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ベテラン海外ドラマライター・幕田千宏の「すごドラ!」

キーファー・サザーランドが“望まれない”大統領になって孤軍奮闘!『サバイバー 宿命の大統領』


YouTube「Netflix Japan」より

ついに誕生したトランプ大統領。就任式では議員たちのボイコットが続出、観衆も当初予想されていた90万人を大きく下回り、さらには、アメリカのみならず世界各地で反トランプのデモが行われるなど、まさに波乱のスタートだ。前代未聞のヒール大統領誕生から当面、目が離せそうにないが、そんな“望まれない”大統領の苦労が垣間見えるドラマがある。それが『サバイバー 宿命の大統領』だ。

もっとも、トランプ氏は嫌われ者とはいえ、選挙で正式に選ばれた大統領。しかし、このドラマの大統領トム・カークマンは、選挙ではなく、繰り上がり方式で図らずも大統領になってしまったという人物。そんな苦労を背負い込んだトホホな大統領を演じるのが、『24 TWENTY FOUR』のジャック・バウアー役でおなじみのキーファー・サザーランドだ。

キーファーにホワイトハウスとくれば、やはり普通のドラマよりテロ絡みを想像してしまうが、その通り、このドラマはワシントンを舞台にした政治ドラマであると同時に、未曾有のテロと戦う大統領を描いたドラマだ。『24 TWENTY FOUR』といえば、今年は復活版第2弾が放送されるが、キーファーはそれには出演せず、今度は大統領となってテロと戦うことになる。

キーファーが演じるトムは、住宅都市開発庁という、閣僚とはいえ、超下っ端の地味省庁の長官。アメリカではテロなどによる政府機能の停止を回避するために、連邦議会議事堂で閣僚や議員が一堂に会する際などに、両院の各党1名ずつが欠席して別の安全な場所で待機する指定生存者制度があり、トムは一般教書演説の日に、この指定生存者となっていた。まさかのための措置ということで、下っ端閣僚のトムが選ばれていたわけだが、なんとその一般教書演説中に大規模テロが勃発し、大統領はおろか、上位の閣僚から両院の議員まで軒並み犠牲になってしまう。そんな混乱の中、どさくさまぎれのような状態で大統領になってしまったトム。住宅都市開発庁長官という、アメリカ人でもロクに知らない無名の存在からいきなり大統領となり、しかも議員すらひとりもいないという、限りなく無政府状態での船出は苦難の連続だ。

繰り上がり式大統領といえば、『ハウス・オブ・カード』のフランクも同様だが、彼は当時副大統領であり、内閣も議会も存在しているという点では通常運転の範囲。それでも、選挙で選ばれていないことが弱点になったところからしても、トランプがどれだけ嫌われようとも選挙で選ばれたというのは、それだけでかなり大きなアドバンテージなのだとしみじみと思ってしまう。それなのに本作のトムは、選挙で選ばれていないだけでなく、めぼしいキャリアもなければ、実はクビになる寸前だったというのだから、望まれてない感も極まれりだ。

そんな大統領トム(キーファー)は、無敵のジャック・バウアーとは違い、アクションバリバリでテロリストと対峙することはない。しかし、孤軍奮闘という意味では、トムも近いものがある。もはや議会も存在せず、政府の立て直しと同時にこのテロの首謀者を追わなければならないトムだが、そのために必要な軍のトップは完全にトムをナメきっているわ、マスコミからは徹底的に攻撃されるわ、共和党の指定生存者だった下院議員フックストラテンは明らかにトムより一枚上手なしたたか者で、大統領のポジションを虎視眈々と狙っているわ……という四面楚歌の状況は、ある意味、ジャック・バウアーより過酷だ。しかし、そんな過酷さの中で、決して無双ではないトムが奮闘するからこそ、多くの人は共感を覚えるだろう。下っ端閣僚だったからこその庶民感覚や、人として当たり前の感覚を大事にするトムは、いまだアメリカ人が理想の大統領と語ることが多いドラマ『ザ・ホワイトハウス』のバートレット大統領に匹敵する人気大統領キャラクターとなる可能性がある。自身の代名詞となったジャック・バウアーを超えることができるか、これはキーファーにとっても大きな挑戦なのだ。

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