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『悪意とこだわりの演出術』発売記念インタビュー

TBSバラエティ好調の立役者・藤井健太郎に訊く「サンプリング世代のテレビの作り方」

kfujii01.jpg撮影=尾藤能暢

 ちょっぴり下世話、ほどよい悪意、わかりやすさと深さの両立……。好調をキープするTBSバラエティの中心にいる男、藤井健太郎。『クイズ☆タレント名鑑』『水曜日のダウンタウン』『クイズ☆正解は一年後』など多くの人気番組を手がける彼が、このたび初の著書『悪意とこだわりの演出術』(双葉社)を上梓した。「日本のバラエティ界を担う若手ディレクターの雄」などと書かれるのを一番嫌がりそうな彼に、あえて聞いてきました。「今のテレビって、どうなんですか?」

***

――本書の中に「100人が1面白いと感じたことと、1人が100面白いと感じたことには同じ価値がある」とあって、藤井さんの番組の根底にあるものはこれだよなぁと、勝手に納得してしまいました。

藤井健太郎(以下、藤井) 面積論でいったら、一緒ですよね。どっちをよしとするかは人それぞれだし、テレビ局の商売としては広く浅くのほうがいいのかもしれないけど、有料のコンテンツは“少ないところからたくさん取る”というほうへ移ってきていますよね。みんなが共通で楽しめるものが少なくなっているから。目指すべきはもちろん、多くの人に面白いと思ってもらうことですけど、現状では僕らが得意とする方法でどれだけ面積を広げられるか、ですよね。僕はどちらかというと、広く浅く楽しめるものより、狭く深く……のほうが得意なのかも。とはいえテレビなので、狭くなりすぎることはない。あまりに狭かったら視聴率も取れなくて、自然淘汰されていくので。

――今テレビマンたちは、「視聴率」というものを、どのように捉えているのでしょうか?

藤井 もちろん、みんな視聴率で動いていますよ。制作の中心にあることは否めない。ただ一方で、商売としてはCMが売れればいいわけじゃないですか。だから、たとえ視聴率が取れていても、あまりに見ている層がお年寄りに偏っていると、意外とCMは売れなかったりする。視聴率とCMの売れ行きは、完全なイコールではないんですよ。そこに矛盾が出てきているのは確か。まぁ、そのうち変わってくるとは思いますが、今のところは視聴率が唯一の指標ではあるので「視聴率なんて関係ない」っていうのは、やっぱり違うかなと。それを成立させながら、その枠の中で何をやるのか、ですよね。

――「自分がトップで作っている番組より、誰かの下についた番組のほうが、視聴率がいい」とも書かれていました(笑)。

藤井 もうちょっと色が薄まったほうが、幅広く受け入れられるいい感じのやつができるんでしょう(笑)。とはいえ、自分は、自分が面白いと思う番組を作りたいわけで。

――藤井色を120%出したくなっちゃう。

藤井 出したくなるっていうより、気になっちゃうんですよ。「こうしたい」というより「これがイヤだ」のほうが強い。これイヤだ、これ気になる……ってやっていくと、結局自分っぽいものが残る。

――それで、編集なども、すべてご自身がやるということにつながっているんですね。ものすごい作業量なのでは?

藤井 めちゃめちゃ働いてますね(笑)。でも、誰かに「やれ」と言われたわけじゃなく、自分が気になるから、だけなんですよ。自己満足なんで、仕方ない。人が書いたナレーションも“てにをは”とかが気になって細かいところを直しだしたら、「あとはやっとくわ」って、自分で書いてしまう。ほら、ペンだこありますから。

――おお!

藤井 手書きかい! っていうのもあるんですけど(笑)。

――あと、すごく気になった箇所があったんですけど……

藤井 なんでしょう?

――「正直、テレビ業界の人はダサイ人が多いです」という。

藤井 そこか……これ、詳しく言わないとダメですか?(笑)

――ぜひ……。

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