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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.413

日本は格差社会ではなく、すでに階級社会だった!? 『愚行録』が暴くこの国の見えないヒエラルヒー

日本は格差社会ではなく、すでに階級社会だった!? 『愚行録』が暴くこの国の見えないヒエラルヒーの画像1映像化は困難とされた貫井徳郎作品の初映画化『愚行録』。週刊誌記者の田中(妻夫木聡)はエリート一家惨殺事件の真相を探る。

 慶應大学には付属校から上がった内部生と大学から入った外部生との間に見えない溝が存在し、早稲田大学では一流企業に就職するための猛烈なコネづくりが行なわれている──。有名大学のえげつない内情を克明に描いた貫井徳郎のミステリー小説『愚行録』(東京創元社)が、妻夫木聡&満島ひかり主演作として映画化された。本作で長編デビューを果たしたのは、ポーランド国立映画大学で演出を学んだ新鋭・石川慶監督。にこやかな表情を浮かべながらも、いっさい本音を吐くことのないエリート階級の人々の腹黒い内面を、乾いた映像で切り取ってみせ、魅力的なドス黒系エンターテイメントに仕立てている。

 誰からも愛された美男美女のエリート夫婦とその娘が新築されたばかり自宅で刺殺されるという陰惨な事件が起き、犯行から1年が経っても犯人の手掛かりはつかめない。週刊誌記者の田中(妻夫木聡)はエリート夫婦の過去を知る関係者たちへの取材を始める。被害者夫婦の友人たちは「あんないい人がなぜ?」と首を傾げるが、その言葉の裏側から被害者夫婦の意外な素顔が浮かび上がってくる。さらに田中が取材を進めていくと、今の日本は格差社会どころか、歴然とした階級社会であることを思い知らされる。実の妹・光子(満島ひかり)が我が子をネグレクトしていた疑いで拘置所送りとなっている田中にとって、エリート階級とその階級に憧れる人々たちの言動はあまりにも虚しく感じられた。

 直木賞候補にもなった原作小説を2時間に収めるために、映画ではぎゅっと絞った形となっているが、登場キャラクターたちの腹黒さや浅はかさが次々とスクリーンに映し出されていく。本人たちはそのことに気づいていない分、取材記者・田中の目を通して見る我々には、よりイタくてキモいキャラクターに映る。中でも極めつけなのが、殺されることになる夏原友季恵(松本若菜)だ。美人でファッションセンスに優れている友季恵は、学生の頃から人気者だった。大学から入った外部生ながら、華やかさと育ちの良さから内部生とのランチに呼ばれ、あっさりと学内カーストを駆け上がっていく。クラスメイトの誰とも明るく接するが、ダサくて取り柄もない外部生を内部生に紹介することは決してしない。友季恵をライバル視する同級生の淳子(臼田あさ美)は目障りなので、淳子の彼氏・尾形(中村倫也)を思わせぶりな態度で奪い取ってしまう。尾形が淳子から自分に乗り換える様子を見て、友季恵はにっこりと微笑む。

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