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パリ、台湾、スペイン、サンフランシスコ……禁断のハッテン場漫遊記『世界一周ホモのたび 祭』

61r6-dklvbL.jpg『世界一周ホモのたび 祭』(ぶんか社)

 『世界一周ホモのたび 祭』(ぶんか社)は、めくるめく禁断のホモ旅をのぞき見ることができる大人気シリーズの第3弾。本書は、デブ好きでフケ専のホモライター・サムソン高橋氏の原作を基に、派手好きで露出好きのホモ漫画家・熊田プウ助氏がイラスト描く“ハッテン(場)漫遊記”である。その内容は、ふたりが元ホモ雑誌編集者時代の同僚ということもあり、かなり詳細で、あけっぴろで、最初から最後までぶっ飛んでいる。熊田氏のユーモアあふれるかわいらしいタッチのイラストに惹かれ、軽い気持ちでページをめくると、性へのあくなき探求心……いや、ホモの方々だけが知るディープな世界が広がり、ページをめくった瞬間から「わー、わー、わー!!!」と叫びたくなる。

 第3弾では、“祭”という名のタイトルにふさわしく、台湾で6万人の参加者が集まった世界最大級のゲイパレートや、ヨーロッパ中のゲイが参加するパリのゲイパレード、サンフランシスコの革とSMの祭典「フォルサムストリートフェア」などのイベントをはじめ、ゲイバーやゲイサウナ、ハッテン便所ほか、いわゆる“ハッテン場”と呼ばれる世界各国のゲイスポットを、短編マンガで紹介している。

 一言で“ホモ”といえど、プロレスラー的に鍛えた太めのガチホモ、パッと見でいかにもホモとわかる独特ファッションに身を包んだイカホモ、美青年系などいろいろなタイプがいるそうで、高橋氏自身は40代の自称ブス系で、好みは冒頭で書いた通り、デブ好きのフケ専。その筋では、角●卓造氏のようなタイプがかなりの高級物件だという。そんな高橋氏が「ブスだから相手にされない!」と怒りながらも、デブフケ系を狙い、グイグイと積極的にアプローチしては撃沈を繰り返していく姿がこの本の見どころとなっている。

 終始非常に濃密な下話が続くのだが、ラストは同姓婚が認められているスペインで、輝くようなイケメン親父に「パリはキャンセルしてしばらくこの家にいたら? 君が望むなら好きなだけ」と求愛されるも断り、「また今度」と涙でお別れ……という、ちょっと切ないエピソードで締められている。

 ……と、「イイハナシダナー」のまま終わればいいのだが、直後のコーナー「サムソン高橋×熊田プウ助 ハミ珍対談」での会話がひどい。

高橋:編集者から<いつもハッテンでモテない話ばっかり! 恋愛エピソードはないの?」ってリクエストがあって、そんなものない体験の中で必死に探して書いたのがこの話で、その原稿が送ったら、ソッコーで返事がきて、<すっごいムカつく!>って。

熊田:その編集者の気持ちはよくわかるんだけど、ひどい話ね。

高橋:(いや、)熊田さんが仕事の途中にツイッターで「(原作に絵を)描きながら不愉快で体調がおかしくなりそうです」とかってつぶやいてたんだよね……。

熊田:ぜんぜん覚えてないわ。あまりムカついたから記憶から消去したのかしら。

高橋:おふた方の反応を見て、ああ、自分はモテないままのほうが皆さんに幸せを届けられるんだな、と改めて実感しましたよ。だから今後の目標としては、読者の幸せ配達人としてこれからもモテないままでいたいですね。

熊田:そこはいちいち目指さなくても、今のままで大丈夫だから。

 こんなふたりが描く、ホモ旅の世界。読者は非常にニッチな層に思えるのだが、第3弾まで出ているということは、いわゆる“ノンケ”の方々からも需要があるのかも!? ホモとノンケの世界の架け橋になる1冊かもしれない。
(文=上浦未来)

最終更新:2014/10/09 21:00
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