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新TVシリーズ『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』日本語吹き替え版脚本家・福田雄一氏インタビュー

カッコ良くないスパイが面白過ぎる!! ド派手アクションなのに笑える秘密を直撃!!

fukudayuichi_main.jpg常に笑いの要素を追及する脚本家・福田雄一氏。

 国際舞台で華々しく活躍した超優秀スパイが、ある日突然リストラに!? 解雇の理由に立ち向かいつつも、警察も手を付けないご近所事件の解決に今までのスパイ技術をフル稼働させ挑む主人公・マイケル。事件の意外な事実、超地味なスパイの実情、スパイキット製造工程から、ド派手なアクションまで、今までのスパイ作品にはない面白さが詰まった『バーン・ノーティス』。でもなぜか笑えるこの作品。トリックは脚本にあった!?――


――福田さんは月9『東京DOGS』(フジテレビ)などの脚本もお書きになりますが、『いきなり! 黄金伝説』(テレビ朝日)などバラエティーの印象が強いですよね。今回のお仕事を受けた経緯は?

福田 お話を頂いた時に”笑い”のエッセンスを求められていたんですよ。先方が僕の『33分探偵』(フジテレビ)の笑いの感じで、って言ってくれて。僕はいつもお仕事を頂く際、なぜ僕なのか? を聞くんです。相手が求めているものに応えられないとマズいでしょ?

――確かに。ストーリーの面白さもですが、どこかズッコけていて笑えますよね。

福田 そうでしょ? でも本人は、いたって超真剣!! っていう(笑)。もし『24』とかの完全無欠なヒーローものなら断っていましたね。国際的スパイとして紛争地域ですごく活躍してきたのに、いきなりみんな水着のリゾート地に来て1人だけスーツ着て浮きまくっている。それにまったく身じろぎもせず、クソ真面目にスパイして、っていうあまりのズレなさ過ぎな設定が面白いじゃないですか。

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――ポップチューンで踊っている若者の中、たった1人ハードボイルド!! みたいな(笑)。

福田 そうそう。お笑いの脚本をずっとやってきて、何もしていないのに笑わせるっていうことこそ、究極の笑いだと思ったんです。”ネタ振り”とか、”ここでギャグを言う”っていう絶対のタイミングすらもブチ壊す、クソ真面目ゆえに自然発生する笑いって究極ですよ。これ、『東京DOGS』でも描いてるんです。

――あぁ! この主人公・マイケルと『東京DOGS』の高倉奏って似てますね(笑)。

福田 『東京DOGS』の小栗君もその面白さを理解してくれてて。彼が習っている武道の先生も真面目キャラらしく、「先生が、すごい熱心で、”小栗君!! ここ、金的(禁じ手=通称タマ蹴り)です!!”とか真顔で言われると、ものすごい笑えるんですよね」って(笑)。

――結構そんなキャラの人、日常にいるかも(笑)。冷静に考えたら、ものすごく頭が良くて超正義感が強くて、カッコいいはずなんですけどねぇ。

福田 そう。マイケルもすんごい頭が良くてカッコいいはずなんですよ。でも、いついかなる時でも、かぁちゃんの電話に絶対出ちゃって、「アンタ、冷蔵庫壊れたから直しに来なさい」とか言われて飛んで行くし、恋人にも頭が上がらないの(笑)。『007』の真逆ですよ。でも逆にリアルですよ。オシャレも何も脇目を振らず使命に燃えて仕事してたんだなぁって。だってベルトもおっさんだし、ポロシャツをイントゥーしてるし(笑)。ヨーグルトが好物だし。もう、監督のマット・ニックスは絶対に狙っていますね。

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――相棒のサムと元彼女のフィオナとの掛け合いも面白いですね。

福田 フィオナなんか「コイツ殺しちゃおーよぉ」とかすぐ殺人を企てるんだけど、「いやそれはダメだ。殺してはダメだ」とかね(笑)。あえて2人の会話は崩してるんですよ。マイケルが文語体のガチガチなしゃべり方が際立つでしょ? これはもう声優さんたちの力ですよね。加減が難しいから。やり過ぎると嫌味になるしね。

――そんな努力と計算が……。お笑いだけでなく肝心のストーリーも面白いですよね。派手なアクションシーンから、スパイ小道具の調達方法とか。そういった所に意図する笑いをはめ込む作業ってかなり大変じゃないですか?

福田 スパイ道具をホームセンターで材料調達して、自分でチコチコ作ったりね(笑)。脚本の方は大変でしたね。僕、セリフでストーリーを作っていくタイプなんで、『黄金伝説』の時なんて、お前のセリフ長っ!! って言われてたくらいですから。今回、作品の流れと内容を掴むために、すべてセリフを手書きで書き下ろしているんですよ。

――一度直訳したものを、さらに書き換えている。

福田 笑いを乗っけていくために、流れを掴まないとダメなんで。新人なんかはコントでもシナリオでも、良い作品は書き写して作品の流れを掴むんです。

──『ココリコミラクルタイプ』(フジテレビ)なんてセリフ劇ですもんね(笑)。今後はドラマの方にシフトしていく感じなのでしょうか?

福田 あまりドラマとかコントとかこだわっていませんね。この作品のエッセンスでもある、何にもしてないのに超笑える!! っていうのを追及していこうと思っています。

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 まだまだ”笑い”を追求するプロが脚本を担当した、この異色スパイアクション『バーン・ノーティス』。今まで見たことのない魅力満載だ!!
(取材・文=山田裕子)

バーン・ノーティス 元スパイの逆襲 日本オリジナル・カット版
価格:¥999(税込)
発売:11月13日(金)
発売元:20世紀フォックスホームエンターテイメント
(c)2009 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
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最終更新:2009/11/04 15:24
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