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坂口杏里は相当に「困っている人」 逮捕やジョブチェンジをエンタメとして消費しないでほしい

 2013年に亡くなった俳優・坂口良子さんの長女で元タレントの坂口杏里(28)が8月28日、警視庁に逮捕された。前日の朝、元交際相手の飲食店従業員男性(30代)が住む東京都中野区のマンションに侵入した邸宅侵入の疑いだ。2人で飲食後にタクシーで帰宅する際、彼女は男性が降りた後を追いかけ、部屋のインターホンを鳴らしたという。

 坂口容疑者は逮捕前日、インスタに「元カレにタクシー代返してと言って部屋の前まで行ったらドアに指を挟まれました」という文言とともに、切れて流血した本人の指と思われる写真を投稿していた。

 「私が悪いと言われたのですがタクシー代返して頂くことは何も悪くないので、とりあえず痛かったのと血まみれにされてしまいました」「あと腫れが凄まじいです。二度目の骨折かな」などとも綴り、心配の声が寄せられていた。この投稿は現在、削除されている。

 実際、坂口容疑者はこの際「部屋のドアに手を挟まれた」と110番通報していた。こうした事案では先に警察に通報した方が被害者となり得る可能性が高い。だが、容疑者として逮捕されたのは坂口容疑者のほうだった。実は男性は以前から、坂口容疑者とトラブルになっていることを警察に相談していたのだという。

 インスタの投稿から察するに、タクシー代を払って欲しいという気持ちからの邸宅侵入だったのだろう。それゆえ、逮捕後も「逮捕の理由はわかるが、納得していない」と供述している。

 坂口杏里容疑者は、かつては“坂口良子の娘”として母とともにバラエティ番組に出演し、おとぼけキャラで活躍していた。彼女の言動に周囲が騒ぎ、心配するようになったのは、良子さんが亡くなってからだろう。

 2016年に所属事務所を退社した彼女は、同年10月「ANRI」名義でMUTEKIデビューし、ヘアヌード写真集を出版するなど、バラエティタレント時代とは異なる仕事を受けるようになった。

 その翌年、2月からAV作品を3カ月続けてリリースしていた時期のことだが、知人であるホストの男性から金を脅し取ろうとした恐喝未遂容疑で警視庁新宿署に逮捕された。坂口容疑者は金を借りようとしたが断られたため、SNSを使い男性に「貸さないと2人の関係が分かる写真をばらまく」とメッセージを送り、現金3万円を脅し取ろうとしたという。このとき捜査関係者は、彼女が金銭に窮していたと語っている。

 坂口容疑者は今年6月30日に放送された『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)でも、密着取材を続けるディレクターの向けるカメラに「すごい好きなホストの人がいて、その人の誕生日にタワーやったりとか」と、ホストに通い詰めていたことを告白していた。1000万円を超える借金があるとも明かしている。

 一度めの逮捕で不起訴処分となったのちは、芸能界を引退してキャバ嬢として生きていく決意をインスタで公表。その後、浅草ロック座でのストリップデビューが報じられるも、直前でキャンセルになり、ステージに立つことはなかった。以降はデリヘルの店舗を渡り歩くなどジョブチェンジを繰り返してきたなかでの、今回の逮捕であった。

 これから再度の処分保留による釈放となろうとも、起訴されようとも、彼女の人生は続いていく。今に至るまで多くのメディアが彼女の行状をエンタメのように扱い、ユーザーはそれを消費してきたが、もはや再びこうしたことが起こらないよう見守る段階に来ているのではないか。

 

「報道による不安」で再犯、再逮捕されたマラソン女王
 かつて“マラソン女王”と呼ばれた原裕美子さんは、現役時代に厳しい体重制限が課される中、摂食障害を発症し、のちに万引きを繰り返すようになった。2017年11月、宇都宮地裁足利支部で執行猶予判決がくだされたが、そのわずか3カ月後、つぎは群馬県太田市のスーパーでキャンディ1袋など3点、販売価格計382円を万引きして再び逮捕起訴された。

 彼女は前橋地裁太田支部で開かれた公判で、前回の宇都宮での逮捕のときに感じていた大きなストレスのひとつが「報道による不安」だったことを明かしている。

「自分のことが大きく報道され、すごく不安な毎日を過ごしていました。知られているのはわかっているけど、それでも隠したかった自分がいて、怖いと感じながら日々を過ごしていました」

 と、万引きでの逮捕が報じられ広く知られてしまったことが、大きく心にのしかかっていたのだという。

 だが、太田市の事件での逮捕ののち、彼女はマインドを切り替えた。自身が万引きをやめられない「クレプトマニア」であるという事実を受け止め、進んでメディアの取材をうけることにより、メディアを通じて自分の思いを広く伝えようと考えるようになったのだ。

 ジョブチェンジのたびにネットニュースや夕刊紙に取りざたされ、注目を浴びてきた坂口容疑者。『杏里爆発』というバンドも結成し、活動を始めていた。だが自分がこれから何をしていきたいのか、どういったことで注目されたいのか、彼女自身が熟考しなければ、トラブルが続いてしまう懸念がある。

 本来ならまず、彼女が考えをまとめるための助言やサポートがあってしかるべきだ。原さんに寄り添い続けた両親のように、坂口容疑者にも、彼女を見守り続ける存在が必要だろう。芸能事務所を辞めて以降、彼女が周囲に迷惑をかける「困った人」であるという認識は広まっていたが、彼女自身がどうすれば安全に生きられるのかわからず「困っている人」であるという見方はあまりされていなかったように思う。

 庇護者であった母を失って6年、年齢的には一人前の大人といえる年であっても、彼女はまだ一人で自立できる段階にはないだろう。おそらく今回の逮捕により弁護士が公的支援への接続を促すと思われるが、メディア側もいたずらに彼女の尊厳を傷つけるような報道は控えたい。

最終更新:2019/09/01 05:30
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