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知ってるようで知らない……薬局の歩き方・クスリの選び方 第5回

「正露丸は時代遅れ」忘年会シーズンを乗り切る胃腸薬の選び方

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

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「正露丸は時代遅れ」忘年会シーズンを乗り切る胃腸薬の選び方 – Business Journal(11月27日)

post_1071.jpg薬事法の改正で今は販売されていない「グリチロン」

 オイッス! 忘年会シーズンですねぇ 暴飲暴食してませんかぁ?

 食べ過ぎ飲み過ぎ……と、胃腸に厳しい季節になってまいりました。風邪薬と同様に、雰囲気でなんとなく買っている人が多いと思われる胃腸薬ですが、前回、風邪薬はぶっちゃけなんでも良いという結論で、ぼったくりをつかまされる以外は取り立ててハズレもないのですが、胃腸薬は別です。胃腸薬の選び方ひとつで、あれよあれよとお腹を壊し、慢性的なポンポンペインに悩まされるはめになるやもしれないのです。

 それゆに胃腸薬の性質を最低限理解した上で、「うへー食べ過ぎたー」とか「胃がキモチワルイ」とかの状況に応じて薬を選んでいかないと、大変なことになりますぉおおおおおお……とひとしきり脅したところで本題に入ります。

●胃腸薬の成分分類は簡単

 胃腸薬は薬局で細かく分かれていますが、使用目的には大きく分けてだいたい4つです。

・胃酸を中和し、お腹の不快感を取るという中和剤的な漢方ベースのもの
(パンシロンやキャベジン、太田胃散、アバロンなど)

・胃粘膜を保護するもの
(セルベール、スクラートなど)

・胃酸の分泌を抑える
(ガス10、アシノン、アバロンZ、など)

・消化吸収をサポートする消化酵素や乳酸菌剤
(第一三共胃腸プラス、タカジア錠、ビオフェルミン、ザ・ガードなど)

 なんだ、正露丸が入ってないじゃないかと言う人がいるかもしれませんが、正露丸は極めて古い薬で、結構強力な殺菌剤。もともと食品が衛生的でなかった時代に、食べ物を消毒しながら食べるといったようなニュアンスで使われていた薬で、現在の審査には通らないレベルの薬です。さすがに性能的に、あらゆる薬に及ばないので、もはや飲むまでもない時代遅れの薬と言えます。

 なので、現代を代表するクスリという点での胃腸薬を選びましょう!

●就寝前と食間に飲むべきクスリ

 使い方に注意が必要なのが、胃粘膜を保護する薬と、胃酸の分泌を抑える薬です。これらは薬局薬の中ではトップクラスの万能選手なのですが、それ故使い方を間違うと、いらぬ病気を引き起こすきっかけにもなります。

 特に「ガスター10」(第一三共ヘルスケア)などの強力なヒスタミンH2ブロッカー(通称H2ブロッカー)は、胃酸の分泌をけっこう強力に止めてしまうので、潰瘍や炎症が起きている場合には効果のある薬ですが、あくまで胃が満タンでないときに飲む薬。いわゆる就寝前や食間(食事中ではなく食事と食事の間、食後2〜3時間に飲めという意味)に飲んで胃の再生を助けるものです。

 胃が痛いからと言って食前に飲んで暴飲暴食をしていては、あっというまに胃が破壊されます。朝起きて、胃に不快感がある人は、まずは食事を控えめにし、消化吸収のよい食べものにした上で、これらのH2ブロッカーを食間、就寝前に飲んで胃壁を守ってあげれば、わりと短期で胃が健康な状態に戻すことができます。

 薬局薬で治療が可能な数少ない薬と言えましょう。

●食前に飲むと効果バツグン

 続いて胃粘膜を保護するものの紹介です。薬局では「セルベール」(エーザイ)と「スクラート」(ライオン)が2強といった感じですが、スクラートの成分であるスクラルファートはカルシウムと反応して変化し、効能が台無しになります。それどころか、頭痛などを引き起こすこともあり、乳製品以外のカルシウムでも反応してしまうので、あまり良い商品とは言えません。

 その点、セルベールに含まれるテプレノンは、医者が処方薬で好んで出すセルベックスと同じものであり、最近OTC(オーバー・ザ・カウンター)として薬局で売れている鎮痛剤・ロキソニンとの相性もバツグンでオススメです。

 これらの胃粘膜保護材は、食前30分前に飲んでおけば、胃を保護してくれるので、上手く使いこなせば胃の不快症状をかなり緩和できます。ただ、あまりに万能なので、使いすぎると胃の耐久値を越えてしまいます。1週間使ってだめなら素直に病院に行きましょう。

●おなかの不快感を抑えるクスリ

 こちらは非常に古くからあるクスリで、配合も漢方っぽい成分がいろいろ入って、ついでに、胃粘膜保護材とかも混ざっているものがあります。どの薬も、おおむね食後の不快感をどげんかしたり、腸内の細菌のバランスを変えて、働きを正常化したりするといったものです。

 その効能は簡単で、出過ぎた胃酸を重曹(炭酸水素ナトリウム)で中和して、そのほか消化吸収を促進する健胃薬だったり、乳酸菌などの生物製剤が入っている感じです。使ってみて自分に合うかどうか、コストパフォーマンスを見て選べばOKでしょう。

 最後に、消化吸収をサポートする薬などがありますが、これまた含む成分は千差万別で、とくに怖い成分はないので、自分にあったものを選んで買うとよいでしょう。タカジア信者(新タカジア錠・第一三共ヘルスケア)やビオフェルミン教(ビオフェルミン製薬株式会社)、ザ・ガード信奉者(コーワ)などいろいろいますが、体質次第なので、どれがオススメ! というものは存在しません。

 飲んでみて具合がよければ、体質にあっているのでそれがいいでしょうという程度です。ちなみに自分はザ・ガード信者です。とまぁ、だんだん整腸剤の話になってきたので、整腸剤と下痢止めの類いはそのうちまた別の機会にまとめましょう。

●こっから先は無保証ですよー。

 さて、真面目一辺倒に実用的な話をしてきましたが、ここまではあくまで食べ過ぎの話。

 食べ過ぎや胃のトラブルに効果のある薬というのはよくある話だが、飲みすぎ……つまるところアルコールの大量摂取や、二日酔い、こんなものに効果がある薬なんてものは存在するのでしょうか?

 薬局でそんな薬を尋ねても「ありませんねー」となります。それもそのはず、アルコール分解を促進するとか、そんな都合のよい話は、使用要項に含まれる薬は売られていません。

 じゃあ存在しないのか? となると実は存在しないわけではありません……が、残念ながら、最も良い薬は、2011年の薬事法改正の流れで、薬局から姿を消してしまいました……。

 かつてミノファーゲン製薬で製造されていた「グリチロン」というその薬は、グリチルリチンを1錠中35mg含む単純な薬で、アレルギーの症状緩和薬として売られていましたが、爆発的に普及した多くの抗ヒスタミン剤を前にして、その効果の薄さからまったく日陰の薬となったのでありました。

 しかし、グリチルリチンという成分は、肝機能更新薬であり、血中に入るとさまざまな物質を抱合という形で無害で水溶性の物質にして、尿中に排出してしまいます。もともと持っている肝機能の解毒作用を、外部から助けるというコンセプトのこの薬。実はアルコールの代謝物であるアセトアルデヒドに強力に抱合してしまうため、グロングロンの二日酔いですら、30分から1時間そこらで元に戻してしまう威力がありました。

 また複雑な作用機構は不明ですが、明らかに酔いにくくなるという作用も報告されており、一時期は知る人ぞ知る薬……となっていましたが、先述の薬事法改正によりあえなく薬局より消滅しました。

 現在グリチルリチンを同量配合する薬は、アレルギール(第一三共ヘルスケア)というアレルギー向けの薬なのですが、眠気成分が満載でとても酔い覚ましには使える(使っちゃだめですけどね)ものとは言えません。

 じゃあ結局もう無理なのかというと、そうでもなく、グリチルリチンはもともと甘草という漢方から見つかった成分。甘草がさまざまな解毒作用を持つことから、その成分が研究され製剤化され、西洋薬となったわけですから、オリジナルの甘草湯にはかなりの量のグリチルリチンが含まれます。

 ただし吸収はゆっくりのようで、劇的な効果は薄いものの、二日酔い覚ましにはわりと優秀。

 ……もちろん、無保証かつ筆者もまったくオススメしません(一応グリチルリチンの飲みすぎによる副作用も報告されていますし、例のごとく体質次第では悪化しかねないので)

 が、あえて続けるのであれば、現在最も有力薬は、ペアA錠(ライオン)でしょう。これはお肌のトラブルにと売られている薬ですが、中身はグルクロノラクトン。血中に吸収されたあとは、わりと優秀な抱合成分として機能するということは……まぁそろそろ怒られそうなので、この辺にしておきましょう。
(文=へるどくたークラレ)

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最終更新:2012/11/28 14:00
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