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考えるな、感じろ――「デヴィッド・ボウイ」という宇宙をめぐる探検

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 イギリスのミュージシャン、デヴィッド・ボウイが地球を去ってから、1年がたつ。

 僕が、この世で一番好きな人だ。

 ここで紹介するには多彩すぎるそのキャリアの終着点、69歳の自らの誕生日にアルバムを発売し、その2日後に死去するという、必要以上の完璧さで彼は去った。

 多くの著名人から追悼コメントが寄せられ、SNSはR.I.P.で埋まり、数枚の追悼編集盤がリリースされた。僕自身も、極東の島国からボウイの死に際して文章(http://hyouri-t.jugem.jp/?eid=964)を書いた。

 あれから1年、2017年1月8日(ボウイが生きていたら、70歳になる日)、史上最大とうたわれるボウイの回顧展『DAVID BOWIE is』が日本にやってきた。

 世界9都市を回り、アジア圏では日本が初開催となる催しは、うたい文句通り、史上最大のボウイに関する博覧会で、おそらく未来においても、これほど巨大な企画は行われないと思う。ボウイにまつわる膨大な「証拠品」の数々が、だだっ広いスペースに陳列されている。「総括」にふさわしい著名な衣装、直筆のメモ、イラスト、楽譜、写真、映像……。見ても見ても終わらないそれは、明確な順路もなく、意図的に未整理に並べられているようだ。

 その「証拠品」たちは、ネット時代特有の感覚を想起させる。展覧会それ自体が、ボウイが言うところの、巨大な「記憶装置」のようだ。来訪者たちはさながら、未整理のハードディスクドライブの大海原に投げ込まれた小魚だ。

 そして膨大な情報が、ある種の「選択の権利」を与えてくれる。

 限られた時間の中で、すべてを享受することはできない。では、何を意識的に見て、何を無意識的に見ないのか?

 僕らはこの意識的な選択と、無意識的な拒否を繰り返すことで、ボウイの宇宙のミニチュアを自分の中に再構築する。精密なパーツを組み合わせて立派な宮殿を作る人もいるだろう。できるだけたくさんの情報から全貌に迫ろうとする人もいるだろう。まったく何かわからない奇妙なオブジェを作り上げる人もいるだろう。

 どれもいい。

 どれもが、デヴィッド・ボウイなのだ。

 つまり、デヴィッド・ボウイというのは「それ」なのだ。

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