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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.269

“聖なる儀式”としてのカニバリズム(人肉嗜食)! 伝統を尊ぶ一家に代々伝わる秘密のレシピ『肉』

nikumovie_main.jpg田舎で暮らすパーカー家に伝わる“伝統料理”を題材にしたR18映画『肉』。みんなが同じ料理を食することで、家族の絆を固めている。

 降雨のシーンは映画の中で“浄化”を意味する。米国・ニューヨーク州郊外にある小さな田舎町を舞台にしたR18映画『肉』は、冒頭で延々と雨が降り続ける。よほど浄化されなくてはならない深い罪がこの町には隠されているらしい。この町では昔から行方不明者が後を絶たない。残された家族の悲しみが豪雨となって降り続けているかのようだ。氾濫した川は土砂を押し流し、深く埋められていた白骨死体が発見される。死体を調べてみると、人為的に解体され、しかも茹でられていることが分かった。静かなこの町には食人鬼がいる……! そして、この町は身を潜めて暮らす食人鬼にとって格好の狩猟場だったのだ。

 子どもの頃に昔話『かちかち山』を読んで、おじいさんが“ばばぁ汁”を「おいしい、おいしい」と飲むくだりに衝撃を受けた人は少なくないだろう。楳図かずおの人気コミック『漂流教室』でクラス委員の大友くんが死んだ仲間を丸焼きにして食べるシーンはトラウマ級のインパクトがあった。人間が人間を食べる“カニバリズム”は、現代人が最も忌み嫌うタブー中のタブーだ。それゆえ、文学や映画の題材としてたびたび取り上げられてきた。武田泰淳原作の『ひかりごけ』(92)やイーサン・ホーク主演作『生きてこそ』(93)は実在の事件を再現し、人間の脳みそをソテーする『ハンニバル』(01)は大ヒットした。それこそホラー映画には多数の食人鬼が登場してきたが、トランスフォーマー配給の『肉』(原題『We Are What We Are』)が興味深いのは、カニバリズムを土着信仰や食文化の側面からアプローチしている点にある。

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