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『関ジャム』椎名林檎の異常なこだわり…サブスク時代に“アルバム単位”で音楽を聴くことの意味

文=寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

アルバムだからできるクレイジーケンバンドの楽しい仕掛け

 選者・大橋トリオが挙げたのは、矢野顕子『SUPER FOLK SONG』だった。確かに大橋は矢野顕子が好きそうだが、だとしても選んだアルバムが渋い。普通なら『JAPANESE GIRL』を持ってきがちだが、彼が選んだのはカバーアルバムなのだ。とは言っても、ただのカバーじゃない。どれも原曲の面影がなくなり、ほとんど別の曲になっている。佐野元春の名曲「SOMEDAY」も、山下達郎の「スプリンクラー」も、矢野のオリジナル曲みたいなのだ。

「僕、カバーと思って聴いてなくて。オリジナルにしか聴こえてなくて。矢野顕子色にガラッと変えているから、矢野顕子の曲にしか聴こえない」(大橋)

 アレンジの程度がえげつなく、アレンジの域を超えてしまっているのだ。まるで、おいでやすこがの「誰の歌じゃ、それ!」の漫才を見ているかのよう。そういえばボブ・ディランのライブに行くと、原曲をアレンジしすぎて何を歌っているかわからない事態になるのはお馴染み。天才2人の面白い共通点だと思う。

 もう1人の選者・ヒャダインが挙げたのはクレイジーケンバンド『グランツーリズモ』だった。彼がこれを選ぶとは意外! 同作をヒャダインは「まるで昭和のテレビを見ているような気分にさせられるエンタメ性の高い名盤」と評した。オープニングはナレーションだし、場面の変わる箇所には小品曲がジングルばりに入るし、さらにはインフォメーションまで挿入された。まさに、昭和のテレビを意識したアルバムだ。

 この手の手法を取るコンセプトアルバムは昔から多い。ジングルやコマーシャル曲を挟み込み、アルバム全体を1つのラジオ番組に模したザ・フーの『セル・アウト』はその代表例だろう。アルバムだからできる、楽しいアイデアである。

知る人ぞ知るアルバムが増えたのは、選者が狙いすぎだから?

 というわけで、今回選出されたアルバムは以下の12枚。

『勝訴ストリップ』(椎名林檎)
『DAILY BOP』(Lucky Kilimanjaro)
『SUPER FOLK SONG』(矢野顕子)
『Frontiers』(DEZOLVE)
『A LONG VACATION』(大瀧詠一)
『Tears and Reasons』(松任谷由実)
『峠のわが家』(矢野顕子)
『find fuse in youth』(崎山蒼志)
『音の手紙』(吉川忠英)
『DEBUT』(Ryohu)
『ひばりとシャープ -虹の彼方-』(美空ひばり)
『グランツーリズモ』(クレイジーケンバンド)

 前回に比べ、知る人ぞ知るアルバムが増えた印象だ。というか、選者のチョイスに狙いすぎの感がなきにしも非ず。「同業者にナメられたくない」という意識が働いた? 奇をてらったようにしか思えないアルバムも見受けられ、『A LONG VACATION』を選んだ堂島孝平が逆に場違いに見えかねなかったほど。この手の企画は王道を選ぶべきなのか、マイナーな作品を紹介するべきなのか、迷うところである。

 気になった点がもう1つある。「アルバムで聴いて‼ J-POPの名盤」という特集なのに、地味曲を飛ばしてシングルばかり紹介する番組の構成が不可解だったのだ。『COUNT DOWN TV』(TBS系)じゃないんだから……。枚数はもっと少なくてもいいから、1枚のアルバムをより深く解説してほしかった。

 もし気になるアルバムがあれば、すぐにチェックできるのはサブスク時代のメリットだと思う。以前はレンタルショップへ行き、気になる作品をわざわざ物色したものだ。サブスクにはサブスクの、フィジカルにフィジカルの良さがある。

寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/05/16 21:05
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