小川彩佳アナはなぜテレ朝を辞めるのか? 直前まで『AbemaPrime』の「やりがい」を語っていた不可解
2月8日に突然発表されたテレビ朝日の小川彩佳アナウンサーによる結婚および退社報告は、多くの人を驚かせた。3月末までの退社を予定しており、小川彩佳アナは現在『AbemaPrime』(AbemaTV)の司会を務めているが、同番組も3月いっぱいで卒業するという。
小川彩佳アナは2018年9月28日に『報道ステーション』(テレビ朝日系)のサブキャスター(2011年4月就任)を卒業し、2018年10月から『AbemaPrime』の司会を担当していた。
新天地に移って早々の『AbemaPrime』卒業とテレビ朝日退社には様々な憶測が飛び交っている。
2月8日放送『AbemaPrime』で結婚を報告した小川彩佳アナは<結婚ということになっていますけど、結構、会社が結婚を機にと走っちゃったかな…という気もしていて、まだ結婚はこの先なんですけれども、いま、少しずつ準備を進めているところでございます>と語り、「結婚」と「退職」の結び付きを否定。「『報道ステーション』からネット番組への左遷人事に嫌気が差したのでは?」といった見立てがにわかに広がっている。
小川彩佳アナにとって『AbemaPrime』は「左遷人事」だったのか?
ただ、小川アナ自身は『AbemaPrime』に対して「左遷人事」といった見方はしておらず、『AbemaPrime』の仕事にも前向きだったのではないだろうか。
というのも、「AbemaTV Bros.」(東京ニュース通信社)に掲載されたインタビューのなかで小川アナは、『AbemaPrime』には地上波のニュースにはない良さがあると語っているのだ。
『AbemaPrime』は平日の21時から23時まで放送されているニュース番組。この番組はストレートニュースを数多く紹介する地上波のニュース番組とは異なる構成をしている。
ひとつのニュースを掘り下げ、また、そのニュースについて出演者の間で討論する時間も設ける構成を採用。さらに、扱うニュースも、地上波のニュース番組が避けて通るような、世間からタブー視されるものを多く含んでいる。
そのようにネット番組ならではのつくり方をする『AbemaPrime』に、小川アナは刺激を受けると話していた。
<やはりネット番組ならではといいますか、地上波では扱わない……もしくはスルーされがちなテーマを扱うことで、独自性を打ち出してもいて。ちょっと前に『アフターピル(緊急避妊ピル)』について、30分くらいかけて掘り下げたんですけど、地上波に身を置いていた時には、あまり意識を向けていなかった話題に触れられるのが、自分としても刺激的だったりします>
また、討論を通じて多種多様な意見に触れることも、小川アナには刺激を与えているようで、前掲インタビューでは、<『あ、そういう見方もあるな』といった気づきが、放送中に多々あるんですよね。そういった発見によってもたらされる楽しさが、今の私にとっては原動力になっています。地上波では『複雑で難しいテーマですね』というひと言でまとめてしまいがちな話題も、より深く読み解いていけることが面白くて>と語っている。
さらに、それによって得られた心境の変化についても、<考え方や意見が相容れない人を否定したり拒絶するのは容易いですけど、そこから一歩踏み込んでみて、なぜその考えにいたったのかを知ろうとすることが大事だと思うようになりました>と述べている。
小川彩佳アナのテレビ朝日退社をめぐって飛び交う「噂」
このような発言を見ると、小川アナは『AbemaPrime』にやりがいを見出し、成長の機会と捉えていたようにも思えるが、どうしてこのようなかたちになってしまったのか?
小川アナは4月からフリーアナウンサーとして活動するが、その裏には様々な憶測が飛び交っている。
ニュースサイト「Sponichi Annex」(2月9日付)では、『羽鳥慎一モーニングショー』のアシスタントを務めている宇賀なつみアナも3月末で退社することから、テレビ朝日側は小川アナの退社を引き留めていたと報じられている。それでも2018年度いっぱいでの退社を押し切ったのには、なにか裏事情があるのではと邪推せずにはいられない。
「デイリースポーツonline」(2月10日付)には、小川アナは『NEWS23』(TBS系)のキャスター就任が決まっており、早ければ4月の改編から番組に登場するのではないかとも伝えている。
小川彩佳アナの『報道ステーション』卒業の背景には何があったのか?
そういった噂が出るのには理由がある。というのも、小川アナの『報道ステーション』卒業には、テレビ朝日内の微妙な事情が絡んでいたからだ。
もともと小川アナは、単なる「ニュース読み」にとどまらず、権力に忖度しないリベラルなメッセージを語るキャスターとして人気を集めていた。
たとえば、安倍首相がゲスト出演した時(2017年9月25日放送回)には、<国連の演説を聞いていましても、対話よりも圧力ですとか、トランプ大統領と歩調も口調も一つにするような言葉が相次ぎましたけれども、そうした言葉を聞いていますと、逆に危機を煽ってしまうのではないか、危機を招いてしまうのではないかという不安を覚える方も多いと思うんですけれども>と語り、安倍政権が北朝鮮に対して行っている圧力一辺倒の対応は、逆に戦争につながる危険性を高めているのではないかと、直接指摘した。
さらに、財務省の福田淳一前事務次官によるテレビ朝日女性社員へのセクハラ問題を扱っていた2018年4月27日放送回では、<今回の女性社員の訴えからのこの流れを、決して一過性のものにするのではなく、本当の意味で体制や意識が大きく変わる転換点にしていかなければならないと、そして、なっていってほしいと、いち女性としても、テレビ朝日の社員としても、強い思いを込めてこれからもお伝えして参ります>と、テレビ朝日上層部への提言も臆することなく語っている。
しかし、2018年10月の番組リニューアルの流れのなかで小川アナは『報道ステーション』から離れることになる。
そのリニューアルの背景には、ジャーナリスティックな報道番組から、軟派なワイドショーへと『報道ステーション』を変えようという動きがあった。
「週刊文春」(文藝春秋)2018年8月30日号によれば、『報道ステーション』の方針転換は“テレ朝のドン”こと早河洋会長からの<クール(三カ月)の平均視聴率を11%に上げろ>という命を受けてのものであるという。
そこで出てきたのが、ワイドショー的な番組構成へのリニューアルだった。新チーフプロデューサーがスタッフを集めて行った今後の方針発表には、驚きの声があがったと「週刊文春」は伝えている。
<(いまの報ステの)イメージは偏差値七十くらい。東大は入れるんじゃないかという感じ。偏差値五十の庶民が見た時に理解できないからチャンネルを変えちゃおうとなっちゃってる>
早河洋会長といえば、安倍首相と頻繁に会食を繰り返していることから、テレビ朝日の報道姿勢が政権への忖度を強めている原因となっているのではとの話も多く出ている人物である。
それだけに、小川アナの人事も、リベラルで気骨ある報道姿勢がテレビ朝日上層部に疎まれた結果なのではないかという見立てをする人も多い。
小川彩佳アナがキャスターとして伝えたいこと
『NEWS23』の噂が真実かどうかはまだ定かではないが、いずれにせよ、今後の小川アナが引き続き報道番組に関わることは間違いない。
前掲「AbemaTV Bros.」のインタビューで小川アナは、このようにも語っている。
<世の中には同じような立場の女性がたくさんいらっしゃると思うんですよ。30代の働く女性で、キャリアも築いてきて……一番大変な時にいろいろと重なってきたりもするという(笑)。そういった自分自身の心に引っかかるようなニュースを報じる時に、何かプラスアルファを感じていただけるような伝え方ができるのであれば、私が伝える意味や意義もあるかもしれない、と考えてはいるんですよね>
インターネットテレビの意義があるのは否定しないが、その一方、地上波のテレビで小川アナがニュースを伝えるのを待っている人もたくさんいる。
近い将来、小川アナの気骨ある姿勢を再びテレビで見ることのできる日が来ることを期待している。
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