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2016年のスタートを飾る名作がめじろ押し! トム・ハンクス『ブリッジ・オブ・スパイ』ほか

Bridgemain(C)2015 DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC and TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION.

 今週の当コーナーは特別編として、「オススメの2016年年明け公開映画」を取り上げたい。映画館に居ながらにして、時間と空間を超える旅や冒険を体験できる必見の3作品だ。

『ブリッジ・オブ・スパイ』(1月8日公開)は、スティーブン・スピルバーグ監督3年ぶりの新作で、米ソ冷戦時代の実話に基づくサスペンスドラマ。ニューヨークで保険法を専門とする弁護士ジェームズ(トム・ハンクス)は、FBIに逮捕されたソ連スパイ・ルドルフの弁護を引き受ける。正義の原則を貫き、死刑確実だったルドルフに懲役30年の判決をもたらす。これがきっかけとなり、ジェームズは5年後、米ソがそれぞれ捕らえたスパイの交換を実現するための交渉役として、東ベルリンへ派遣される。

『ファーゴ』(1996)、『ノーカントリー』(2007)でアカデミー賞計4冠のジョエル&イーサン・コーエンが脚本を担当し、米ソそれぞれで進行するドラマをこまめに切り替えるなど巧みな構成で緊張感を高める。「アメリカの良心」を演じさせたら当代随一のハンクスに、スピルバーグ監督による円熟の演出が相まって、ジェームズの葛藤と勇気、ルドルフとの心の交流が感動的に再現された。音楽の録音も素晴らしく、要所を的確に盛り上げている。

cimson(C) Universal Pictures.

『クリムゾン・ピーク』(1月8日公開、R15+指定)は、『パンズ・ラビリンス』(06)の鬼才ギレルモ・デル・トロ監督によるゴシックホラー。20世紀初頭のニューヨーク州で、10歳の時に死んだはずの母親を目撃して以来、幽霊を見るようになったイーディス(ミア・ワシコウスカ)。父親の不審死の後、英国から来た青年トーマス(トム・ヒドルストン)と結婚したイーディスは、トーマスとその姉ルシール(ジェシカ・チャステイン)と一緒に英国の「深紅の山頂=クリムゾン・ピーク」に建つ古い屋敷で暮らし始める。

 往年の怪奇映画の舞台を思わせるゴシック建築の荘厳な屋敷が、デル・トロ監督ならではの映像美で鮮明に、ムード満点で蘇る。実際、幽霊をはじめさまざまな怪奇現象が起きるが、本当に恐ろしいのは人間のほう。ワシコウスカ、ヒドルストン、チャステインの古風な美貌もゴシック様式の背景によく似合う。三者三様の愛憎が哀しくも恐ろしい、妖しい魅力に満ちた衝撃作だ。

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