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亀田大毅防衛戦「118-110」の不可解大差が浮き彫りにするボクシング界の欠陥構造

kamedapapa0927.jpg一般席から声援を送る亀田父・史郎氏。

 因縁の対決と注目を集めた25日のWBA世界フライ級タイトルマッチは、王者の亀田大毅(亀田ジム)が3-0の判定で坂田健史(協栄ジム)を下して初防衛を果たした。これまで様々な疑惑を指摘されてきた亀田陣営だが、今回は、その試合内容から大毅の勝利ついて疑問の声はほとんど出ていない。だが、3人のジャッジのうちオランダ人のジャッジが118-110と8ポイントもの大差をつけたことについてだけは、協栄の金平桂一郎会長が「あれはないと思う」と指摘しただけでなく、多くの業界関係者やボクシングファンの間からも「買収されたのか」といった厳しい視線が注がれている。

 だがなぜ、亀田戦では明らかな勝利にもかかわらず、こうした疑惑の声が上がってしまうのだろうか。

 実は今回の世界戦に至る舞台裏では、協栄、亀田の両陣営が、試合のために来日したWBAの立会人アラン・キム氏やレフェリー、ジャッジらの”世話”について壮絶な綱引きを展開していた。

 そして、そこから浮かび上がったのは、どちらの陣営にしても試合を裁く立場の関係者に、あまりに簡単に接触できてしまうため、基本的に試合の中立性を保ちにくいという業界のあいまいな”ルール”や運営上の問題点があることだった。

 因縁の対決と騒がれた今回の試合は、協栄ジムが今春に入札で競り落としたことで実現したため、本来の主催者は協栄ジムだった。

 これまでの慣例でいえば、世界戦のために海外から来日したWBAやWBCの関係者の宿泊先や食事の手配などは、主催者であるプロモーターが責任を持って行うというのが、WBAやWBCの定めている”ルール”だった。

 だが、亀田兄弟の父・史郎氏は今春、興毅が敗れた試合後に、対戦相手のポンサクレック陣営が、事前にWBC立会人とホテルで会っていたと指摘しながら「おかしいやろう」などと判定に猛抗議を行い、それらが暴言だとして国内の業界から永久追放された。

 それだけに今回の世界戦の運営に当たって、亀田陣営は形式的には協栄ジムの主催であっても、実質的には”共催だ”という立場をとって行動していたという。

 このため、WBA関係者の食事なども、両陣営のマネジャーらが呉越同舟で同席。ある意味、お互いに相手の動きを監視するという前代未聞のつばぜり合いが展開されていたのだ。

 あるWBA関係者は、その様子について「普通ではない異様にピリピリしたムードが漂っていて、正直やりにくかった」と打ち明ける。

 そうしたなかで、今春に史郎氏とともにライセンスの無期限停止処分を受けた亀田ジムの五十嵐紀行前会長が、立会人のアラン・キム氏に”挨拶”という形で接触。それを金平会長が試合前日の記者会見で「それはおかしいでしょう」と暴露し、相手を強烈にけん制する一幕も起こったのだ。

 さらに筆者の取材のなかでは、それとは別にアラン・キム氏に接触した亀田陣営が「史郎氏を試合の控え室に入ることを認めてほしい」と驚きの要請をしていたことも分かった。

 アラン氏は「それはWBAの管轄する問題ではない」と受け入れなかったというのだが、亀田陣営がWBA関係者を”世話”するなかで、自分たちに都合のいい要求もしていたことは事実なのだ。

 一方、両陣営が相互に相手を監視するとはいっても、それこそ24時間完全に行うというわけではない。両陣営とも関係者の宿泊していた部屋まで把握していただけに、客観的にみて、抜け駆けをするチャンスは、いくらでもあったとみるのが現実だった。

 そこで両陣営とは違う有力ジムの会長が、問題点をこう指摘する。

「最近こそ、そこまで露骨な話を聞かないよ。けれど一昔前には、主催者がジャッジとかに(酒を)飲ませる、(金を)握らせる、(女を)抱かせるといったことが露骨に行われていた。そもそも、主催するプロモーターが選手の所属するジムである場合、主催者が関係者の面倒をみるというルール自体に問題点があるだろう」

 それだけに、この会長は「亀田が協栄だけに世話を任せたくないという気持ちは分かるところもある」とも語る。ただ、史郎氏本人が試合当事者の関係者への接触を「おかしいやろう」と怒って罰せられただけに「だからといって自分もやるというのはおかしい話。普通の人なら大人しくしているはずだけどね」とも付け加えたのだった。

 また、別の老舗ジム関係者は、こうした問題をなくすためには「たとえば関係者の世話は第三者のJBC(日本ボクシングコミッション)などが行って、対戦する両陣営の関係者が事前に接触することを一切禁じてしまえばいい。それで世話にかかった費用の実費だけをプロモーターに請求するといった形にすればいいんだよ」と提案する。

 結局、世界戦の運営に関して、現状のままでは完全な中立や公正さを実現するのは難しいのが現実のようなのだ。そして亀田戦に限らず、今後もし、試合のたびに様々な疑惑が噴出し続けた場合、「ボクシング自体に嫌気が差して見るのを辞めてしまうファンが増えかねない。実際、すでにそういう兆候はある。こうなると業界そのものの存亡にかかわる話で、何らかの対策は必要だ」(中堅ジム会長)と懸念する関係者もいるのだった。

 いずれにせよ、両陣営ともに、やろうと思えば不正な働きかけが可能と思われた状況は好ましい状態とはいえず、実力で王者となっても素直に賞賛されないのだとしたら、それは大毅にとっても不幸な話。業界の未来を考えた場合、早急な対応策の検討が必要だと思われるのだが……。
(文=原田翔)

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最終更新:2010/09/28 00:07
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