日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『DAISUKI!』ゆるバラ“始祖”の功績
中山秀征、飯島直子、松本明子が再集結!

『DAISUKI!』が22年ぶり復活。現代のゆるいバラエティの“始祖”が果たした功績

『DAISUKI!』復活で更年期障害の予防を図る?

 ようやく、キャンプ場へ到着。トングを使い、焼き網で肉を焼くのは中山の役目である。それにしても、中山の動きがぎこちない。明らかに、料理に慣れていないのだ。

中山 「俺もこの22年の間に、もうちょっとキャンプと料理を覚えたほうがよかったね」
飯島 「でも、男の人ってきっとそうなんじゃない? だって、奥さんもらったら特にそうじゃない」
中山 「そうだなあ、全部任せっきりだからね。もっとやんなくなっちゃったね」

『DAISUKI!』の料理企画で無駄に納豆を投入し、“男の料理”を振る舞うのがいつもの中山の見せ場だった。結婚、離婚、遺品整理といった話も年月を感じさせたが、中山が料理をしなくなったという告白が最もリアルだった。料理を振る舞いたがりの彼が、それさえもやらなくなった現実。食事作りは奥さん任せにしていた、22年だったのだ。

 料理の腕だけじゃなく、健康状態も変わった。なにしろ、みんな50代である。

中山 「更年期障害には、これが1番いいんだって。特に男性なんですけど、若い頃に戻ったほうがいいらしい。気持ちだけじゃだめなの。そのときに会ってた人と会わないとダメなの。そうすると、20代の自分になるじゃない」
飯島 「私ね、過去は忘れるタイプなんですよ」
松本 (苦笑)
中山 「えっ、俺の取材の否定派ですか(笑)?」

 おそらく、『シューイチ』(日本テレビ系)で収穫したであろう健康情報を披露し、いつものように飯島にスカされる中山。まるで、先週も『DAISUKI!』を放送していたかのような関係性だ。ピーラーを「ラーピー」と呼んだり、しいたけを「たけしい」と呼んだり、逆さ言葉を使う口調はバブルのノリそのままの中山。同時に、老眼でソースの蓋が開けられなかったり、確実に老いは感じさせている。変わったところがあれば、変わらないこともあるのだ。

あらゆるバラエティ企画の始祖だった『DAISUKI!』

『DAISUKI!』には、功績がある。昨今の“お出かけ系バラエティ”のフォーマットは、20年以上前にこの番組が発明したものだ。『10万円でできるかな』(テレビ朝日系)の宝くじ企画も、元をたどれば『DAISUKI!』で行われていた年末ジャンボ宝くじ企画と内容は同じ。物件めぐりだったり、アスレチック挑戦だったり、あらゆる企画の多くは『DAISUKI!』が先駆けだったりする。

 そして、意図的にゆるさを目指すバラエティの走りも『DAISUKI!』だった。中山秀征がこの類のタレントだったからこそ、成し得た境地だったのだろう。

 番組エンディングで、中山はこんなことを口にした。

「これ、1回で終わっていいんですか。まあ……秋ですかね? まだまだ、やりたいことが山ほどあるし、お伝えできてない部分がこんなにあります。非常に残念ですので、今回の夏だけではなく、秋、冬、春……。そんな思いで、もう1回『DAISUKI!』を復活させていきたいなと思っておりますので」(中山)

 シビアなことを言うと、ネットのない時代、世間にテレビの視聴習慣があったからこそ成立した番組だった。『DAISUKI!』が復活したからといって、こぞって復活SPを楽しむのは、当時をなつかしむアラフォー、アラフィフくらいのはず。だからこその“一夜限りの復活”だったわけだし、それが繰り返されると意義はどんどん失われていく気もする。

  あと、昼間にテレビをつけると、各局でこの手の街ブラ企画がこれでもかと放送されている事実。はっきり言って、『DAISUKI!』は大昔に役割を終えた。今の20代が今回の『DAISUKI!』を見て、どんな感想を抱いたのかが気になってしまった。

 それでも、あえてこの番組ならではの特徴を挙げるとすると、現代の芸人が行う街ブラ番組と違い、いい意味で周りに気を遣わない3人の雰囲気である。これがあるから、『DAISUKI!』は特筆すべき“ゆるさ”を醸し出していた。

 逆に言えば、今回の復活SPは詰め込みすぎだった気もする。「次はアスレチックに行き、その次は川釣りをして……」と、スケジューリングが過度に緻密だったのだ。往年の商店街めぐりで味わえた“ブラブラ感”が足りなかった。制約とコンプライアンスが増えた現代、なかなかそういうロケも難しくなっているのだろう。

 あと、番組の放送が終了しても、まだ23時だったという現実だ。この違和感がスゴい。加えて、当時は『DAISUKI!』を見て週末を感じたものだった。しかし、今回の復活SP放送の翌日はまだ木曜という事実。「もう、明日は休みなんでしょ?」と、妙な勘違いを起こしてしまいそうだった。

 ただ、「進行=中山、ボケ=松本、天然=飯島」というトライアングルは、当時とまるで変わっていなかった。そこは、やはり胸アツだ。ロケができるタイミングに復活SPが作れて、良かったと思う。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2022/08/12 11:00
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