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珍バカライター・北村ヂンの【突撃取材野郎!】vol.04

手塚、藤子、赤塚、石ノ森……漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋

tokiwa01.jpg記念碑『トキワ荘のヒーローたち』(南長崎花咲公園)

珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第4回は、あのトキワ荘住人たちが愛したラーメンを食べに行きます。

漫画界の梁山泊・トキワ荘

 今や海外にまで影響を与える日本の代表的な文化として地位を確立した”漫画”。その日本漫画文化の基礎を作り上げた人といえば、やはり漫画の神様・手塚治虫とそのフォロアーである藤子不二雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎……といった面々ではないだろうか。

 そんな超大御所漫画家たちが若かりし頃、とある一軒のアパートに住んでいたということを知っているだろうか。そのアパートは、豊島区椎名町(現・南長崎)にあった”トキワ荘”。前述した以外にも寺田ヒロオ(テラさん)、鈴木伸一(ラーメン大好き小池さんのモデル)、水野英子(『ファイヤー!』など)、つげ義春(『ねじ式』など)といった漫画家が住んでいたことのある、まさに漫画黎明期における梁山泊といえる存在だったのだ。

 ま、詳しくは藤子不二雄A先生の『まんが道』『愛…しりそめし頃に…』を読めばものすごーくよく分かるので、未読の方は是非読んでみてもらいたい。

tokiwa02.jpgこんな有名漫画家たちが住んでいた!

 さて、それだけの漫画家を輩出したアパートとなれば、歴史的建造物として保存されていてもよさそうなものだが、残念なことに昭和55年に老朽化のため取り壊されており、その後に再建された新・トキワ荘もバブル時期の地上げのゴタゴタに巻き込まれて跡形もなく消えてしまっているのだ。

 正直、ものすごくもったいないなぁ……と。今も残っていれば文化的資料としても観光資源としても、計り知れない価値があったはずなのに。あー、バカバカ! 政治が悪いのかい? 世間が悪いのかい? 

 地元商店街も今頃になってトキワ荘記念碑を設置するなど「トキワ荘のあった街」を押し出して町興ししようとしてはいるのだが、肝心のトキワ荘がなくなってしまっているので効果は今ひとつ芳しくないようだ。

 そんな商店街の中に、トキワ荘があった頃の面影を今なお残しているお店がある。それがラーメン屋「中華食堂・松葉」。『まんが道』の中にも幾度となく登場し、トキワ荘の住人たちが「ンマ〜イ! ンマ〜イ!」と舌鼓を打ったラーメンを今も味わうことが出来るのだ。う〜ん、これは食べておかなければ! ……ということで早速行ってみた。

tokiwa09.jpgこんなトキワ荘関連グッズも……「テラさんのチューダーあめ」

■昭和の雰囲気をそのまま残しているラーメン屋

tokiwa04.jpg

 西武池袋線・椎名町駅南口より徒歩約10分。昔ながらの雰囲気漂う商店街の中にひっそりと松葉はあった。外観的には、まあなんの変哲もない町のラーメン屋さんといった感じだが、扉にはバッチリと『まんが道』の切り抜きが! もちろん、みんなで松葉のラーメンを「ンマ〜イ!」と食べているページだ。

 コレ、藤子不二雄A先生に宣伝ポスターを描いてもらっているようなもんだもんなぁ。そんじょそこらのラーメン屋が「東京一週間に掲載されました!」なーんてうれしそうに貼り出しているのとはワケが違う!

tokiwa05.jpgこんないい宣伝材料があったら、そりゃあ貼りますよね。
tokiwa06.jpgメニューの後ろには沢山の漫画家たちのサインが!

 さて、のれんをくぐって中に入ると、これまたいい塩梅に古びた店内。今時、ここまでそんまんま「ラーメン屋!」というオーラを放っている内装はなかなかお目にかかれないぞ。

 それでは早速、数々の漫画家たちが食したという伝説のラーメンを食べたいところ。メニューを見ると「トキワ荘ラーメンライス」という、思いっきり分かりやすく便乗したセットもあったが、ここはやはりシンプルに「ラーメン」を注文すべきだろう。

 驚いたのはラーメン480円という値段設定。ラーメン一杯で1000円近く平気で取っている最近のラーメン屋にも見習って欲しいものだ。……まあここ松葉も、トキワ荘があった当時の値段はラーメン一杯30〜40円だったそうなので、10倍以上に値上がりしてはいるんだけど。

■漫画好きなら一度は食べるべきラーメン

tokiwa07.jpgシンプルなザ・ラーメン

 そして、遂に松葉のラーメンが登場! 具は刻みネギにシナチク、チャーシュー、ワカメ、ゆでたまご。アッサリ醤油スープの本当にスタンダードな東京風ラーメンだ。

 ひとくち食べてみると……正直、最近のニューウェーブ系インパクト重視のラーメンを食べ慣れた舌には、あまりにもシンプルな松葉のラーメンはちょっと物足りないかなぁ……。ただ、日常的に食べるのならばちょうどいい感じなのかもしれない。何よりも、数々の漫画界の巨匠たちが同じラーメンを食べてきたかと思うと、味以上にグイグイと胸に迫ってくるものがあるのだ。ここはやっぱり高らかに「ンマ〜イ!」と雄叫びをあげておくべきだろう!

 現在の店主はトキワ荘があった当時まだ子どもだったので、松葉に通っていた漫画家たちのことはあまり記憶にないというが、当時を懐かしむ人たちや、トキワ荘に憧れる漫画家志望者、漫画ファンが今でも訪れてくるのは本当にうれしいと話す。

 トキワ荘はもうなくなってしまったが、ここ松葉も漫画好きなら絶対に一度は行っておくべき”聖地”といえるだろう。漫画を愛するすべての人たちよ、とりあえず行っとけ行っとけ!

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tokiwa08.jpgこんなTシャツも売られていました。

(文・イラスト・写真=北村ヂン)

まんが道 (1)

ンマ〜イ!

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【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる
【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル……」僕らの愛したブルマーは今どこに
【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

最終更新:2012/04/08 23:16

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