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「プリキュアにはかなわない」という現実を超えて──ラノベレーベルにも乗り出す「キリスト新聞社」の目指す未来

「プリキュアにはかなわない」という現実を超えて──ラノベレーベルにも乗り出す「キリスト新聞社」の目指す未来の画像1「キリスト新聞」社長・松谷信司氏

「日曜日の朝は、特撮がありプリキュアもあり……まあ、勝てないですよ」

 真っすぐな視線から注がれる言葉には、諦めの先の希望があった。

 松谷信司は、キリスト新聞の編集長として、これまでもさまざまな試みを行ってきた人物である。聖書を題材に「モーセ召喚!!!」「聖書の世界を遊び尽くせ!!」をキャッチコピーにしたカードゲーム『バイブルハンター』。同じく聖書の人物が登場する『バイブルリーグ』。スマホで遊べるパズルゲーム『モーセの海割り』。

 宗教改革500周年を迎える今年は、宗教改革をテーマとするアナログゲームのコンテストを実施。この作品は『ルターの宗教大改革』のタイトルで、ルターが95カ条の論題を張り出した500周年の記念日となる10月31日に発売される予定だ。

 そんな新聞社が新たに発表したのが、キリスト教をモチーフにしたライトノベルレーベルの創刊だ。ライトノベル投稿サイト「トークメーカー」とコラボして行われている作品募集では、プロアマ不問はもちろんのこと、宗教不問・改宗不要とまで煽っている。

 近年、さまざまな宗教が現代社会のカルチャーを利用した試みを盛んに行っている。人気アニメとコラボする神社や、仏教アイドルなどが次々と現れている。そうした中で、キリスト新聞社の試みは、かなり特徴的に見える。

 それは、ここまでやっていいのかという“ユルさ”である。キリスト新聞は、いわゆる業界紙の中ですべての教派を扱う新聞である。創刊は1946年。日本のキリスト教界の中では伝統と権威のある新聞といえるだろう。それが、なぜここまで尖った試みを行うのだろうかということが引っ掛かった。

 これまでも、興味の赴くままに神社仏閣の現在を取材したことはある。その中には、神田明神しかり、了法寺しかり、サブカルチャーを利用して人々に働きかけようとするところも数多くあった。けれども、サブカルチャーを取り入れながらも、宗教としての立ち位置は鮮明に打ち出していたように感じている。それに比べると、キリスト新聞のゲーム、そしてライトノベルレーベルには、ぐっとユルさが感じられる。

 それに、是非の気持ちなどはない。むしろ、なぜここまでユルくするのだろう。そんな興味のままに取材のアポイントメントを取った。

■40歳の若社長が語る「キリスト教信仰の危機」とは?

 キリスト新聞社があるのは、神楽坂の筑土八幡の近く。近年、道路も改修され古くからの街並みは徐々に21世紀へと変貌しようとしている。そんな変わりつつある街の一角にあるキリスト新聞社の入居する建物は、明らかに昭和の雰囲気だった。古ぼけたコンクリートの建物。その4階にある編集部は、オフィスというよりも事務所という言葉が似合う空間である。多くの人が行き来した、色あせた階段や廊下の床には、どこか硬い芯のようなものが感じられた。

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