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『コンフィデンスマンJP』コメディだけど社会風刺が魅力的! 視聴率ダウンも神回連発するワケ

■『コンフィデンスマンJP』に潜む社会風刺

 第8話の魅力は、展開の意外性に留まらない。社会風刺的な一面もスパイスとして潜んでいた。

 パワハラのリークで手に入った50万円で、元気を取り戻す福田ほのか。もともと彼女はミカブランドの入社を喜び、傷つけばミカへのバッシングで癒さやれてしまう。彼女は他者への憧れか批判でしか、自分の価値を保つことができない。美容の仕事も自分をカッコよく見せるためのアクセサリーにすぎなかったのだろう。

 対照的に、ミカにとって美容は人生そのものだった。顔に火傷を負ったせいで、亭主に捨てられ、仕事すら見つからない母の苦労を見て育った。だから女性を美しくすることにストイックであるし、美容の仕事に就きながら痩せようとしないミカを叱責したのも頷ける。ミカは全てを失い団地暮らしとなった後も近所の奥様を綺麗にすることに喜びを感じていた。

「カリスマに勝って、凡人に負けた」

 ミカを騙せたが、ほのかのリークで計画が失敗したダー子の一言にはハッとさせられる。

 近年、パワハラやセクハラで多くの権力者が失脚している。ハラスメントそのものへの批判は仕方ないが、辞職にまで追い込む風潮は有益なのだろうか。批判するからにはその対象の過去の功績や失脚後の損失にも目を向けねばと、記事を書く人間として反省させられた。

■演出家の違いで出る、各話のテイストの違いとは?

 第8話の意外な展開も社会風刺も、“女性の願望”が起点となっている。りょう扮する美濃部ミカの美への執着心が、ダー子に大きく影響していた。計画変更を余儀なくされるし、詐欺師なので目立ってはいけないのに表舞台に出てしまうし、ミカへの共感から騙すことへの罪悪感まで持つ。

 第8話で演出を手掛けたのは、田中亮氏。第5話の「スーパードクター編」でも、かたせ梨乃演じる野々宮ナンシーの魅力が物語の肝になっていた。『ラストシンデレラ』『ディアシスター』(共にフジテレビ)など、女性の心理描写を得意とする田中氏にマッチした脚本だったと言える。

 通常、脚本家は“本打ち”と呼ばれる打ち合わせを重ね、脚本を執筆する。演出家やプロデューサーからのアイデアを脚本に反映することも多い。

 田中氏であれば女性の心境が深堀りされる回になり、「映画マニア編」や「遺跡発掘編」なの演出を手掛けた金井絋氏の回は小ネタやコスプレが多い。近年メガホンを撮り始めた三橋利行氏の場合は古沢良太の書く台詞を尊重し、一言一句が聞き取りやすいように丁寧な演出を心がけている印象だ。

 最終話の前に、今までの回を見直し、誰が演出する回が好きかを確かめてみるのも面白い。個人的には、三橋氏が手掛けた「美術商編」と「家族編」がお薦めである。

 残り2話、誰がメガホンを取るのかも楽しみにしつつ、第9話「スポーツ編」を心待ちにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

最終更新:2018/06/04 18:30
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