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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第107回

「待たせたな!」久々に帰ってきた“ザ・王道”朝ドラ『あさが来た』

asagakita1019.jpgNHK連続テレビ小説『あさが来た』

「待たせたな!」

 山本耕史演じる新選組副長・土方歳三が、画面に向かって叫んだ時、「待ってました!」と多くのドラマファンが歓喜した。なにしろ、10年余りの時を経て蘇ったのだ。

 2004年に放送された三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ『新選組!』で、山本は土方を演じた。この作品はドラマファンの記憶に深く刻み込まれており、放送終了から10年以上たった今でも語り草になっている名作だ。主演の香取慎吾はもちろん、このドラマで一躍知名度を上げた堺雅人や藤原竜也、オダギリジョーといった若い世代の俳優たちが、瑞々しい青春群像劇のような大河ドラマを作り上げた。その中で山本は、ドラマ上でもドラマ外でも、チームのまとめ役としてドラマを引っ張る存在だった。正直、放映開始前は他の主役級のキャストと比べると格落ち感があり、『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)での車いすの内気な弟役のイメージが強く、彼が“鬼の副長”役でホントに大丈夫かという不安が拭えなかった。だが、終わってみれば、山本主演のスピンオフドラマが作られるほど、彼の土方歳三はハマり、愛されたのだ。

 その山本演じる土方が、まさかNHK朝ドラで“復活”するなど、思いもよらなかった。朝ドラで初めて江戸時代後期、つまり幕末を舞台にした『あさが来た』ならではのことだ。だが、単に“幕末の京都・大阪が舞台だから、新選組を出してドラマファンにサービスしよう”というだけなら、ファンはそこまで歓喜しない。むしろ、安易に大事なキャラクターを使うな、と反発していただろう。そうならなかったのは、彼の登場に“必然性”があったからだ。

 それはまず、“史実”通りという点だ。『あさが来た』は、起業家の広岡浅子をモデルにしたあさ(波瑠)がヒロインの物語である。モデルの浅子は、両替商の加島屋(ドラマでは加野屋)に嫁ぐ。その加島屋で、新選組が金を借りた借用書が土方歳三の署名入りで見つかっているのだ。だから、ドラマで土方が登場するのは必然だ。

 だが、それだけでは物語上の必然性はない。“史実にあるから土方を出します”“どうせ出すなら、土方役で人気のある山本耕史にやってもらいましょう。同じNHKだし”というような安易な登場の仕方では、途端に安っぽくなってしまうし、その場面だけが浮いてしまう。

 そこで『あさが来た』では、この土方の登場が、物語上大きなターニングポイントになるように脚色したのだ。ヒロインのあさは、自由奔放でおてんば。彼女と結婚した新次郎(玉木宏)から見ると、“子ども”でしかなかった。実際、結婚後も新次郎はあさと夜を共にすることなく、毎夜のように出歩いていた。

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