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“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.22

NGT48暴行事件は、なぜあんなにも大ごとになってしまったのか?――いちアイドルファンの目線から考えてみる

山口真帆 公式Twitter(@maho_yamaguchi)より

 昨年のクリスマスイブ、フジテレビ系で、ドラマ『犬神家の一族』が放送された。

 名探偵・金田一耕助をNEWSの加藤シゲアキが演じるなど、これまでの映画やドラマで際立っていた同作品の“陰鬱さ”よりも“エンターテイメント性”が強く感じられ、面白く見ることができた。

 私は、この作品に限らず、横溝正史作品の映像化は大好きで、テレビや映画を度々見ている。そこで描かれるのは、人の欲――性愛であったり、名誉欲、憎しみ、妬み――というものの果てのなさと、それらが複雑に絡まって事件を起こしてしまうという、人間の愚かさである。そのような「人間の業」のようなものを描き出している点が、実に魅力的なのである。

“性悪説”と言ってしまえばそれまでなのだが、人間誰しも、心の中に嫉みや妬みを抱えているものだと思っている。

 明けて1月8日、NGT48のメンバーである山口真帆が、動画配信サイト「SHOWROOM」で、1カ月前に自宅で2人組の男に襲われたことを告白した。続いて、グループのメンバーが犯行に関与していたことを疑わせる内容をTwitterにも投稿したことから、事件はまたたく間に広まっていった。

 不起訴になったとはいえ、警察沙汰になった暴行事件であるため、テレビはワイドショーのみならず、一般のニュースでも伝えられることとなった。

 10日、山口が劇場公演に出演。被害者自身が騒ぎになったことを「謝罪」するという“異常さ”に、世間からは運営側への批判の声が相次ぎ、14日には、マネジメントを担当するAKSの松村匠取締役、NGT48劇場の早川麻依子新支配人、岡田剛新副支配人がカメラの前に出て、改めて会見を開くこととなった。

 そして、山口の涙の告発から2週間ほど経った現在、ネット上では、「太ヲタ」「Z軍団」「アイドルハンター」などといった、「アイドルと接触する」ことを目的とした軍団の名前や関係図まで流されたり、メンバー間の確執が疑われたり、さらには、海外のメディアまでがこの事件を報じているという状況にまでなっている。

 もちろん、一人の女の子が襲われたのだから、決して小さな事件ではない。運営側の対応の遅れなども指摘されているが、果たして、それだけでここまで大きくなってしまうものだろうか?

 個人的に、今回の事件が大きくなった背景には、横溝正史作品に描かれていたような、人の妬みや憎しみといった感情が絡み合い、それが大きく作用しているように思えてならない。そこで今回は、いちアイドルファンとしての心情を考え、この事件を考察してみたい。

 

■いろんな妬みが混じっている

 誤解を恐れずに書くが、今回の騒ぎの中でまず感じるのは、犯行を行った軍団に対する「羨望感」だ。

 各メディアの報道によれば、メンバーの寮と同じマンションに住み、推しのメンバーと部屋の行き来もあったように伝えられている。アイドルファンなら誰でも一度は夢見るであろう状況である。

 ここでは、実際にそうであったかどうかはあまり関係がない。そうであるかのような報道を見て、多くのファンが「あのヤロー、いい思いしやがって!」という気持ちになっていることが重要なのだ。

 そして、この感覚は、実はNGT48のファンだけのものでないことにも目を向けなければならない。他にも、事務所が用意した寮(何部屋かを寮として借りているマンションが多いだろう)に住んでいるアイドルは多い。それらのファンの人も、自分の好きなアイドルと、NGT48のメンバーを重ね合わせて、やっぱり悔しがることだろう。

 実際、TwitterなどSNSを見ていると、アイドルと繋がったといわれる“軍団”の話題に反応しているのは、NGT48のファンではなく、一般のアイドルファンが多いように感じる。つまり、今回の事件は、「どのアイドルグループにも起こりうる」という点において、日本中・世界中にいるアイドルファン全体を悔しがらせてしまったのだ。

 アイドルのスキャンダルや炎上を見ていて思うのは、この「嫉妬」ともいえる感情を刺激してしまうと、いたずらに問題が大きくなってしまうということだ。例えば、普通の恋愛報道より不倫などのほうが騒ぎになるのは、「結婚しているにもかかわらず、他の女にまで手を出して羨ましい」という嫉妬心を、より強く煽るからだろう。

 そもそも、この事件の発端は、NGT48のメンバー間や、それらを取り巻く軍団、一般のファンなどの間に嫉妬の感情があったことによるものではないだろうか。

 感覚的なものではあるが、そのような感情というのは、何かのきっかけで周囲の関わりのある人に伝播していくように思う。最初は小さな憎しみであったものが、人々を巻き込んで大きくなっていく。そう、あの横溝正史作品のように、何かのはずみで大事件が起こっていくのである。

 私は嫉妬する気持ちが一概に悪いとは考えていない。嫉妬や憧れは、誰もが持ち得る感情だし、自分が努力するためのバネになることだってあるからだ。ただし、それを一時の感情に任せて、憎しみに変え、誰かを攻撃しようとする衝動が問題なのだ。

 人は理性を持った動物である。今、ネットなどを通して、自分の欲望を爆発させている人たちを見ると、理性が退化しているような不安を覚えることがある。物事を正しく判断し、行動するには、まず、冷静に事実を把握することが大切なのだ。

 

■アイドル界に与える影響

 それでは、ここまで大きくなってしまった問題は、これから一体どんな形で収束し、そしてアイドル界にはどんな影響を与えていくだろうか。

 正直なところ、全てが丸く収まるようなキレイな収束というのは、難しいと思われる。このまま時間が経って、なんとなく収まっていくということはあるだろうが、それは後々、さまざまな面で禍根を残し、ボディブローのようにアイドル界を弱体化させていくかもしれない。

 理想を言えば、アイドル、運営、ファン、それらが同じ方向を向き、アイドル界の発展のために、よりよい着地点を探っていくことが唯一の解決の道だろう。

 一般論として言えば、各運営には、ファンの中で「不公平感」を感じるようなことをしないこと、そして、妬みの感情を抱かれるようなことがないよう、最大限の配慮をすることが求められる。

 今回のことで、ファンの妬みがどれほど大きな影響を及ぼすかが、白日のもとにさらされたことになる。おそらく、今後そのような対策は、各事務所においても、より大きな比重を占めていくことだろう。

 一方、ファンとしては、あくまでも「節度を持った」応援をしなければならない。「他の人よりいい思いをしたい」「他のファンに羨ましがられるようなことをしたい」、その気持はわからなくもない。人間として、誰もが持つ感情だろう。ただ、その気持と、本当にそれで応援するアイドルが喜んでくれるかどうかという思いを、しっかりと天秤にかけ、より先を見た対応を求められる。相手がどう思うか、自分の行動がどんな問題をはらんでいるか、想像力をもって、考えてもらいたい。

 もちろん、アイドル側も、これまで以上に多くの思いを気遣いながら行動しなければならなくなるだろう。生配信やSNSでも、自分の行動や発言がどれほどの影響力があるのか、それを考えながら発信する必要がある。

 そうは言っても、アイドルにはできるだけ自由な環境で、自分のやりたいことをやってもらいたいというのも正直な気持ちだ。制限されたところではない、素のアイドルに魅力を感じ、ついてきたファンこそ、何があってもその人を応援する本当のファンだと思うから。

 何よりも、アイドルが萎縮して、動画配信やSNSなどで自由に発言できなくなってしまうとしたら、それは“アイドル”というものの存在価値を揺るがす、大きな問題である。

 アイドルには“自由”であって欲しいという思いと、“安全”を優先するために、ある程度の配慮をしなければならないという現実の間に生まれるジレンマ。それこそが、今回の事件で浮き彫りになった、今のアイドル界最大の課題と言えるかもしれない。

(文=プレヤード)

最終更新:2019/01/23 16:00
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