日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 武井咲、結婚&出産で化ける?
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

『黒革の手帖』悪女役で新境地開拓! “リアル元子”武井咲は、結婚&出産でさらに化ける?

 月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(同)でも、三浦春馬が演じる高校教師を振り回す女子高生を好演していた。この時期の武井は、思春期の美少女が持つ危うさを演じさせると右に出る者がいなかった。

 この2作に出演できたことは、若手女優として幸運なスタートだったといえる。ただ、出演作が多く、作品自体に当たり外れが多かったこともあってか、女優としては安く見られていた。

 剛力彩芽もそうだが、オスカーは新人女優を次から次へとドラマに出演させる。そのためネットでは、ゴリ押しというイメージが先行していた。だが、武井はさまざまな作品に出演することでコメディや時代劇など幅広く演じるようになり、近年は安定感のある演技を見せるようになっていた。

 そんな中、『黒革の手帖』での悪女役は、武井にとっても新境地だった。

 EXILEのTAKAHIROとの結婚&妊娠の報道を知った時は驚いたが、「早めに出産したい」と語っていたので、有言実行という感じなのだろう。

 同時に、今の若い子らしい選択とも思った。芸能界に限らないが、武井のような今の20代は、上の世代が結婚に躊躇しているうちに晩婚化、未婚化している姿を見てきた世代だ。

 だから、自分たちのライフプランに関しては、かなり自覚的なのだろう。そういうクールに自分の人生を見ているような覚めた視線があるからこそ、シリアスな美少女からコミカルなコメディエンヌまで幅広く演じることができたのだ。

 まさに、元子のような計算高さと大胆さを兼ね備えた女優だといえる。
 
 おそらくテレ朝サイドとしては10年くらいのスパンで同じような役を演じてもらい、30歳ぐらいをめどに、米倉のようなテレ朝ドラマを代表するような大人の看板女優となってほしいと考えているのだろう。その期待に、武井は『黒革の手帖』で見事に応えたと思う。
 
 出産後に、彼女がどういう距離感で女優業を続けていくのかわからない。だが、今回の結婚&妊娠は、女優として間違いなくプラスになるはずだ。
(文=成馬零一)

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

最終更新:2017/10/04 18:13
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