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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『3年A組』が伝えてきた「考える」ということ
【wezzy】

『3年A組』あらゆる意味で今期ナンバー1ドラマが繰り返し伝えてきた「考える」ということ

 菅田将暉主演の連続ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)が、回を追うごとに熱烈なファンを増やしながら、いよいよ最終回を迎える。『3年A組』の視聴率は右肩上がりで、第7話は11.9%、第8話は12.0%、先週放送の第9話が12.9%(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)で自己最高を叩き出した。

 このドラマはとにかく展開が早く、しかもひとつ謎が解けると今度は別の謎が浮上して、とにかく気になることがあり過ぎる。これが一度でも視聴したら離れられなくなる大きな理由だ。

 菅田将暉演じる私立魁皇高校の教師・柊一颯が、“人質”にした3年A組の生徒29人に要求したのは、クラスメイトの景山澪奈(上白石萌歌)が自ら命を絶った理由を明らかにすることだった。生前の澪奈は水泳部のエースで将来を渇望されていたが、ドーピングをしていると噂され、クラスメイトに避けられるようになっていた。

 ドーピング疑惑につながるフェイク動画には、半グレ集団に脅されて撮影を持ち掛けた者、撮影した者、投稿した者、拡散した者……複数の生徒が絡んでおり、徐々に明らかになっていくのだが、その都度一颯は生徒たちに熱く語りかけ、最初は反抗していた生徒たちも少しずつ変わりはじめる。

 一颯が生徒たちに繰り返し伝えてきたのは、「考える」ということ。「Let’s think!」は教壇に立った時の一颯の決まり文句だ。「考える」ことは、言葉や行動とは違い、目に見えるものではないから、気づかれにくい。考えよりも言葉や行動で人は評価するし評価される。インターネット、SNSが普及して物事はあっという間に拡散され、スピードが求められている現実も、確かにある。

 しかしだからこそ、言葉や行動にする前に、「考える」ことをしなくてはならないし、自分の言葉や行動には責任を持たなければならない。一颯の演説は社会や大人への問いかけでもあるのだろう。

 さて最終回目前、『3年A組』7話以降のあらすじを振り返っておきたい(6話までのあらすじはこちら)。ネタバレになるため、すべて自分で視聴してから最終回に臨みたいという方はご遠慮願いたい。

 

澪奈のフェイク動画の撮影を依頼したのは“カリスマ熱血教師”の武智
 第7話では、最初からわかりやすく胡散臭い存在だった“平成最後のカリスマ熱血教師”こと武智(田辺誠一)の本性が暴かれた。武智は自らの私腹を肥やすため、癒着関係のある大学にスポーツ推薦で生徒を送り込んでおり、澪奈にも裏金を使って誘いを持ち掛けたが断られた。澪奈のドーピング疑惑につながるフェイク動画を半グレ集団に依頼していたのは武智であり、「教育委員会に訴えます」と言う澪奈を逆恨みしてのことだったのだ。

 さらに武智の誘いを受けスポーツ推薦で入学した生徒のうち、実に9割が中退していた。結果を出せなかった選手は強制退部に加え、学費免除も取り消されるからだ。大学でスポーツに打ち込みたいと望む高校生はいるだろうし、それもひとつの選択肢だが、もし大学を中退すればその後の人生は大きく変わる。そういったリスクを踏まえながら進路選択の助言を行うのも教師や親の役目だが、武智は違った。

 「生徒がどうなろうと自己責任だ、俺には関係ない。勝ち続けなければ消される、それが世の中だ」と吐き捨てる武智に、一颯は「生徒はモノじゃない、人間だ!」「3歩先しか見えてない彼らに、どの道を歩めばそれが彼らにとっての最善なのかを考える。寄り添って一緒に答えを探す。それが、教師の務めだろう」「お前に教壇に立つ資格はない」と食って掛かった。

 だが、まだ澪奈の死の真相が判明したわけではない。武智はフェイク動画の依頼はしたが、澪奈を殺してはいないようだ。

 

一颯が立てこもり事件を起こした理由は3つある
 第9話で一颯は「俺の計画」「本当の目的」を生徒たちに話した。

 一颯が学生時代から付き合っていた女性・文香(土村芳)は、武智の罪を暴いたことによって、フェイク動画を流され精神を病んだ。一颯はフェイク動画の証拠を掴むべく、武智のいる魁皇高校に入り込んだ。だが学生時代に患っていた癌が再発し、余命わずかと宣告される。

 そんな中、澪奈のフェイク動画が出回り、一颯は澪奈に話に聞いたが、その帰りに澪奈は武智を説得すべくひとりで学校を出て亡くなった。だが、その日、武智は澪奈と会っていないという。

 「景山を殺した本当の犯人は……」と一颯が明かすと、生徒たちに衝撃が走ったが、犯人が誰なのか、音声が消されているので視聴者にはわからない。何ともじれったい演出だ。

 一颯が立てこもった目的は3つあるいう。1つは「武智大和に自分の過ちを気付かせること」。「最大の目的」である2つ目は、またも音声が消され、視聴者にはわからない。そして一颯は自分の手の甲にナイフを刺し、血を流しながら3つ目の目的を語った。

<ナイフを刺せば血が出る。痛みも伴う。場合によっては命も奪える。当たり前のことだ。でも今の社会はこんな当たり前のことに気がつく間もないくらいにせわしく回り続けている。相手に何をしたら傷つくのか、何をされたら痛むのか、お前たちはそれに気づかない、感情が麻痺した大人にはなってほしくなかった。想像力を働かせて、自分の言葉や行動に責任を持つ。決断をする前に踏みとどまって、これが本当に正しいのかを問いただす。そんな誰もがわかっているのにできていない、考えることの大切さをみんなには伝えたかった>

<景山が気づかせてくれた。俺はまだ何もしていない、教師を名乗りながら俺は何も教えていない。みんなには怖い思いをさせて、本当に申し訳なかったと思っている。でも、この10日間で見違えるほど変わってくれた。それが何より、何より嬉しかった。俺を教師にしてくれてありがとう、ありがとうございました。明日の昼にみんなを解放する。俺の授業はこれで終わりだ。今まで、お疲れ様>

 3年A組の教室を出て美術室に向かった一颯は、警察に電話。人質にした郡司(椎名桔平)を連れて屋上に上がり、「最後の要求」をするという。亡き澪奈の親友だった茅野さくら(永野芽郁)は異変に気付き、美術室に駆けつけ「行かないでください!」と一颯を止めようとする。

<私は、先生を信じてきました。今でも信じてます。でももう限界です。先生がこれ以上悪者にされるのは納得がいきません!>
<先生に最後まで見届けるように言われて、今日まで先生の授業を受けてきて、見ないようにずっと蓋をしていたものが真実なのか偽りなのか。だから苦しいんです。先生が自分を犠牲にしてすべてを抑え込もうとすればするほど、苦しいんです。お願いします、もうやめて下さい!>

 しかし一颯は郡司を連れ、屋上に向かう。「先生は何のために、誰のために戦っているんですか?」というさくらの問いかけに対する一颯の答えは「Let’s think!」。そして爆破を起こし、さくらや他の生徒たちが屋上に来られないようにした。

 

さくら「私が澪奈を殺した」の真意は
 かつて澪奈のドキュメンタリーを撮影していた逢沢(萩原利久)は、「それが、先生の望みだから」と言う。逢沢は、一颯が生徒たちを“人質”にすることを最初から知っていて、生徒たちのお目付け役として動向を見守っていたのだ。このことは第5話で明かされていた。

 逢沢に協力を求める際、一颯は「真実を明らかにするには、俺が最終的に全国の敵になる必要がある。そうでもしなければ、俺の目的は果たせない」と説明したという。「そしてこれは、茅野のためでもある」とも。逢沢は一颯の言葉を信じて、協力したのだ。逢沢はさくらに想いを寄せているのだろうか。

 屋上に上がった一颯は、「警察のみなさーん、お待たせしましたぁー!」と拳銃を鳴らす。下では警察やマスコミが待ち構え、教室では生徒たちが心配そうにスマホやパソコンで動向を見守っている。一連の立てこもり騒動は、インターネット上でも注目の的であり、まさに全国を巻き込んでいる。

 教室に戻ったさくらはクラスメイトたちに言う。「私が澪奈を殺した」と。そんな中、屋上では銃声が響き、胸を撃たれた一颯は落下……。自ら撃ったようにも見え、自殺の可能性も考えられる。

 第1話でさくらは澪奈の本心に気づかないふりをしていた自分を責め「澪奈が死んだのは自分のせい」と語り、しかし一颯は「お前のせいじゃない」と言っていた。だが、さくらは、何か重要なことを胸に秘めているのだろう。

 第9話冒頭では、一颯の3回忌のために3年A組の教室に喪服姿の生徒たちが集まり、澪奈のドキュメンタリーが流されていた。生徒たちは一颯に教わったことを胸に刻み、それぞれの人生を歩んでいるように見えるが、遅れてやってきたさくらが澪奈や一颯の死をどう受け止めているのかはまだわからない。

 3月10日の最終回、ついにすべての謎が明かされる。

最終更新:2019/03/11 07:15
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