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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第76回

大人も楽しい、“子ども向け”音楽番組『どぅんつくぱ~音楽の時間~』の正義

duntsukuba.jpg『どぅんつくぱ~音楽の時間~』フジテレビ

 『どぅんつくぱ~音楽の時間~』(フジテレビ系)では、音楽の妖精たちが住む世界のお姫様・アイナちゃん(西澤愛菜)が毎回ゲストに訊く質問がある。

「わるいおとなのみきわめかたをおしえてください」

 もちろん、TM NETWORKがゲストのときも、この質問を投げかけた。それに対し、小室哲哉は即座にこう答える。

「最初から優しい人は気をつけたほうがいいよ」

 その回答に、王子様・ココロくん(寺田心)が目を丸くしていると、ピエール瀧が声を務めるロックの妖精・ロック田ベイビーがすかさず「最初から優しい人は、後にどうなるんです?」と続ける。

 「結論から言うと、突然優しくなくなるんだよね。急に変わるんだよ。笑ってたのに、急に怒るんだよね」と小室。

 ロック田が「ココロ、アイナ、この世界で30年もやってると、いろんなことがあるってことだ。わかった?」と言うと、2人の子どもたちは「わかったーー!」と元気いっぱいに答えるのだった。

 『どぅんつくぱ~音楽の時間~』は、6歳のココロくん、5歳のアイナちゃんと世話役お姉さん・まりやさん(西内まりや)がMCを務める音楽番組である。彼らをサポートするのが、ロック田ベイビーやストラディ・バリ子(茅原実里)といった音楽の妖精たち。アートディレクターを務めるのは、天才・ニイルセン。彼が「80年代の本質は“ちょっとアカぬけない愛嬌の良さ”」(「週刊SPA!」扶桑社)と語る通り、どこか80年代をにおわせる、ポップで愛嬌のあるセットやキャラクターたちが特徴的だ。『カリキュラマシーン』(日本テレビ系)、『ウゴウゴルーガ』(フジテレビ系)、『シャキーン!』(Eテレ)などに連なる、子ども番組の系譜といえるだろう。

 ココロくんやアイナちゃんが、ゲストのアーティストに「こどもはすきですか?」「ちいさいころはどんなこどもでしたか?」など無邪気な質問をぶつけていくのが、この番組のメインコーナー。子ども相手だから、優しく分かりやすく答えようとする、ゲストの普段はあまり見られない表情が新鮮だ。その合間合間に、おかしなコーナーが挟み込まれる。

 たとえば、特攻服に身を包んだ“不良”たちが、「クラリネットをこわしちゃった」「気球にのってどこまでも」などの童謡を合唱する「北関東少年少女合唱団」や、『みんなのうた』(NHK)のパロディの「みんなとオマエラの歌」(ちなみに、これらはもともと同局の『今夜はアリエナイト』で放送されたものだ)。また、ガンズ・アンド・ローゼズ、ザ・フー、ニルヴァーナ、レッド・ツェッペリンなどのロックな人生を紹介する「ロック昔話~爆弾つき~」などもある。

 極めつきは「スクリーンセーバー新垣さん」。あのゴーストライター問題で注目された新垣隆に、ココロくん、アイナちゃんが「ラテンのリズムはどうしてウキウキするの?」「ラップのニュースクールとオールドスクールはどうちがうの?」などという、音楽にまつわる質問をするというコーナーだ。そんな質問に、真摯に答える新垣さんだが、画面上では新垣さんの顔がスクリーンセーバーのように浮遊し分裂したりしていて、おぼつかない訥々とした口調と相まって、その説明がまったく頭に入ってこない。あまりにもシュールな映像だ。ちなみに小室哲哉がゲスト出演した回では、エンディングで新垣隆と小室哲哉という稀代の音楽家の夢のコラボレーションが実現。小室の名曲「Get Wild」を2人で連弾。それに合わせてココロくんとアイナちゃんが元気いっぱいに歌っていた。

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