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参院選出馬の陰で……飛び降り自殺から5年「金なら払う」終わらないワタミ過労死事件の今

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「労災認定の件、大変残念です。四年前のこと 昨日のことのように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社の存在目的の第一は、社員の幸せだからです」

「バングラデシュ朝、五時半に、イスラムの祈りが、響き渡っています。たくさんのご指摘に、感謝します。どこまでも、誠実に、大切な社員が亡くなった事実と向き合っていきます。バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています」(原文ママ)

 あまりに“身勝手すぎる”と受け取られたこれらの投稿が炎上し、「彼女に、心からお詫びをしなくてはならないと考えるに至りました」というコメントを余儀なくされた渡邉氏。しかし、被害者遺族に対する「心からのお詫び」は、この投稿がなされて1年以上を経ても果たされていない。

 そもそも、渡邉氏の哲学には、疑問の声を呈する向きが多い。

「たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうがブッ倒れようが、無理矢理にでも一週間やらせれば、それは無理じゃなくなる」
「自分を犠牲にしてでも働くべき」
「営業12時間の内メシを食える店長は二流」

 先日も、「週刊文春」(文藝春秋)が「365日24時間死ぬまで働け」と記された社内文書の存在を明らかにし、改めて渡邉氏の“哲学”に注目が集まったばかり(http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2761)。厳しい経営哲学や格言も、過労死事件を引き起こした今となっては、犯罪者の持つ凶器と変わらないだろう。にもかかわらず、渡邉氏はいまだ「激励」の言葉を社会に対して投げかけ続けている。今夏に行われる参議院議員選挙の出馬記者会見では「若い方々が元気よく夢を語れる社会にならなければならない」という理想が語られた。5年前、彼が座右の銘として掲げる「夢」に押しつぶされ、マンションから飛び降りた女性がいたにもかかわらず、だ。

 森さんと同期に入社したある社員は、入社説明会の席上「労働組合は存在するのか?」と聞いた。人事の回答は、「労働組合は存在しないし、存在する必要もない」というもの。なぜならば「ワタミ社員は家族であり“労使一体”であるから」という説明だった。その言葉の通り、本当に「家族」であるならば森さんの死について、家長である渡邉美樹氏はどのように思っているのだろうか。今、渡邉氏が語らなければならないのは、日本の指針などという大きな言葉ではなく、被害者遺族に対する謝罪なのではないだろうか。

 先日、渡邉氏は7月の参院選への出馬を表明した。森さんの死から5年。ワタミが誠意を見せない限り、この事件は解決を迎えない。
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

最終更新:2013/06/11 16:57
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