N国党「崎陽軒不買運動」に怒りの声が続出! 横浜名物「シウマイ」はなぜかくも愛されるのか?
NHKから国民を守る党(N国党)の代表・立花考志氏が、横浜名物の崎陽軒「シウマイ弁当」の不買運動を呼びかけた件で、横浜市民を中心に崎陽軒ファンから怒りの声が上がっている。Twitterでは「崎陽軒」がトレンド入りし、「#N国から崎陽軒を守る党」というハッシュタグが出現するほどの騒ぎになっており、崎陽軒がいかに多くの人々に愛されているかが浮き彫りになった。
崎陽軒騒動のきっかけは、タレントのマツコ・デラックスが、『5時に夢中!』(TOKYO MX)の7月29日放送回で、N国党について「ふざけて(票を)入れている人も相当数いるんだろうな」などと批判したことだった。マツコの発言にN国党の立花氏は「投票した人を侮辱している」と激怒。8月12日には都内の収録スタジオに押しかけてマツコを”出待ち”した。
さらに同日夜、YouTubeに動画をアップした立花氏は、マツコへ対決姿勢を示したうえで、番組のスポンサー企業をやり玉にあげ、「マツコ・デラックスが辞めるまでは崎陽軒のシューマイを食べません」と宣言。崎陽軒の“シューマイ”の”不買”を呼び掛けた。
しかし崎陽軒の「シウマイ」は横浜市民のソウルフードであり、横浜市民を中心に怒りと反発の声が相次いだ。そもそも“シューマイ”ではなく「シウマイ」だ。
Twitterには「#N国から崎陽軒を守る党」「#崎陽軒のシウマイ弁当を買ってN国党をぶっ壊す」などのハッシュタグをつけ、「シウマイ弁当」の購入を報告したり「シウマイ」の素晴らしさを語ったり……ファンによる崎陽軒応援のツイートが続出している。また、横浜県民以外も「北海道出身だけどセイコーマートをディスられてるようなものか」「静岡県民だけどさわやかのハンバーグ…」「沖縄だけどルートビア…」などと加勢し、騒動を広げている。
著名人にも、崎陽軒を支持する輪が広がっている。お笑い芸人のカンニング竹山隆範は13日、Twitterで<崎陽軒のシュウマイ弁当食べたい! 買おう! 新幹線移動などの方々崎陽軒のシュウマイ弁当、これが美味いです!>とツイート。米メジャーリーグのダルビッシュ有投手も15日、Twitterで<崎陽軒に罪はない気がする笑 てか良く新幹線乗るとき買ってたなー。また食べたい>と反応した。
不買運動はむしろ崎陽軒の「シウマイ」ファンを一致団結させたようだ。それにしても、なぜ崎陽軒はこれほど多くのファンの心を掴んで離さないのだろうか。
地元・横浜に愛される真の「ローカルブランド」を目指した崎陽軒
昭和29年から販売を続けるロングセラー商品、崎陽軒の「シウマイ弁当」(860円税込)は、1日に平均2万個以上を売り上げる横浜の名物。崎陽軒の本店も横浜駅東口付近に構えられており、まさに地元に密着した企業だ。
しかし、2018年7月放送の『爆問ファンド! マネーの成功グラフ¥ 本当にあった奇跡の復活劇スペシャル』(テレビ朝日系)に出演した崎陽軒の3代目社長・野並直文氏は、かつて同社が”原因不明”の業績低迷に苦しんだ過去を明かしている。
かつて崎陽軒は「シウマイ」を全国に展開しており、地方のスーパーなど小売店でも販売していた時期があった。しかし売り上げは伸び悩み、野並社長も頭を抱えていたそうだ。
そんなある日、スーパーの売り場を偵察していた野並社長は、崎陽軒の「シウマイ」を手にしたお客さんが「横浜名物だけど、どこでも買えるからお土産にならない」と話している場面に遭遇。これを聞いた瞬間、野並社長は「なんだか申し訳なくなった」と心を痛めたという。
これをきっかけに、野並社長は「シウマイ」の販売戦略をガラリと変えることを決意。2008年には地方から全面撤退し、あえて横浜近郊に販売エリアを限定した。すると「横浜土産」としての希少価値と需要が高まって売り上げに直結し、低迷していた業績も回復したという。
崎陽軒が掲げる「経営理念」には、<崎陽軒はナショナルブランドをめざしません。真に優れた「ローカルブランド」をめざします>という一文がある。この理念に立ち返って、地元・横浜に根差した”徹底的なローカル戦略”が、功を奏したのだろう。
1908年(明治41年)に横浜駅で「シウマイ」の販売を始めた崎陽軒は、100年以上にわたって地域の人々に愛されてきた。その絆は、ちょっとやそっとのことで崩れるものではないのだろう。
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