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“聖域”アリコについにメスが! 金融庁が手を出せないワケ

20071121_aig.jpg丸の内から日本を見下ろすかのようなAIGビル

「いいないいなアリコ」のキャッチコピーで知られる外資系生保会社「アリコジャパン」が10月、公正取引委員会から景品表示法違反(優良誤認)で排除命令を受け、その後を追うように今月16日、金融庁が業務改善命令を出した。同社の主力医療保険「元気によくばり保険」の新聞広告で、本来ならば保険金を受け取れないケースを、あたかも受け取れるかのように表示していたことが問題となったのだ。

確かに”誰でも入れる”けど……?

 この命令を聞いた大手生命保険会社の幹部は、「業界内ではずっと指摘されていた話で、処分はようやくといった感じ。しかし、最初に処分を出したのが金融庁ではなく、どうして公取委だったのか」といぶかしがる。それというのも、保険会社を監督するのは金融庁であり、金融庁に先駆けて公取委が処分を下すのは、極めて異例だからだ。「アリコの不正は、金融庁もばっちり握っていた」(全国紙経済部記者)といい、金融庁が処分を出さなかった不可解さが増す。これについて前出の大手生保幹部は、「アリコの不正に金融庁が手を出さなかったのは、今回が初めてではない」と明かす。

 数年前にも、アリコの「無選択型」という医療保険が大問題となったことがあった。従来は保険に加入できなかった持病を持った人でも加入できるということが売りの商品で、アリコは「誰でも入れます!」と謳ったテレビCMを、雪崩のようにメディアに乗せた。そのかいあって、さまざまな持病を持つ中高年層に爆発的に売れたのだが、発売後に契約者から、「保険金が支払われないのはなぜだ!」という苦情が殺到したのである。それというのもこの保険、たとえ加入できたとしても、「持病が悪化して入院した場合」には保険金が支払われないという代物だったからだ。

「アリコは、『誰でも入れます』ということばかりを強調して支払い時の問題点を一切知らせなかったので、勘違いした中高年が次々と加入した。しかし、肝心の保険金を請求するときになって、アリコから『このケースでは無理』と保険金が支払われず、トラブルが多発しました。そのため業界では、『誰でも入れるけど、払えません保険』なんて言われてましたよ」(大手生保の商品開発担当者)

アメリカ「AIG」の威光も今回は届かず

 国民生活センターなどにも、不適切な説明について大量の苦情が届いたことから、「金融庁が処分を下すのは間違いないと見て、担当記者は同庁幹部への夜回りを盛んにかけた」(前出・経済部記者)というが、当の金融庁は、様子見を決め込んだ。〝金融処分庁〟の異名をとる金融庁らしくない弱腰ぶりだが、前出の大手生保幹部は「金融庁も、AIGには手をつけられないのか」と嘆く。

 アリコは、米ニューヨークに本拠を置く保険・金融グループ「AIG」の傘下企業のひとつ。AIGは米国最大級の金融グループであり、ホワイトハウスとも太いコネクションを持っている。世界各国で事業展開する際には、米国政府を通じて進出国に圧力をかけ、事業を有利に進めるのが常套手段となっている。1990年代には外資に閉鎖的だった日本の保険市場進出を試み、米国政府に強力な働きかけを行った。これにより、日米政府間で日米保険協議が開かれ、米国側に押し切られる形で国内保険市場を開放させられたという歴史がある。

 ある財務省関係者は、「金融庁だけでなく財務省にとっても、ホワイトハウスをバックに持つAIGの存在は不気味に映る。金融族議員を通じて、金融行政に何らかの圧力がかかっている可能性は、否定できないでしょう」と語る。一方の公取委は、金融庁と違って族議員との接触も少ないため、米国政府からの圧力も届かずに、AIGという〝タブー〟に切り込めたということのようだ。

 排除命令は、再発防止などに取り組まない場合、2年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科せられる。国民としては、金融庁によるこのような恣意行政にも、排除命令を突きつけたいところである。
(千代田文矢/サイゾー12月号より)

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最終更新:2010/01/12 19:36
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