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昼間たかしの100人にしかわからない本千冊 11冊目

グラビアはどうでもいいけど、物の値段の変化にゾクゾクする!「GORO」1984年9月27日号

hiruma1000_11_04.jpgやっぱり、女子大=ナンパスポットという感覚こそが80年代の象徴だ。

 「隔世の感」を感じる機械は、ページをめくるたびにある。バブル崩壊まで、男のステータスのひとつは車だったわけだが、物欲と性欲に満ちた雑誌だけあって、そのあたりの情報もちゃんと押さえている(やたらと、車の広告も満載だ)。

 モノクロのトップ記事は「スクープNEWソアラ3.0GTエクスタシー・フォルムが見えてきた」というタイトルなのだが、リードの部分を引用してみよう。

<トヨタ3 M頂上作戦>がついに公然化した。それは『トヨタ・ツインカム神話/新世紀編』と題すべき、壮大な叙事詩のプロローグ。

 3Mツインカム6=6M-GEU型のデビューに大げさに驚いているのではない。むしろ逆だ。6M型が“ツインカム6”であって、“ツインカム24”ではなかったこと。ソアラより先にクラウンに展開された事実に当惑したほどだ。

hiruma1000_11_03.jpg若者の車離れ……って言われるけれど、この時代のほうが
異常じゃないかと納得するページ。

……車の知識がない筆者には、何が書いてあるのかさっぱりわからない。車に詳しい人ならば「ああ、なるほど」という記述なのかもしれないけれど、これは専門誌じゃないのに。これだけで、車が若者の共通言語だったのだなと一目瞭然だ。この記事は「なぜ6M搭載1号車がソアラでなくなったか」といった解説が続くのだけれど、やっぱり何が書いてあるのか、よくわからん。もはや、一種の古文書になっているといっても過言ではない。

 さらにページをめくるたびに趣味趣向の変化を、いくらでもうかがい知ることができる。この号には「総力追求/GIANTS再建プラン」という記事も掲載されているが、プロ野球巨人軍の凋落を検証する記事なんて、今ではあまり訴求力がないのではなかろうか。

hiruma1000_11_05.jpgとりあえず、かわいいモデルを配置しておきゃあいい感覚がうらやましい。

 さらに「隔世の感」を感じさせるのは「電話はボクらのいちばん身近なアクティブメディア」と題された記事である。携帯電話がまったく普及していない時代なので、当然紹介されるのはちょっとオシャレな家庭用電話機なのだが、その中で最先端の商品として紹介されているのがパソコン用のヘッドセット。価格は1万円也。おまけに、音響カプラ不要でデーター通信できる機能を備えた電話機が3万円……やはり、物って安くなったんだなあと、しみじみ。

hiruma1000_11_06.jpg今と書いていることが、そんなに変わらない。
ただ、この後のバブル期はアウトドアは敬遠されます

 時代と共に、趣味趣向というものはまったく変化してしまうもの。かと思いきや、ページをめくっているうちに、そうじゃないものもあることを知れる。それは、小学館が現在も発行しているアウトドア雑誌「BE-PAL」の自社広告である。「BE-PAL」の創刊は1981年だが、この広告を見る限り、現在と扱っている内容がそうそう変わっていないように思える。アウトドアで訴求力のある内容は、常にウェアや道具、そして「どこに出かけて、何を楽しむか」という問題。「GORO」のような、若者が知りたい情報がすべて網羅されている軟派な雑誌が姿を消す一方で、アウトドア雑誌が30年近くも続くことになるなんて、いったい誰が予測できただろうか。
(文=昼間 たかし 文中敬称略)

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