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出産にも“格差”到来の兆し 増加する飛び込み出産とは?

 格差社会の波は、出産の現場にも及んでいるようだ。至れり尽くせりの“高額出産”が増える一方で、“飛び込み出産”で費用を踏み倒す妊婦も増えている、というのである。

“妊婦たらい回し”事件が明らかにした課題

 今年8月に奈良県で起きた“妊婦たらい回し”事件。救急車で運ばれた38歳の妊婦が、受け入れを打診した病院から立て続けに搬送を断られ、死産という痛ましい結果を招いたことは記憶に新しい。当初は受け入れを断った病院側の対応が問題視され、受け入れ拒否によるこのような“たらい回し”が増加傾向にあることを挙げ、“医療バッシング”の様相を呈してさえいた。

 しかし、3度の受け入れ要請があった奈良県立医大病院が8月31日、受け入れ要請拒否にいたった経緯と当直医師たちの過酷な労働状況を説明した文書を発表。これと相前後してメディアの風向きは変わり、以前より問題視されていた産婦人科医の不足を指摘する声が強まる。昼夜を問わない重労働を伴うこと、そして昨今の医療意識の強まりによって訴訟リスクが上がったことにより産婦人科医のなり手は年々減少、多くの産婦人科医は激務を強いられており、そういった状況の改善こそが急務である、というわけだ。

 さらに、妊婦の側の問題点を指摘する声も強まってくる。つまり、妊娠して以降、産科医の健診を一度も受けることなく臨月を迎え、陣痛が来るにいたってあわてて119番に電話、救急車によって初めて病院に運ばれてくる妊婦が増えているというのだ。11月18日付けの朝日新聞によれば、このような妊婦による出産を“飛び込み出産”と呼ぶ。この飛び込み出産に特徴的なこととして、きちんと健診を受けて出産にいたる妊婦と違って、胎児の状況をまったく把握できないまま出産に臨むため、圧倒的にリスクが高いこと、そして、出産費用の“踏み倒し”が多いことが挙げられるという。臨月にいたるまで健診を受けなかったことの原因としては「経済的理由」が挙げられることが多く、このような妊婦は出産しても、当然出産費用を納める余裕などない。このため病院側は、駆け込み出産の受け入れ要請があっても、これを拒否する傾向が高まるのである。

たった数万円が支払えず……

「出産にかかる費用としては、だいたい50万というところでしょうか。妊娠が判明してから出産直前までの十数回の健診の費用が、だいたい1回5000円から1万円程度。さらに、出産そのものにかかる純粋な出産費用が、普通の病院でだいたい40万円前後ですから。といっても、健康保険に入っていれば、そのお金の大部分は戻ってくるんですけどね」(都内在住の4歳男児の母親)

 この主婦が語る通り、健康保険にせよ国民健康保険にせよ、医療保険に本人、ないし夫が加入してさえいれば、健康保険法に基づき35万円程度の「出産育児一時金」が出産後に加入者に支払われる。しかも昨年10月よりこの一時金の給付システムが変わり、対応病院で事前に申請しておけば、一時金は病院側に直接支払われ、出産当事者は残りの差額分のみを用意しておけば済むようになった。しかし昨今の格差社会の到来は、この差額の数万円、さらには事前の健診費用数千円の支払いさえためらってしまうような経済的困窮層を生んでいるということなのだろう。

 一方で、出産の“高額化”も進んでいる。昨今の少子化による病院間の競争の激化、および上述したような産科医の勤務状況の悪化に伴い、総合病院だけでなく個人病院でも、豪華な設備を設け、1回のお産にかかる費用を高額化する動きも広まっているというのだ。

「知人が、富裕層が多く出産することで有名な、都内の私立総合病院でお産しました。なんだかんだで100万円近くはかかったそうですが、都心にあって設備は豪華ホテル並み。正直うらやましかったですね」(都内在住の3歳女児の母親)

 昨年9月に悠仁親王が誕生したことで知られ、聖路加国際病院(東京都中央区)、山王病院(東京都港区)と共に“ブランド出産御三家”のひとつでもある愛育病院(東京都港区)で先日、同院が大手化粧品メーカー・資生堂と組み「院内エステ」のサービスを開始したことを、11月8日付の朝日新聞が報じた。1回の施術料は、1時間8000円。それによって産前産後の状態が安定し、お産の質が上がるのであれば、同サービスの提供自体にはなんの異論もない。しかし一方で、本来であれば受診すべき出産前健診料数千円を捻出する余裕さえなく、お産そのものを危険に晒さざるをえない妊婦が増えていることもまた、事実なのである。
(編集部)

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最終更新:2008/06/27 21:07
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