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高額給与は社員のためにならず…倒産した元人気企業社長の告白

 話題のあの芸能人や識者も多数リツイートするサイゾー新ニュースサイト「Business Journal」! 今回はそんな「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

 ほかにも、サイゾーだから書ける“ディープ”かつ“役に立つ”以下のような記事が満載ですので、ぜひともご覧ください!

■「Business Journal」掲載記事(一部抜粋)
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高額給与は社員のためにならず…倒産した元人気企業社長の告白 – Business Journal(5月21日)

post_156_20120520.jpg『私、社長ではなくなりました。
― ワイキューブとの7435日』
(安田佳生/プレジデント社)

「優秀な人材さえ集まれば、自然に売上は伸びるし、会社も大きくなるだろうと思っていた」
「ワイキューブの顧客であることにステータスを感じてもらえるよう、受付嬢は美人にこだわった」

 今、一冊の異色のビジネス書が話題になっている。その本は、『私、社長ではなくなりました。―ワイキューブとの7435日』(プレジデント社/安田佳生)。安田氏といえば、2002年には就職人気企業ランキングで、名だたる大手企業と並んで40位に入った採用コンサルティング会社・ワイキューブの創業者・代表取締役で、00年代に『千円札は拾うな。』(サンマーク出版/06年)、『嘘つきは社長のはじまり。』(同/08年)など、自己啓発、ビジネス分野の書籍でもヒットを飛ばしてきた人物だ。

 ワイキューブは11年3月30日、負債総額40億円で民事再生法の適用を申請し、ニュースにもなったが、当時の経営の内情と、多額の資金を投入した同社のブランド戦略をこの本のなかで赤裸々につづっているのだ。

「優秀な人材を集めるには、学生がこんなところで働きたいと思うような高層ビルにオフィスを構える必要がある。セミナーが開ける大会議室がなくてはならないし、熱帯魚が泳ぐ水槽もほしい」

 リクルートで働いていた経験もある安田氏は、優秀な人材を得るために多額の資金投入も惜しまない、同社の姿勢を真似ようとする。「就職人気企業ランキングは学生にとってバイブルのようなものだ。ランキング上位は大企業ばかりで、中小企業はひとつもなかった。だが逆に、そのなかにワイキューブのような中小企業の名前があれば、間違いなく注目される。採用コンサルティング会社としての知名度を、顧客に印象づけることもできるはずだ」と、同ランキングトップを目指し、「投入した採用費用は多い年で1億円以上、間接費用も含めれば累計3億円は下らなかった」という。

 また、2社のPR会社と契約し、それぞれ数千万円を支払い、メディア対応のアドバイスも受けるようになった。市ヶ谷のオフィスには、1階フロアに社員の福利厚生のためのカフェスペースやワインセラーを設けた。社員をオシャレにするための自社ブランド「Y-style」まで立ち上げ、「3年間で社員の平均年収を1000万円にする」「入社2年目以降の社員であれば、業績にかかわらず新幹線のグリーン車に乗ることができる」という社員のモティベーションを上げるブランド戦略を打ち出した。

 たしかに魅力的な制度ばかりで、一気に学生たちにとって憧れの会社の一社となる。こうして優秀な人材は採用できるようになったが、利益が追いつかない。実は当時、給料はすべて銀行からの借入金でまかなっていたのだ。気がつけば借金の総額は、10社超から40億円にものぼるものとなっていた。

 ワイキューブの年間売上は最大で40数億円。人材業界はすでに飽和状態。08年にはリーマンショックにも襲われて、同社は東日本大震災後に倒産を決め、安田氏も自己破産を決意する。この『私、社長では〜』は、これまで成功のブランド戦略を謳ってきた安田氏にとって懺悔の書であり、皮肉に満ちたビジネス書ともいえるものだ。今回、渦中の安田氏に話を聞いた。

ワイキューブ元社長が語った「やりすぎ」戦略とは!?

――私もワイキューブ時代の安田さんに取材をしたことがありましたが、当時の裏側が余すところなく書かれていて、驚きの連続でした。私が取材したのは、恵比寿にあったワイキューブの自社ブランド「Y-style」の店舗でした。当時は社員の方もみなさんオシャレなスーツを着ていて、面食らったのを覚えています。

安田佳生氏(以下、安田) 実は、「会社をブランディングする」というのは後付けの理由です。もともとは、私自身会社に行くのが嫌だったので、社員が「会社に行くのが楽しい」と思えるようにしたいと思っていました。たとえば、会社にカフェがあってパティシェがいたらみんなが楽しいだろうと。しかも、そのような会社を「福利厚生が充実している会社」だということでブランディングしたら、一石二鳥だと考えたのです。そこで、次々に会社内にバーやワインセラーを設け、自社ブランドもつくった。せっかくブランディングしたのだから、メディアが飛びつくような「やりすぎ」をやったのです。ただの無駄遣いではなく、福利厚生を「やりすぎ」れば、メディアもどんどん取材に来てくれます。人材業界でリクルートなど大きな企業がひしめくなかで対抗していくためには、強いブランドが必要だったのです。「施設にお金を使いすぎたからワイキューブはつぶれたのだ」という人もいますが、この「やりすぎ」戦略のおかげで売上も3倍になり、成功しました。

――会社の受付に美人を置くというのも、その一環ですか?

安田 もちろん美人だけでなく、優秀な人材であるというのがその前提ですが、昔、採用難だったときに、優秀な男性を採用するのは難しい時期がありました。そのときに私たちがクライアントにアドバイスしたのは、「優秀な女性を採用しよう」と。すると、女性に魅かれて男性も入ってくるようになり、結果としていい人材がとれるようになるとアドバイスしていたのです。また、私たちは採用のコンサルティング会社ですから、窓口に優秀な人材がいないと、クライアントに対する説得力がないじゃないですか。受付にきれいで賢い女性がいたら「さすが、ワイキューブ」となるわけですよね。

――ブランディング戦略の一環ですね。一方で「やりすぎ」戦略の失敗は?

安田 「3年間で社員の平均給与を1000万円にする」ことを目標に、社員の給与を高くしたのは失敗でしたね。本当は当時400万円だったワイキューブの平均給与を1000万円どころか、2000万円にまでしたかったのですが、770~780万円までいったところで、リーマンショックに襲われてしまった。あとは業績も3分の1になり、給与も下がる一方でした。給与の「やりすぎ」は、まったく業績向上に反映されませんでした。そもそも社長はグリーン車に乗っていいが社員はダメといったように、「社長だから特別なんだ」と、社員との間に線を引くような考え方には違和感があった。当時は、「社員の給料が一番高い会社の社長が一番偉い」と思っていたこともあって、社員の給与を高くしたのです。しかし、給与を高くすれば、社員の能力が上がるというわけでもない。反対に社員が、今の給料は自分の能力が高く評価された結果だと考え始めてしまい、「給与が上がったからもういいや」と守りに入ってしまう人が多かったですね。そして給与が下がった途端に、多くの人が辞めていきました。

――ワイキューブがあった00年代は、ライブドアに代表されるように「会社の儲け至上主義」が広がり、ほとんどの企業で社員に対する待遇が悪い時代でした。そんな中、安田さんが目指す方向は「社員第一主義」のような姿勢で、真逆ですね。

安田 新卒採用した社員は、いい大学からワイキューブのビジョンに人生をかけて入社してきてくれた。かわいい社員が優先で、株主(役員)の利益は二の次、上場する気もまったくありませんでした。出た利益はすべて社員に還元する、そうすれば優秀な人材が集まるし、お客さんへのサービスが向上するはず。「社員の給与を上げるためには、どういったビジネスモデル、商品・サービスを開発すればいいのか?」というのが、会社が成長するための発想のスタート地点でした。ですが、過度に高い平均給与は、短期的には社員のためにもなったでしょうが、長期的に見ればそうはならなかった。「人材育成」に関しては、反省しています。

――安田さんがもう1回社長になるとすると、ワイキューブで得た教訓をどのように生かせるでしょうか?

安田 私は社長と社員の間に線を引くことができない人間です。しかしワイキューブで、社長は社員との間になんらかの線を引かないと、会社が機能していかないということがわかったので、もう社長をやる気はありません。この本は、私の同社時代のピリオドのような本です。同社のすべてを振り返り、次の人生に進むための、折り返し地点といった位置付けです。「ワイキューブ元社長がこの本を書いたのは、再び会社を立ち上げて社長になるためだ」と誤解している方も多いようですが、そういう方々が、今から10年経って「そういえばあの時、安田が『私、社長では〜』を出したのは、同社時代へのピリオドのためだったのか」とわかってくれれば良いと思っています。

――安田さんの、今後の取り組みを教えてください。

安田 社長でなくなって考えたのは、今までは社長という立場があったので抑えていたことが多かったのですが、これからはそれを取っ払って生きていこうと。これまではB to Bのビジネスだったので、これからはC to C、自分で作品をつくって、直接皆さんに聞いていただくビジネスをやろうと。路上詩人や4コマ漫画家のようなイメージで、社会のなかで「境目研究家」という地位を確立しようと考えています。例えば、会社では偉くもないのに雇う側、雇われる側という「境目」があった。この境目とは何だろうと。「合法」か「違法かの境目が重要であることは言うまでもありません。法律が変わるとき、すなわち合法と違法の境目が変わるときは、大きなビジネスチャンスが生まれますよね。では「友人」と「親友」との境目とは? 「天才」と「凡人」の境目とは? そういった境目を研究する境目研究家として、今ではホームページ上で『さかいめ日記』(http://yasudayoshio.com/)を更新しています。これをまとめて次の本にしたいですね。

 ほかにも安田氏は、中小企業の人材の能力と知恵をシェアする仕組み、「中小企業共和国」なるものも企画中だという。これまでは発注する側、される側の関係だったために言いにくかった、中小企業への辛辣な提言も行っていく予定だという。
(文=松井克明/CFP)

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最終更新:2012/05/23 07:00

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