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『健康で文化的な最低限度の生活』不器用な才女役を好演の川栄李奈の方が、吉岡里帆よりも主役に相応しい?

フジテレビ系『健康で文化的な最低限度の生活』番組公式サイトより

 吉岡里帆が新人ケースワーカー役で主演を務めるドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)の第7話が28日に放送され、平均視聴率5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.4ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回は、主人公・義経えみる(吉岡)の同期で、頭脳明晰な栗橋千奈(川栄李奈)がメインの回。仕事をテキパキとこなし、新人ながら一目置かれる栗橋ですが、クールすぎるため同僚たちからはちょっぴり近寄りがたい存在だとみなされています。栗橋自身も密かにそのことにコンプレックスを抱き、愛嬌あるえみるに少しだけ憧れを抱いてなんかいたりします。

 そんな栗橋にとって頭痛の種となっているのが、生活保護受給者の中林吉徳(池田鉄洋)。中林はこれまで職を転々とし、1年前に姉を亡くして以降は、まったく勤労意欲を示さないのです。

 再三の忠告にもかかわらず、一向に求職活動をしない中林に業を煮やした栗橋は、生活保護停止への条件を明文化した指導指示書を手渡すことにします。しかし、この文書を手渡したことにより、中林が実は、字が歪んで見えたりする「識字障害」を患っていることが発覚。危うく障害者から保護を取り上げるところだったため、栗橋は課長の須永吉次(佐伯新)から叱責され、落ち込んでしまうのでした。

 中林と真剣に向き合っていなかったことを猛省した栗橋は、識字障害についてのリサーチを開始。そして、中林を精神科へ連れて行き、障害者手帳を取得してからハローワークへ求人に行く、という解決策を見出します。

 しかし、識字障害についての知識が不十分なハローワークの職員は、読み書きができない中林の職探しに、どことなく及び腰。その様子を見た栗橋は激怒するのですが、肝心の中林も就職に二の足を踏んでいることに気付き、口論となってしまいます。そこで中林から、会話の中で“障害”という言葉を連呼していたことを指摘され、「あんたが一番(苦しみを)わかってないよ」と非難されてしまうのでした。

 その後、ハローワークの職員からクレームがきたことなどもあり、栗橋は中林の担当を外されることに。須永から呼び出され、「目の前の人との会話をどれだけ大切にしてきましたか?」という説教を受け、大きく落胆してしまいます。

 一方、中林もまた、自分のために奔走してくれた栗橋に対し、心無いことを言ってしまったことを反省。胸にモヤモヤを抱きつつハローワークを訪れるのですが、そこで偶然、先日の非礼を詫びに訪れていた栗橋と再会します。

 栗橋の想いを無下にしてしまったことを詫びた中林は、子どもの頃から識字障害で苦しんできたこと、唯一の理解者であった姉が寝たきりになった際にも、病院の手続きなどができず悔しい想いをしたこと、そして姉を失ってしまったことで生きる気力を失ってしまったことなどを吐露します。

 その話を聞いた栗橋は慰めるのではなく、「だったら、しっかり生きなきゃ」と叱咤。その姿に、何事にも真っ直ぐだった姉の姿を重ねた中林は、読み書きを一から学ぶ事を決意します。そして後日、障害者に理解ある工場への就職が決まり、めでたしめでたしとなったのでした。

 さて感想。今回は、AKB48在籍時の“おバカキャラ”と真逆の役柄を演じるということで、ドラマ放送前から注目されていた川栄がメインの回となりました。

 といっても最近は、アイドル時代のイメージを完全に払拭するほど、女優として目覚ましい活躍をしていますから、もうそれほどギャップを感じる人もいないかもしれませんね。秀才だけど頑固で不器用、正義感が強く真っ直ぐな役柄を、ごく自然に演じていました。

 そんな栗橋とはいわば対極に位置する、“当たり前のことができない”存在として中林が登場したのですが、識字障害の研究はまだまだ模索段階にあるとのことで、識字率が100%に近い日本で生きていく苦悩や、姉を失った悲しみを中林が打ち明けるシーンは胸を打つものがありました。

 ただ、ここで安易に同情しないところに栗橋の“らしさ”が発揮されていたのではないでしょうか。これがえみるだったら、憐れみの表情を浮かべ、安っぽい慰めの言葉でナァナァに済ますところだったでしょう。

 ハローワークの職員に対してブチ切れしてしまうところなんかも含め、怜悧に見えて直情的だったりと、いろいろな側面をもつ栗橋の方が魅力的で主役にふさわしく、ドラマの面白味も増したんじゃないかな、と今さらながらに思ったりもしました。

 しかし残念ながら、最終回へ向けて残すところあとわずか。軌道修正もままならず、視聴率はこのまま低空飛行を続けてしまうのでしょうか……。次回はえみるがメインに戻るということで、とりあえず視聴率5.0%台をキープして、主役の意地を見せてもらいたいものです。
(文=大羽鴨乃)

最終更新:2018/08/29 20:00
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