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スキャンダルくすぶる防衛産業【2】競争なき産業

 10月29日、防衛省のCXエンジン納入に関わる接待疑惑で、守屋武昌・同省前事務次官の証人喚問が国会で行われた。今後は、山田洋行元専務に接待された守屋氏の違法性が問われることになるが、そのほかにも防衛省が抱えるスキャンダラスな構造に国民の厳しい目が向けられることになるだろう。特に、防衛省を中心にした日本の防衛産業の「無駄遣い」体質は、問題だらけだ。この「無駄」の部分が利権と化し、防衛省やそのOB、そして商社や兵器メーカーなどが群がっている。

 では、その無駄遣いの実態とはどのようなものなのか? 「サイゾー」本誌では、今回の疑惑が大々的に報じるられる前に、専門家たちに集まってもらいこの問題を詳しく語ってもらっていた――。

[座談会出席者]
清谷信一(司会) 軍事ジャーナリスト/自衛隊装備調達ウォチャー
A…大手総合商社航空部門担当
B…中堅商社防衛部門担当
C…軍事専門誌記者

官需依存がもたらした商品力の低下

A 防衛費の無駄遣いに関しては、業界の過保護体質と表裏一体の関係にある。たとえば、ヨーロッパ全体でヘリのメーカーは2社しかない。それに比べて日本はどうか? 富士重工、川崎重工、三菱重工の3社もあるんだよ。3社が市場で競争すればいいけど、ほぼ官需に依存で、民間市場での売り上げはゼロに近い。各社防衛省から、確実に受注を得られるので、再編も合理化も進んでいない。航空機エンジンメーカーだって、軍需大国・アメリカでさえ2社しかないのに、日本はIHI、富士重、川崎と3社もある。実は昭和30年代に、当時の通産省(現・経産省)は、エンジンの製造会社をIHIの1社にまとめた。ところが、儲かりそうだと、他社がなし崩し的に再参入。で、通産省がそれに許可を与えたんだ。何か裏で、業界側と合意があったんだろうね。固定翼の航空機の製造にしても、戦闘機は三菱、輸送機は川崎、練習機は富士重、飛行艇は新明和工業というように、きれいにすみ分けをしているから、競争も起こらないんだよ。

B 競争がないから性能が向上せず、価格も下がらない。つまり日本の製品は、国際競争力がない。直近の例でいうと、防弾ベストもそう。警察用防弾ベストが3~4万円の外国製を使っているとすると、自衛隊用の調達価格は13~14万円はする。これも、国内産業保護のためです。製造元の東レと東洋紡の利益を確保するために、無駄に高いベストに血税が注がれている。しかも、性能面も劣っている。自衛隊の防弾ベストは、実戦にさらされることもないので、実戦経験を生かした改良ができません。だから見た目は同じでも、諸外国の製品とは、別物と思ったほうがよいでしょう。

A さらにいえば、国内開発した製品は調達価格が高騰するので、必要十分な数量を揃えられないんだよ。で、そのしわ寄せはすべて、現場の自衛隊員が被ることになる。たとえば、無線機が足りずに、演習のたびに他部隊から借りたり、私物の携帯電話を使っていることもある。最近ではGPSもナイトビジョン(暗視スコープ)も、隊員が自費購入したものを使っているようなケースだってあるくらいだからね。

C でも、自衛隊の無線機って、性能悪いですよね。米軍と同じような無線機を使っているくせに、自衛隊のものは建物の中にいると雑音ばかりで聞こえにくくなる。米軍の無線機では、考えられないことですよ。民生用として海外に輸出している国産メーカーの無線機は「安くて性能が良い」って評判なのに……。

A ところが、自衛隊ではそういうメーカーの製品ではなく、性能が劣っていても「採用実績」のある、つまり長年にわたって国と癒着しているメーカーのものばかりを採用している。日本電気とかね。現在、陸上自衛隊が使ってる無線機は、民間同様に電波法の制限を受けるんだよ。つまり、使用できる周波数帯が狭く、弱い電波しか出せない。陸自の無線機は、データ無線機の伝送速度も、いまだ4800bps。これでは小隊の位置確認を無線でして、デジタルマップに映そうと思っても、その位置情報を送受信するのに15分ほどかかってしまうので役に立たない(苦笑)。その一方で、航空自衛隊のAWACS(早期警戒管制機)なんかは、米国製装備でフルパワーでデータのやり取りをしているんだよね。電波法なんてお構いなし。なぜか国交省もお目こぼしをしている。露骨なダブルスタンダードだよ。

 国は、都合のいいときだけ、電波法を持ち出してくる。法律があるから、輸入品は参入できない。つまり、電波法が非関税障壁になっているわけです。規制を撤廃すれば、高性能な外国製品が、海の向こうから押し寄せてくる。だから、あえて法律の改正も要求せず、性能の劣る国産品を要求して、随意契約で納入させるワケです。そうやって、天下り先でもある国内メーカーを養うことができたんですよ。(つづく)
(山﨑龍/構成)

⇒次号、やっと合理化が始まった?

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最終更新:2008/06/17 19:06

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