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バカリズム、ピン芸人は「地獄」で「一番美しい」 一方その頃、永野はブックオフで…

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『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日系)公式Twitter(@iwakurayosizumi)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(8月21~27日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

バカリズム「1人が一番美しいんですよ」

 ピン芸は難しい、とよく言われる。ピン芸人自身がそう語ることもある。漫才やコントも「このネタを面白いと思うかは人それぞれ」と言われることがあるけれど、ピン芸は特にそういう評価が多いようにも思う。

 芸人がどういう意味で「難しい」と言っているのかはわからない。けれど、ネタの見方を固定するのが難しいからだろうかと思ったりする。ボケ役とは別に、そのボケにツッコんだり戸惑ったりする人がいると、見る人は「あぁ、ここで笑えばいいのだな」とわかる。ネタの見方が一方向に定まる。そういう人がいないピン芸は、そもそもどこを笑えばいいのかがわからなかったりすることが起こる。だからネタの面白さは人それぞれの好みと言われることも多いのだろう。

 そんな「ネタを面白いと思うかは人それぞれ」と言われがちなピン芸人のなかで、例外的な存在がバカリズムだ。彼はお笑いにさほど興味がない人も含めた多くの人に、ネタが面白い芸人として受け止められているように思う。そんなピン芸人はあまりいない。そんな彼は言う。

「1人が一番美しいんですよ」

 26日の『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日系)での発言だ。一般的に、ピン芸は難しいと言われる。そんなピン芸を、彼は一番美しいと語る。

 彼には、ネタを一緒につくってくれる作家、いわゆる“座付き作家”がいない。ネタづくりも、練習も、基本的にすべて1人でやっているという。ピン芸人のなかにも誰かとネタをつくったり、ネタのアドバイスを作家にもらっている人も少なくないはずで、そういう意味でいえば、バカリズムはピン中のピンと言えるかもしれない。

 自分で全部やる。相談相手もいない。そんな彼は、単独ライブは「地獄」だと言い、「1回も楽しいと思ったことない」と語る。

「ネタを現役でずっとやってる人たち同士で、なんとなくやっぱあるじゃないですか。『単独ライブやってて』っていう。でも俺のなかでは『つってもお前ら座付きいるし』っていうのがあるんですよ」

 そんなバカリズムが、同じピン芸人として悩みを抱える吉住に「個人的な好みかもしれないですけど」と前置きしながら言ったのが、「1人が一番美しいんですよ」である。

「(1人が)一番笑いが立体的なんですよね。コンビってどうしても平面になるんですよ、笑いが。ここの(2人の)やりとりになっちゃうから、どうしても。漫才もそうだし。でもピンは全方向だから、作品としての美しさがある」

 なるほど、ピン芸は難しい。観客の見方を固定できないから難しい。ネタの面白さは見る人次第、人それぞれだったりもする。ただ、一方でそれは、広がりを意味しているのかもしれない。2人のやりとりに閉じないピン芸では、1人と世界との対峙が描かれる。0次元の奥行き。バカリズムの言葉を借りれば、それは「全方向」で、「立体的」で、「美しい」。彼の前では、ピン芸の難点は美点にひっくり返る。もちろん、「地獄」な作業と引き換えに。

 バカリズムは、ピン芸が一番美しく、人数が増えるごとに「ダサくなる」とも言った。そしてそのあと「いま、芸能界のコンビとトリオを一斉に敵に回したと思うけど」とうそぶいた。それに対する吉住の応答は、「でも、1人の女が救われたので」。そんなやりとりもまた“美しい”と感じた。

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