トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ  > ハロプロのお家芸“公開オーディション”の終焉
【wezzy】

「坂道合同オーディション」から考える、ハロプロのお家芸“公開オーディション”という時代の終焉

 今年6月から開催されていた、乃木坂46、欅坂46、けやき坂46の「坂道シリーズ3グループ合同オーディション」の合格者39人が決定。12月3日に乃木坂46が、12月10日に欅坂46とけやき坂46が、それぞれ日本武道館で「お見立て会」を開催し、新メンバーをお披露目した。

 アイドルグループのオーディションが開催される際、しばしばファンから出てくるのが「審査の過程を公開してほしい」という意見だ。たとえばテレビ番組などでオーディションに密着すれば、それぞれの新メンバーに対する思い入れも深まり、ファンとしてはその分楽しみも増えるかもしれない。あるいは、オーディションの段階で注目度を高めれば、いざ実際にデビューとなった場合、一気に売り出すこともできるかもしれない。

 確かにそういったメリットもあるだろう。しかし実際には、この「坂道シリーズ3グループ合同オーディション」も含め、必ずしもその審査過程を大々的に公開するオーディションが多いわけではないのだ。

 オーディションを大々的に公開していたアイドルグループといって思い出されるのが、モーニング娘。だろう。そもそも、オーディションバラエティー番組『ASAYAN』(テレビ東京系、1995〜2002年)内の企画として結成されたグループということもあり、2012年開催の「モーニング娘。11期メンバー『スッピン歌姫』オーディション」までは、なんらかの形でテレビ番組などで審査の過程が公開されていた。しかし、2013年以降のオーディションは、モーニング娘。以外のハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)グループのオーディションも含め、基本的に結果のみの発表となっている。それはなぜなのだろうか?

[wezzy_blogcard 57565]

他社の新人発掘を“代行”する結果に!?
 ハロプロのオーディションが非公開にシフトした理由は明らかにされていないが、一説には「ライバルグループへの人材流出を避けるため」ともいわれている。

「実力派」と称されることの多いハロプロの厳しいオーディションでこそ合格しなくても、最終審査まで進出したとなれば、当然それなりの素質があるということの証しとなる。となれば、そういった人材を欲しいと思う芸能事務所は少なくない。ハロプロのオーディションでいいところまでいった人材にアプローチすれば、“即戦力”をスカウトすることができるのだ。つまり、ハロプロに限った話ではないが、公開オーディションは他社の新人発掘を“代行”することにもつながりかねないのだ。

 最近ではこんなケースもあった。2017年7月、ハロプロは「ハロー!プロジェクト新メンバーオーディション」を開催し、Abema TVで配信された番組で、その審査過程を久々に公開してみせた。同オーディションは同グループ内の特定グループのメンバーを決めるものではなく、合格者はハロプロのどのグループにも加入する可能性があるというものであったが、結局、「合格者はなし」という結論に。代わりにその最終審査進出者8名にはハロプロの下部組織、ハロプロ研修生への加入が打診され、実際に7名がハロプロ研修生入りを果たした。ところが、その中の1人である橋本桃呼は現在ハロプロから離れ、ラストアイドル2期生のセンターとして活躍中なのである。

ラストアイドル橋本桃呼は「元ハロプロ研修生」なのか?
 上記のオーディション合格後の橋本桃呼は、2017年12月に行われた「Hello! Project 研修生発表会 2017 12月 ~Conti→New!~」においてハロプロ研修生としてお披露目され、ここでは同オーディション課題曲であったモーニング娘。’17の「ジェラシー ジェラシー」のダンスパフォーマンスを披露。そして、2018年3月の「Hello! Project 研修生発表会 2018 3月 〜さくら〜」に出演し、数曲のパフォーマンスに参加したが、それを最後に、ハロプロ研修生としての活動を終了してしまう。

 その約半年後、橋本は『ラストアイドル』(テレビ朝日系)に“元ハロプロ研修生”として出演し、バトルに勝利。ラストアイドル2期生のセンターの座を射止めたのだ。

 

ラストアイドル公式サイト内、橋本桃呼のプロフィールページより。「桃呼」と書いて「ももこ」と読む。
 確かに「元ハロプロ研修生」という肩書きは間違いではないが、研修期間はたったの3カ月で、発表会でも数曲に参加しただけ。果たして“元ハロプロ”と呼んでいいのかどうか、ファンとしてはその判断は難しいところだろう。これがもし、非公開のオーディションで合格し、ひっそり研修生に加入したメンバーであれば、特にラストアイドル加入後も特にピックアップされることもなかったかもしれない。久々の公開オーディションということでアイドル業界から注目されていた「ハロー!プロジェクト新メンバーオーディション」出身者だったからこそ、“元ハロプロ”という肩書きにバリューが生まれたのでは……そんな見方もできるはず。そういう意味では、このケースにおいてハロプロは、公開オーディションを選んだことにより、ライバルグループのセンターを“発掘してあげた”形となってしまったのである。

 ただ、裏を返せば、「ハロー!プロジェクト新メンバーオーディション」が公開されていたからこそ、橋本桃呼という逸材にスポットが当たったという見方もできよう。橋本がそのままハロプロ研修生として活動していたとしてもデビューできたかどうかはわからない。しかし、彼女はラストアイドルの門をたたき、そしておそらくは同オーディションが公開であったからこそ、ラストアイドルとしてデビューすることができたのだ。橋本本人のキャリアを考えれば、ひとつの望ましい展開であったことは間違いないだろう。

 とはいえ、当然ながらオーディションとは本来、自社で売り出す才能を見つけるためのものであり、ライバルグループで活躍する人材を代わりに探し出してあげるためのものではない。芸能プロダクションが自社でコストを負担してオーディションを開くとなれば、その“果実”も自社で独占したいと考えるのは当然のこと。その意味では、オーディションが非公開となるのは自然な流れだといえよう。

 

公開オーディションの時代はすでに終わった
 オーディションを非公開にすることで、参加者の行動に対する“リスク”を回避できるというメリットもある。たとえば、オーディション参加者が過去に不適切なSNS投稿などをしていた場合、それがオーディション主催者の不祥事のように報じられてしまうケースもあるだろう。また、オーディション参加者が将来その肩書きを使って、主催者にとっては好ましくない行動に及ぶ可能性もある。主催者側で制御できないリスクを回避するためにも、現在のアイドルオーディションにおいては、非公開とするのは賢明な選択なのだ。

 ハロプロでは2018年5月に、「ハロー!プロジェクト“ONLY YOU”オーディション」を開催。審査過程は一切明かされていないが、新グループ・BEYOOOOONDSの追加メンバーとして平井美葉、小林萌花、里吉うたのの3人が合格。さらに、アンジュルムの新メンバーとして伊勢鈴蘭が合格した。公開オーディションであった「ハロー!プロジェクト新メンバーオーディション」では合格者を出さず、非公開の「ハロー!プロジェクト“ONLY YOU”オーディション」で4人の合格者が出たということは、なんとも象徴的だといえるのではないだろうか。もしかしたら、さまざまなリスクを伴う公開オーディションは最初から合格者を出さないことを前提としており、非公開のオーディションでこそ即戦力となるような人材をガチで選んでいたのでは──などという仮説さえ立てられそうだ。

 ちなみに、冒頭で述べた乃木坂46、欅坂46、けやき坂46の「坂道シリーズ3グループ合同オーディション」では、審査過程を詳細に公開することはないが、候補者によるSHOWROOM配信を行っていた。もちろん、候補者から他グループへ加入するような可能性も十分に考えられるわけだが、そこは天下の坂道グループであり、落選者が他社に流出したところで大きな痛手にはならないという判断が働いたのだろう。そのあたりは、ハロプロとはまた事情が異なりそうだ。

 あくまでもケースバイケースではあるが、アイドルファンにとっては楽しみのひとつとなっている公開オーディションが、実は主催者側のリスクとなることは多い。あまたのアイドルグループがしのぎを削る昨今であればなおのこと。オーディションの過程を楽しむ時代は、すでに終わったのかもしれない。

(文/青野ヒロミ)

最終更新:2018/12/17 07:15
ページ上部へ戻る

配給映画