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もはや京大も“Fラン”なのか……「京大百万遍コタツ事件」上田雅子が語った一部始終

「逮捕される可能性は、考えていないわけではありませんでした。しかし、このタイミングで来るとは……」

 昼下がりのカフェで、京都大学大学院生の上田雅子は笑みを浮かべながら話し始めた。

 今、京都大学に大手新聞やテレビまでもが注目している。立て看の撤去問題。そして、学生寮のひとつ吉田寮の取り壊し問題。さまざま、新しさのある言葉を並べて学内での学生の自主活動を規制。学生が自治管理する空間をなきものにしようとする大学当局と学生とのせめぎ合いは、日を追う毎に盛り上がっている。とりわけ、大学当局が立て看の撤去を開始した5月以降、緊張感は緩むことがない。

 そんな状況下で、上田が京都府警下鴨署に逮捕されたのは5月22日のこと。道路交通法違反が、彼女にかけられた容疑である。

 今年の2月25日。上田は数人の仲間と共に京都大学近くの百万遍交差点にコタツを置き、鍋を囲んだ。そして仲間たちと共に、こう呼びかけた(この日は入試当日でもあった)。

「よかったら、こちらの方に来て、一緒に鍋を囲みませんか~」

 こんな学生たちの「運動」が行われるのは、これが初めてではない。道路や施設の前にコタツを置き拡声器で情宣をするスタイルは、1990年代に「法政大学の貧乏くささを守る会」を嚆矢とし、連綿と受け継がれてきたもの。それが、逮捕へ至る苛烈な弾圧を受けたケースは、これまでに聞いたことはない。

 2003年。この年に開業した六本木ヒルズの、最初のクリスマスの日。前日に某大学でバラ撒いたビラから警察当局の知るところとなった「六本木ヒルズ粉砕闘争(首謀者とか経緯は、ここでは省略)」の時のこと。鍋を出せば、早くもバスを連ねてやってきた多数の機動隊に囲まれるという異様な光景が、そこにはあった。だが、緊張感はあれども、逮捕される物はなかった。

 どこで知ったか、その「伝統」を受け継ぐ京大生らのコタツ闘争も、これまで苛烈な弾圧に晒されたことはなかった。

「過去にも、さまざまな学生が百万遍交差点にコタツを出して情宣することは行われてきました。通報を受けた警察官がやってきて、やめるよう注意されることはありましたが、これまで逮捕されたケースはなかったのです」

 好意的に受け止める者。迷惑がる者。あるいは「バカな学生がいるな」と思いつつ、自分も参加する者や、批判をする者。コタツ闘争への評価はさまざまあれども、警察当局も逮捕するまでの行為は躊躇していた。

 

■当初は警察への協力を拒んでいた大学当局

 上田は、メモも見ずに日付なども正確に逮捕までの経緯を語った。

 事態が急変したのは3月に入ってからだった。突然、警察が現場検証を実施したのだ。3月29日には、文学部教務課に家宅捜索が入り名簿に掲載されていた何人かの学生の写真を撮影して帰って行ったのである。

「誰の写真を撮影したのかはわかりませんが、自分たちのことじゃないかなとは思っていました……ただ、その後は音沙汰もなかったので……」

 それから2カ月以上が経った5月22日の朝。バイトに出かけようとした上田の携帯電話に、見知らぬ番号から着信があった。

「下鴨署です、もうすべてわかっていますから」

 午前10時に出頭するように要求する相手に対し、上田は拒否。弁護士と相談の上、午後になって出頭した。さっそく始まった取り調べの中で、幾度も聞かれたのは今回一緒に逮捕されたもう1人を除く、あとの2人の名前だ。

「とにかく『ほかの人間の名前を言え』と、言うんです。それを拒否していたら、逮捕されてしまいました」

 留置所の独房に泊まることになってしまった上田。ところが、裁判所は拘留申請を却下。わずか数日で、晴れて釈放となったのである。

 いったい、たかが「また京大生がバカなことやっているな」程度のコタツ闘争で、逮捕にいたってしまった理由はなんなのか。

 筆者の想像に過ぎないが、その背後には、大学の方針に逆らう中心メンバーの名前を捕捉したい大学当局と公安警察の意図が見え隠れする。

 持久戦から実力行動まで、さまざまな方針が入り乱れてはいる。立て看問題や吉田寮問題の双方に取り組む者。それぞれは別個の問題と捉える者など立場はさまざまだ。京大当局の弾圧体制に対し違和感を抱く学生は増えている。思想の左右や有無にかかわらず、である。その中でも、より活動的なメンバーの首根っこを押さえることで運動を収束に向かわせるのは、あちこちで繰り返されてきた弾圧の常道だ。

 いずれにしても、上田のような学内で大学当局への反抗の台風の目になっている目障りな学生を、一刻も早く排除したいという点で、大学当局と公安警察の一致した結果が、今回の逮捕へと至ったのであろう。


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