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長州力「もう少ししたら飛ぶぞ、コイツ」テクニカルなワードセンスに千鳥「コレなんだ、飛ぶって…」

長州力「もう少ししたら飛ぶぞ、コイツ」テクニカルなワードセンスに千鳥「コレなんだ、飛ぶって…」の画像1
『相席食堂』(ABCテレビ)公式サイトより

 7月21日放送の『相席食堂』(ABCテレビ)で、プロレスファンにとって必見の座組が実現した。

「電通に入っていたら大成功していた」糸井重里も絶賛した長州のボキャブラリー

 新型コロナウイルスの影響でロケ撮影が困難な時期がしばらく続いたテレビ業界。言うまでもなく、『相席食堂』はロケが主軸の番組だ。しかし、ロケVTRのストックは尽きてしまった。苦肉の策だろうか? 最近、同番組は一風変わった企画を放送している。MC・千鳥の2人がもしも凶弾に倒れたら……という万が一に備え、千鳥に代わるリザーバーMCを決めるオーディションである。

 今まで出場したのは、美川憲一&神田うのの“仲良し超人”ペアと、かつみ・さゆりの“夫婦超人”ペアの2組だった。そして、今回登場したのは、長州力&武藤敬司の“筋肉ペア”だ。スタジオに入った長州は開口一番、スタッフに確認した。

「ちなみにドッキリじゃねえだろうな。これでドッキリだったら大したもんだよ、ウン」

 1995年9月23日、永田裕志をパートナーに安生洋二&中野龍雄組とタッグマッチを行い、試合後に「俺をキレさせたら大したもんだよ。俺をキレさせたらリングを下ろしてないよ」とコメントを発した長州。今回の「ドッキリだったら大したもんだ」発言は、完全に過去の自分をセルフパロディしている。かつて、糸井重里が「電通に入っていたらコピーライターとして大成功していた」と評した長州のボキャブラリーがいきなり爆発した。

リング上でもテレビでも、長州は武藤と“間”が合わない?

 気になる箇所があると手元の“ちょっと待てぃボタン”を押してVTRを中断、これでもかとツッコむのが『相席食堂』MCだ。長州と武藤にもその役割が求められるが、どこか天然っぽい長州がパートナーだけに、武藤は後輩として気を遣った。自分が率先してボタンを押すことで、MCにふさわしいリズムを構築しようと責任感を見せたのだ。でも、たまに裏目に出てしまう。大した見どころでもないのにボタンを押したりするのだ。明らかに武藤の気がはやっている。

長州 「何を叩いてんだ、オマエ(苦笑)」
武藤 「会話するときは叩かないといけないんでしょ?」
長州 「知ってるよ……オマエ、何で叩いたの?」
武藤 「会話したいから(笑)」
長州 「会話って誰としたいの。オレとか? バッカ。最近、オマエと絡み多いけど……大丈夫か、オマエ?」

 この番組は長州と武藤を2人1組で起用することが多い。でも、長州が武藤の“間”を苦手と公言しているのは有名な話だ。ハイスパートレスリングでマット界を席巻した長州は、せっかちなテンポで攻撃を畳み掛けるタイプ。間を十分に取る武藤のアメリカンスタイルと相対すると、痺れを切らせるのが常である。「武藤と試合してたら、リング上でコーヒー1杯飲めるよ」と冗談を飛ばすほどだ。書籍『長州力 最後の告白』(宝島社)でも、長州はボヤいていた。

「とにかく、(武藤の)間が長い(笑)。『なぜ、ここで止まりやがる?』っていう、あれがすごいキツい」

 どうやら、それはリング上のみならずリング外も同様のよう。「なぜ、止まりやがる」と武藤のレスリングにボヤき、VTRを止める武藤にも「叩くなよ」とボヤく長州。サクサク行きたい長州が、武藤のゆったりした間にカリカリ来るという関係性は今回も健在だった。単純な縦関係には決してならない2人の不協和音は、逆に面白いのだけども。

コントより漫才派の長州

『相席食堂』に数度出演したことのある長州は、どうやら千鳥に好印象を抱いているようだ。

長州 「オレ好きなんだよ、あの2人」
武藤 「どっちが好きなんですか?」
長州 「う~ん……大悟。方言使うのが面白いじゃん。“わりゃ~!”とか」

 長州はお笑い芸人が大好きである。雑誌『KAMINOGE』vol.36(東邦出版)でバッファロー吾郎Aと対談した際には、こんな発言まで残していた。

「芸人さんって、俺はタレントじゃないと思ってる。芸術家! そこからさらに、そこで生き残ってる人っていうのは大変だなと思うよね。ハンパな努力じゃないわけでしょ? いろんなことを勉強して知っておかないと、対応ができないっていうか、物知りじゃないと難しいところがあるんじゃないかなって」

「リモコンが壊れるんじゃないか」と自嘲するほどテレビ見まくりの日々を送る長州は、千鳥以外にもお気に入りの芸人は多い。以下の発言群を読めば、その嗜好が垣間見えると思う。

「タカアンドトシは凄い。あとはブラマヨも好き。とにかく居心地がいいですよね。タカアンドトシ、ブラマヨの2人の掛け合いっていうのかな、ホントに窮屈感がなくて面白い!」(『KAMINOGE』vol.36より)

「キャイ~ンのウド(鈴木)君と何年か前に飲んだとき、トイレに行って素っ裸で出てきましたよ。よく憶えてる(笑)。あと、バッファロー吾郎さんとも何回か飲んだことがあります。腹を抱えて笑ったのは、なにかのライブに呼ばれて、ギタリストの人がだんだん後ろに下がっていったら、後ろから誰かが注射器を刺してて、そしたらまたギタリストが前に出てきてガーッと蘇ったっていう。大笑いしたことがありますよ。ウソだろ、ウソだろって(笑)」

「(ビート)たけしさんも歳を取られて、ちょっと滑舌が悪くなってきているけど、どういう喋り方でもクスッと笑っちゃいますよね。よく見ると無駄なことは言っていないし。あれは普通の若い人がやったらクスッともしないというか」

「僕はやっぱり、やすきよって凄いなって。よくこんなにも性格が違う2人がやり取りしてるなって思ったんだけど。(中略)やすきよなんて、(横山)やすしさんの謹慎明けで漫才をやってる途中に(西川)きよしさんが泣き出しちゃって。そういうのを見てたら“あっ、これはもう長くねえな”っていう。でも、相棒だから“俺はオマエも家族も支えてるんだよ”って。その辺の情景が関西独特で、2人がやり取りしてるのを見て“おっ、カッコいいな”と思って」(『長州力 最後の告白』より)

 ちなみに長州は、コントより、喋りで勝負する漫才が好みのようだ。

「もう少ししたら飛ぶよ、コイツ」

 今回、長州&武藤ペアが見たのは獣神サンダーライガーが山形県白鷹町に訪れた街ブラVTR(2018年11月4日放送)だった。同業者が率先してロケに取り組む姿を見て、長州は茶々を入れまくった。

「普段、オレたちが会話しないようなことまで喋んなきゃいけないから、しんどいっていうのがわかる。見てて、なんか辛くなってくるもんな。普段、喋んないようなことを答えているから……。これ大変なんだよ、本当に(苦笑)。もう少ししたら飛ぶよ、コイツ」(長州)

 2年越しの天丼だ。2018年5月、長州自身も『相席食堂』でリポーターに挑戦している。北海道・猿払村の漁師親子からもらったホタテの貝柱を食べ、美味しさのあまり「食ってみろ、飛ぶぞ」とスレスレの一言を放ったのは番組史に残る名言。それをMCの立場から引用してみせた。オープニングの「ドッキリだったら大したもんだ」発言といい、この日の長州はテクニカルだ。

 さらに、畳み掛ける。ライガーが地元の温泉に入る入浴シーンで武藤が口を挟んだ。

武藤 「ライガー、下もマスクマン(仮性包茎?)だからね。ウッフッフ」
長州 「……オレは知らん(苦笑)。オマエ、本当に飛ぶな~」

 もう、「飛ぶ」の意味がわからなくなってきた。もはや、何にでも使えそうだ。若者が口にする「ヤバい」と同じくらい幅広い解釈が可能なワードに思える。

 糸井重里が絶賛するワードセンスを発揮し、テレビへの愛と理解も十分。そんな長州と武藤のコンビは、ハイスコアを叩き出した。60点満点中、46点。今までの3組の中で、最高得点である。

 昨年6月に現役を引退した長州は、テレビタレントとして明らかに旬を迎えている。長州&武藤がMC席に座る純正『相席食堂』、確かに1度は見てみたい。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2020/07/27 15:30
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