トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 社会  > 救急車たらい回し事件をめぐり 医師のブログが炎上(後編)

救急車たらい回し事件をめぐり 医師のブログが炎上(後編)

 先日お伝えした、妊婦救急搬送たらい回し事件を巡るお医者サンたちの場外乱闘の一件(前回の内容はこちら)。「ベッドが満床でも当院は受け入れます」と断言した千葉西総合病院(千葉県・松戸市)の院長「三角和雄のブログ」は現在コメント欄を閉鎖してしまい、特に変わった様子はない。


 そんな中、9月11日付けの報道で、柏市で今年5月に妊婦のたらい回し事件が起きていたことが発覚した。報道によると、この妊婦は陣痛の痛みから119番通報。救急隊員が医療機関に問い合わせたが42回拒否された。約2時間20分後、24ヶ所43回目の問い合わせでようやく県外の病院に搬送されたという。

 柏市といえば、千葉西がある松戸市の隣の市である。千葉西にも救急搬送の受け入れ要請があった可能性は高い。なぜ千葉西に行かなかったのか――? 柏市消防本部に問い合わせたところ、「近隣の病院との信頼関係があるためノーコメント」とのことだった。そこで、千葉西にこの件について問い合わせることにした。合わせて三角氏のブログにあった匿名の開業医からのコメント「救急お願いした1/3は断られておりますよ」の真相も聞いてみた。

 千葉西は「あくまで個人的な日記であり、公開掲示板ではないブログに対して、それを個人の意思で見ようとした人が勝手にした書込みについて、その都度回答する義務はないと思います」と前置きした上で、今回についてのみ回答をくれた。以下が回答である。文面からすると院長が直々に書いてくれたようだ。

1、近隣の医師の搬送の申し出を1/3断ったか否か。
====================
院内の各部署に確認を行いましたが、そのような事実は100%ございません。「急患は100%受け入れる」事は、院内では徹底指導しております。毎朝の朝礼にても、急患の受け入れに関して全職員に教育指導しており、また、近隣の消防へも、折にふれて伝えております。近隣の病院では、アルバイトの当直医師もおり、100%徹底されているかは分かりません。それを確認する方法もありません。
====================

2、柏市の妊婦たらい回し事件について、問い合わせがあったかどうか。
====================
妊婦の受入において、松戸市に関しましては、診療科上の受入として松戸市立病院が周産期における3次救急の受け入れを実施しております。この点で、他の地域とは異なります。私がブログを書いた時点では、柏市という医療圏の異なる地域の事でもあり、把握していませんでした。
その後、当院の産婦人科に聞いたところ、5月の妊婦の件では問い合わせがあり「救急処置を行います」とのYes回答をしたそうです。その際に、NICUの充実している松戸市立病院への転送の可能性を示唆したところ、そちらの方へ救急隊が問い合わせしてみるとの事で電話が切れ、その後、連絡はなかったそうです。当院での対応は、受け入れをOKと回答しているそうです。
====================

 ちなみに、千葉西は徳州会系の病院である。徳州会とは、「生命だけは平等だ」をスローガンとする医師・徳田虎雄氏が設立した医療法人である。徳田氏は千葉西の方針を次のように掲げている(HPより)。

年中無休・24時間オープン
入院保証金・総室(大部屋)の室料差額冷暖房費等一切無料
健康保険の3割負担金も困っている人には猶予する
生活資金の立替・供与をする

 素晴らしい病院である。急患を絶対に断らないというのも徳州会全体の方針らしい。ということは、救急搬送に困ったら、最寄りの徳州会病院に搬送すればよいということだ。

 しかし、一方で現場医師は次のような窮状を訴えている。神戸の開業医のブログ「新小児科医のつぶやき」に寄せられた、数年前まで千葉西で働いていたという医師からのコメント。

「救急を100%受け入れる」というのは建前としていつも上から発破をかけられていたものの、もちろん現場の本音は「そんなことは不可能」でした。<中略>それでも、たとえホームレスや酔っ払いなどであっても救急患者をえり好みせず、積極的に受け入れていることは確かです。◯◯病棟側はそれはもう大変で、病院が満床になっても救急患者を取るものだから、広めの一人部屋(いわゆる特室)にベッドを2床入れたり、ときには病棟の器材庫の物品を出して病室代わりに使用したこともありました。◯角院長(当時は副院長でしたが)はみなさまの想像通りの人ですので、各科中堅クラスの医師は疲弊してどの科でも1~2年くらいで辞めてしまい、内科の常勤が部長以外は3年目までの医師のみなんていう時期もざらにありました。

 ただし、これは匿名の書き込みゆえ、どこまで真実なのかは確認しようがない。

 余談だが、筆者は千葉西のある科にかかり、治療方法について何気なく質問したところ「私の方針に従えないなら担当医を変えてくれ。私は診ない!」と憤慨された経験がある。 

 ちょっとした質問をしただけでいきなり怒鳴られた上、診察を放棄されて、あやうく“院内たらい回し”(もちろん自主的に転院した)。しかし、今回、千葉西が急患を100%受け入れているということを知り、「お疲れだったのネ」と医師に同情できるようになりました♪
(安楽由紀子)

 【前編はこちら】救急車たらい回し事件をめぐり 医師のブログが炎上(前編)

最終更新:2008/06/06 17:49
ページ上部へ戻る

配給映画