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快進撃を続ける園子温最新作『新宿スワン』 綾野剛が“へタレ三枚目”に初挑戦!

swan0529.jpg(C)2015「新宿スワン」製作委員会

 今週取り上げる最新映画は、歌舞伎町の裏社会に生きる男たちのサバイバルを描く邦画と、米大学のアカペラ部で全国大会を目指す女子大生らのハーモニーが響くハリウッド作品。舞台は異なるが、いずれも本気の勝負と熱い絆で成長する主人公の成長ぶりが見どころの痛快作だ。


 『新宿スワン』(5月30日公開)は、「ヤングマガジン」(集英社)で8年間連載された和久井健の同名人気漫画を、『地獄でなぜ悪い』(2013年)の鬼才・園子温監督が実写映画化した作品。一文無しで歌舞伎町にやって来た白鳥龍彦(綾野剛)は、窮地をスカウト会社バースト幹部の真虎(伊勢谷友介)に助けられた縁で、新人スカウトマンとして働き始める。借金を背負った風俗嬢アゲハ(沢尻エリカ)との出会いや、過去の因縁から敵対するスカウトマン秀吉(山田孝之)の思惑が、龍彦を過酷な試練へと導いてゆく。

 バイオレンスとエロスの表現を追求し快進撃を続け、2015年は実に5作品の公開を予定している園監督。今年第1弾となる本作では、原作漫画の世界観を尊重しながらも、歌舞伎町の華やかさと猥雑さ、裏社会の男たちの熾烈な戦いを持ち前のエネルギッシュな演出で鮮やかに描く。クールな二枚目役が多い綾野だが、今回はヘタレな三枚目から経験を積んで「男を上げる」設定のため、前半では珍しくヘン顔にも挑戦。スリリングな駆け引きと激しい死闘を繰り広げる男優陣に、沢尻のほか山田優、真野恵里菜ら女優陣もそれぞれの持ち味で魅せる。

 『ピッチ・パーフェクト』(公開中)は、『マイレージ、マイライフ』(09年)、『イントゥ・ザ・ウッズ』(14年)のアナ・ケンドリックが主演したコミカルな音楽青春ムービー。音楽プロデューサーを夢見るベッカは、父親に説得され仕方なく入学した大学で、歌唱力を買われて女性アカペラ部に入部する。仕切りたがり屋の部長のもと、個性豊かだが協調性のない部員たちと全国大会を目指すことになったベッカは、周囲と衝突したり騒動を起こしたりする中で友情を知り、成長していく。

 日本でも大人気のドラマ『glee』シリーズと同様、学校の落ちこぼれ軍団が音楽を通して団結し、迫力のボーカルと美しいコーラス、華麗なステージパフォーマンスで輝くという大筋。ブロードウェイミュージカルの演出家としてキャリアを築いたジェイソン・ムーアが本作で監督デビューし、主演のケンドリックも12歳のときミュージカルでデビューした筋金入りの歌姫といった具合に、音楽とパフォーマンスへのこだわりは別格だ。一方で、『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』(12年)のレベル・ウィルソン扮する「ふとっちょエイミー」の自虐ギャグや、ゲロ、エロなどの下ネタで笑いも満載。続編『ピッチ・パーフェクト2』が早くも今月全米公開され、同日公開の超大作『マッドマックス 怒りのデスロード』に大差をつけて週末興収1位となったことも話題だ。gleeファンをはじめ、音楽映画好きに強くオススメしたい傑作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『新宿スワン』作品情報
http://eiga.com/movie/80344/

『ピッチ・パーフェクト』作品情報
http://eiga.com/movie/77562/

最終更新:2015/05/29 23:00
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