っただ中に現地へ取材に出かけた後に執筆した作品。ベトコン討伐のために掘った穴で夜を過ごす主人公が、「光も音も何もない空間で、だんだん現実感が薄れていって、自分の身体感覚すらも失われてしまう極限状態」が描かれているという。

 問題はここからだ。主人公は状況にたまらなくなり、隣のカメラマンに手を伸ばす。すると、相手もぎゅっと指を握り返すのだ。そして、<二人の手は互いに躊躇しながらさぐり合い、相手を握りしめる>のである。さらに物語は、<いつ離していいのか迷いながら、二つの手はからんだまま、地の上に置かれてあった>と続く……。

12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【1月期の冬ドラマ、最終回へ】視聴率・裏事情・忖度なしレビュー

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

茂木幹事長「吉野家」の領収書

今週の注目記事・1「『茂木幹事長』の卑しい『...…
写真
イチオシ記事

『R-1グランプリ』全ネタレビュー【前編】

 9日に行われたピン芸人日本一決定戦『R-1グランプリ2024』(フジテレビ系)は、漫談一筋20年の街裏ぴんくが優勝。賞金500万円を手にした。 ...…
写真