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日刊サイゾー トップ > エンタメ > スポーツ  > 格闘家・渋谷莉孔が世界デビュー

“シブヤコール”がマレーシアを揺らした!! 世界メジャーが「格闘家・渋谷莉孔」を発見した夜

shibuyarikutmnl0325s.jpg(c)2015 ONE Championship

 異国の地で「シブヤコール」が巻き起こった――。3月13日、マレーシアの首都クアラルンプールで開催されたアジア最大の総合格闘技イベント『ONE Championship(旧称ONE FC)』に日本の地下格闘技出身の渋谷莉孔(29)が初参戦し、フライ級王者アドリアーノ・モラエス(26=ブラジル)とタイトルマッチを行った。「渋谷に勝ち目なし」と予想された試合だが、蓋を開けてみれば、フルラウンド(5分5ラウンド)までもつれる接戦に。結果は判定で敗れたが、アグレッシブかつトリッキーな戦いで王者を追い詰めた渋谷には、マレーシアの観衆も大興奮。試合後には早くも「出待ち・追っかけ」をする現地ファンが現れるなど、渋谷は一夜にしてONEのスターダムにのし上がった。

 当日の模様をレポートする前に、渋谷莉孔の経歴を簡潔に振り返っておきたい。

 街のチンピラとしてケンカに明け暮れていた渋谷は2008年、不良の格闘技イベント「THE OUTSIDER(アウトサイダー)」で格闘家デビュー。対戦相手を罵倒しながら血祭りに上げる猟奇的ファイトで話題を呼ぶ。その後、問題を起こしアウトサイダーを追放されてから、地下格闘技の世界で連戦連勝を重ねてきた渋谷が、地下から地上へ顔を覗かせたのは、昨年9月のことだった。「TTF CHALLENGE02」でメジャープロ団体・パンクラスのトップランカーを撃破。その衝撃冷めやらぬうちに、アジア最大の格闘技イベント『ONE Championship』からスカウトされ、このほど初参戦で世界タイトルマッチに挑むことになったのである。

 まさに飛び級と呼ぶにふさわしい大出世だが、見ている側からすれば期待と不安が入り交じる。今回の対戦相手であるアドリアーノ・モラエスは、修斗南米王者からONEの世界フライ級王者となった格闘エリートで、MMA(総合格闘技)12勝1敗という戦績を誇る強豪中の強豪である。

 渋谷贔屓であるはずの日本の格闘ファンからも「今回ばかりは相手が強過ぎる」「渋谷に勝ち目はない」との声が多く聞かれ、渋谷自身も戦前のインタビュー(記事参照)で、「俺は噛ませ犬」と自嘲するほどキャリアの差は歴然。ワンサイドゲームになる危険性を大いにはらんだマッチメイクだったのだ。
 
 渋谷にオファーがあったのは今年の1月。それからわずか2カ月という急ピッチの準備期間を経て、決戦の3月13日を迎えた。

shiburiku_image1.jpg

 開場時刻の午後6時を過ぎると、クアラルンプールにある1万6,000人収容の「スタジアム・プトラ」には、マレー系、中華系、インド系のマレーシア人や、白人の観客らが続々と吸い込まれて行く。「マレーシアではMMAの人気が急上昇中。飲食店のテレビなどでも普通に放映されており、家族や友人と共に観戦する人も多い」(マレーシア人の観客の一人)とのことだ。

 会場入りする人々を眺めていたら、今回渋谷を抜擢した張本人であるONE Championshipのビクター・クイ代表が通りがかったので、インタビューしてみた。

shiburiku_image2.jpgビクター・クイ代表

――あなたはなぜ今回、渋谷莉孔を抜擢したのか?

クイ代表 今回は世界タイトルマッチということで、われわれはアジア中を回って、ファンが最も喜んでくれそうな挑戦者を探したところ、渋谷が一番ふさわしいという結論に至ったんだ。渋谷は本当にダイナミックでエキサイティングなファイター。ここマレーシアの観客を熱狂させることができるエンターテイナーであると私は確信したんだ。

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