日刊サイゾー トップ > 社会  > 終わらない【ワタミ過労死事件】

参院選出馬の陰で……飛び降り自殺から5年「金なら払う」終わらないワタミ過労死事件の今

 140時間の残業をはじめ、彼女がワタミから強いられた苦痛は“ブラック企業認定”を受けるのに十分だ。だが、ワタミのブラック企業としての行動はこれに終わらない。彼女の死後も、その遺族に対して呆れんばかり対応を見せているのだ。ワタミ過労自殺遺族を支援している全国一般東京東部労組書記長の須田光照氏は「彼らは金さえ支払えば解決すると思っているんです」と苦々しい顔を浮かべる。

 交渉の過程で、損害賠償を支払う意向を示しているワタミ。もちろん、損害賠償の金額も重要だが、遺族側が求めていることは「娘がなぜ死ななければならなかったのか」という真相の究明と再発防止、ワタミ側の「誠実な」対応だ。

「渡邉美樹氏をはじめ、社内で責任ある立場の人が出てきて、遺族と会ってほしいという要望を提出しています。しかし、その要望はいまだ実現していません」(須田氏)

 さらに、遺族の怒りを買う事件が昨年11月に起こった。

 ワタミ側と面会を求める遺族側に対して、ワタミが提出した回答は「会長(渡邉氏)との“1回だけ”の面会」「面会時の録音不可」「労働組合の立ち会い不可」という条件のもとでの面会だった。「加害者側であるワタミは、条件を付けることができる立場ではないはず」。須田氏の顔は、怒りを通り越して呆れ顔だ。そして、膠着状態に業を煮やしたのか、ワタミは名古屋地裁に異例ともいえる加害者側からの民事調停を申し立てた。

「過労死問題において、被害者遺族が法的措置を取ることは一般的ですが、加害企業が法的手続きを進めるということは、これまで聞いたことがありません。申し立て趣旨は、ワタミ側が遺族側に対して支払うべき損害賠償の金額を決定するということです」(須田氏)

 謝罪でも、真相究明でもなく「慰謝料の金額」にしか興味がないワタミ。その行動の背景には一刻も早く事件を過去のものとし、企業イメージの回復を図りたいという意図が見え隠れする。しかし、事件の真相が闇の中に葬られては、再発防止策など提出できるはずもなく、第二、第三の被害者が発生する可能性は残されたまま。何よりも、ワタミ側からの正式な謝罪がなければ、被害者遺族の気持ちも収まらないままだ。

 会社としてだけではなく、経営者・渡邉氏の発表するコメントも世間の不興を買っている一因だ。被害者女性の死が過労死であると認定されたその日に投稿されたツイートは、お世辞にも「誠意がある」とは言えないものだった。

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