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バイきんぐ小峠のロビー脱出と、語られない“リモート芸人”論 「四角の中に丸があるのが面白いらしいですね」

「この世に発信したいことなんか、何ひとつない」

 そういえば、『ヒルナンデス!』のロビー出演のインパクトが大きかったのか、小峠はしばしば”リモート芸人”などと呼ばれていた。

 確かに、小峠はリモート出演でよく見かけたような気がする。いや、この期間、小峠だけでなく安定した仕事をする芸人やタレントが多く出演していた印象がある。不測の事態への確実な対応力が求められたのだろうか。番宣でゲスト出演する俳優やアーティストが少なかったため、相対的に露出が増えたという面もあるかもしれない。

 けれど、”リモート芸人”といった呼び名ができると、なんだか小峠がこのタイミングで活躍しているようにも思えてくる。

 小峠はいろいろな番組で繰り返し尋ねられていた。なぜリモート出演に引っ張りだこなのか。秘訣はあるのか。そう問われた小峠は、他の人と声が被らないように気をつけているという他は、次のよう答えるだけだった(『ダウンタウンなう』2020年5月29日、フジテレビ系)。

「リモートはハゲが映えるらしいですね」

 また、21日の『サンデー・ジャポン』(TBS系)でも、リモート出演でこう語る。

「仲のいいディレクターさんから聞くと、四角の中に丸があるのが面白いらしいですね」

 小峠の答えは一貫している。リモート出演が増えているのは、自分の見た目が面白がられているから。四角い画面と丸い頭の組み合わせが面白いから。彼からは“リモート芸人”としての技術論のようなものはほとんど語られない。「らしいですね」という伝聞形式での回答が、この手の質問から距離をとろうとする姿勢をさらに印象づける。

 21日の『ボクらの時代』(フジテレビ系)にリモート出演していた小峠は、こんなことも語っていた。

 彼はほとんどネットでの発信をしていない。Twitterもやっていなければブログもやっていない。YouTubeにバイきんぐとして公式チャンネルを開設しているが、上がっているのはすべて単独ライブのコントの映像だ。

 なぜか。その理由を小峠はこう語った。

「この世に発信したいことなんか、何ひとつない」

 なるほど、だからなのだろう。この世に発信したいことが何ひとつない彼は、”リモート芸人”としての秘訣のようなものを問われても何も答えない。

そういえば以前から、小峠はテレビカメラの前で芸人論のようなものをほとんど語っていないような気がする。そこにあるのは美学だろうか、謙遜だろうか、それとも諦念だろうか。こんなふうに書き立てられることへの用心深さかもしれない。

 ところで、同番組で小峠はこんなことも語っていた。

「うなぎはもう食べ物の中で一番好き。うなぎ好きすぎて、うなぎ雑誌にも載ったよ」

 発信したいことが何もない男が、うなぎ雑誌でうなぎを語る。うなぎ雑誌って何だよとかそんな問いは置いておいて、なんだか無性に読みたい。

 小峠の隣には、小峠以上に「芸人とは」みたいな話から距離をとる西村瑞樹という男がいるのだが――長くなりそうなのでまた別の機会に。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2021/09/21 10:44
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