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じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

理解できたらヤバい!? 『東京都北区赤羽』清野とおるが描く、狂気の創作『ガードレールと少女』

bf7c4a69.jpg『ガードレールと少女 清野とおるマンガ短変集』(彩図社)

 みなさんは『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン)、そしてその続編『ウヒョッ!東京都北区赤羽』(双葉社)という作品をご存じでしょうか? 僕はこの一連の作品を読んだ時、「赤羽! そういうのもあるのか!!」と、まるで初めて『孤独のグルメ』(扶桑社)を読んだ時と同じような衝撃を受け、それ以来すっかり北区赤羽シリーズの虜になっています。

 『東京都北区赤羽』および『ウヒョッ!東京都北区赤羽』は、東京の人以外あまりなじみのない、そして東京の人でも誰もが知ってるというほどの知名度でもない「赤羽」という土地にスポットを当て、赤羽に出てくる変な人や変な店、変なスポットなどを清野とおる先生が面白おかしく紹介しているノンフィクション・エッセイマンガです。もともとカルト的な人気を誇っていた作品ですが、今年1月、山田孝之さん主演のドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)が放送されたことで、いよいよメインストリームに進出してきた感があります。赤羽の地価にもさぞや影響を与えていることでしょう。

 ところで、作者の清野先生は、かつてこの日刊サイゾーでも「キ○チ○ガ○イと呼ばないで」という、やたらウ○コの話が出てくる文字通りキチxxな連載をされておりました。これがまためちゃくちゃ面白いコラムで、赤羽に限らずあらゆるノンフィクションな題材を面白く仕上げることができる天賦の才を発揮しています。

 しかし『東京都北区赤羽』シリーズをはじめ、『Love & Peace~清野とおるのフツウの日々~』『清野とおるのデス散歩』(共に白泉社)などの一連の清野作品を読んでいて、常に感じていたのは、一見おバカなギャグの中に、ある種の狂気ともいえる、読んでいて背筋がゾクゾクとする「何か」が見え隠れしていることでした。

 その清野先生の見え隠れしていた「狂気」の部分を凝縮した作品といえるのが、『ガードレールと少女 清野とおるマンガ短変集』(彩図社)です。この単行本は『東京都北区赤羽』のようなノンフィクションではなく完全なる創作マンガ集で、清野先生が描くかわいらしい画の上に、まったく理解不能なナンセンスギャグと、失禁しそうなほどの狂気が惜しみなく散りばめられており、ほとんどの読者が置いてけぼりにされる「読み手を試しているマンガ」と言えるでしょう。

 この『ガードレールと少女』がいかに狂気に満ちているか、その内容を一部ご紹介しましょう(※ネタバレあり)。

・「ま」
 道路に書かれている「止まれ」の「ま」の部分だけを盗んで食べる女子高生の話。「ま」だけでなくカタカナの「止マレ」の「マ」を盗んで食べてみたら、あまりのおいしさにハマってしまい、日本中にあるすべての「止マレ」の「マ」を盗みつくすようになる。……ちょっと何言ってんだかわからないと思いますが、本当にこういう内容のマンガなのです。

・「曲がれない男」
 就職活動中に曲がり角を曲がったらカッパに火をふかれて全身火傷し、髪もアフロのようになってしまったトラウマで、曲がり角が怖くて曲がれなくなった男の話。男のお母さんが息子のトラウマを解消しようと、曲がり角に全裸の美女を設置。電信柱でポールダンスをしながら美女が男にこう語りかけるのです。「SHALL WE SEX?」…ちょっと何言ってんだかわからないと思いますが、本当にこういう内容のマンガなのです。

・「ロフトの上の人」
 賃貸の1LDKマンションを契約してみたら、LDKの「D(ダイニング)」がない物件だった。詐欺じゃないか、騙された! と怒る男。よく見ると、部屋のロフトの上に誰かいる……その男は、実はドッペルゲンガー(もうひとりの自分)だった。なーんだ、LDKの「D」ってドッペルゲンガーのことだったんだ!……ちょっと何言ってんだかわからないと思いますが、本当にこういう内容のマンガなのです。

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