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コロナ禍で変化する音楽ビジネス

山下達郎は違っても…ベテランアーティストがサブスク解禁する裏事情──音楽業界の現在地

 Yahooニュースによる山下達郎のインタビューが話題だ。

 【山下達郎 サブスク解禁一生しない】などという極端に煽ったタイトルのため誤解を生んでいるが、あくまで「現時点」での回答として「恐らく死ぬまでやらない」と触れたのみで、ちゃんと読めば、彼が新たな音楽の出会いの場としてSpotifyを評価し、ユーザーとしてはしっかりチェックしていること、その上で自身の音源についてはサブスクリプション型音楽配信サービスに解禁しないという判断をしていることがよくわかるはずだ。

 そしてその判断の理由は、「表現に携わっていない人間が自由に曲をばらまいて、そのもうけを取ってる」ことにあり、「それはマーケットとしての勝利で、音楽的な勝利と関係ない」からだと説明している。サブスクがどういうものか理解した上で、こうしたサービスの収益構造、ひいては音楽業界の健全な発展につながるかどうかについて、懐疑的だということだろう。加えて、若手を「引っ張り上げる責任」を感じているという山下は、「音楽でお金がもうかる時代が続いて、特に90年代の残滓がまだある。でも現実にはここ10年ぐらい、次第に苦しい時代になってきています」という見方を示して、自分が音楽を始めた頃と比べ、若い世代の環境は恵まれていないとも語っている。

 具体的な内容に踏み込まれてはいないのが残念だが、現在の音楽業界の抱える課題を端的に指摘した発言だ。欧米に遅れること数年、ここ日本でもサブスクが定着しつつあるが、レコード会社、事務所の有り様も含め、大きな転換期に迫られている。代間 尽氏が「月刊サイゾー」2021年7.8月合併号に寄稿した記事では、日本のレコード会社のサブスクに対する認識や現状を読み取ることができる。この記事を改めて再掲する。

※本記事は日刊サイゾー 2021年9月6日掲載の記事を一部編集したものです

 

CD販売をめぐる環境は悪循環に陥っている

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大規模な広告展開の影響か、じわじわと音楽サブスク界で睨みを利かせてきたYouTube Music。さすが天下のグーグル傘下(写真/Getty Images)

 数々の大物アーティストがサブスクにて過去音源の配信を行う昨今、今年(2021年)5月にはついにB’zが全楽曲のサブスク配信を解禁し、ランキングの上位を独占。彼らの全盛期を知らない若い世代までもB’zの曲を聴くきっかけにつながり、改めて同サービスのパワーに音楽業界全体が圧倒される状態が続いている。

 その一方で、レコード会社のベテランスタッフにはサブスクに対していまだに強いアレルギー反応があり、根強いCD信仰も残っているという。そこで今回はメジャー/インディレーベルのスタッフを中心に話を聞き、サブスクおよび、CD生産に関する社内事情や、コロナ禍でアーティストたちが従来のような活動が行えない中、彼らやレーベルが取るべき戦略なども含めて、音楽業界自体が今後進むべき方向について考えてみた。

 まずは各レーベルにおけるリリースの現状について、大手メジャーレーベルに勤務するスタッフA氏が語る。

「各アーティスト担当に差異はありますが、会社全体の雰囲気でいえば、いまだにCDありきの制作やプロモーション戦略が横行しています。利益のメインがサブスクに移行している部署もありますが、その隣の席では『オリコン1位を目指すぞ!』とか言ったりしてるくらいですから。完全に時代遅れです」

 老舗インディレーベルに勤めるB氏が続ける。

「弊社の売り上げの比率は、CDとサブスクで9対1前後。基本的に所属アーティストがサブスク向きじゃない、という事情もあるのですが、社内でもサブスクは軽視されがちです。いまだに『サブスクは1再生が1円以下、CDであれば1枚売れれば3000円。だったらCDのほうが利益率が高い』のような発想です。しかし、ジャンルによってはCDを作らずに配信のみというアーティストも多いので、CDショップも自動的に扱う商品が減り、店頭で売り場の展開すら満足にできず、話題の最新作が陳列されていないという悪循環に陥っています」(1/4 P2はこちら

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