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山田涼介と門脇麦の演技合戦! 『しんぼく』原作エピ省略&改変でどこまで盛り上がれるか

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ドラマ公式サイトより

 Hey!Say!JUMP・山田涼介主演のフジテレビ系水曜ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』の第5話が11月2日に放送された。主人公・浦島エイジ(山田涼介)の恋人である雪村京花(門脇麦)の衝撃の告白を中心に展開したが、その”サイコパス”ぶりに情報処理と感情が追いつかない視聴者が続出したようだ。

 累計発行部数130万部を超える同名マンガを原作とする本作は、15年前の猟奇的な連続殺人事件「LL事件」の容疑者・八野衣真(早乙女太一)が実の父親であることを隠して生きてきた大学生・浦島エイジが主人公の二重人格サスペンス。

 畑葉子(浅川梨奈)という女性が殺害された事件の容疑者として警察に疑われたことなどをきっかけに、自身が二重人格であると気づいたエイジ。もうひとりの自分を「B一(ビーイチ)」と名付けたエイジは、B一が畑葉子殺害事件に絡んでるのではとにらみ、半グレ集団「SKALL(スカル)」に接近する。スカルが運営する売春クラブ「ALICE」で葉子と共に働いていたナミ(川栄李奈)の協力を得、葉子の最後の客である帝東大学教授・白菱正人(佐野史郎)のもとへ。白菱はB一、葉子と共謀し、スカルを潰すため、スカルが暴力団との取引で支払うための6000万円をB一と白菱で強奪したと話す。エイジは、B一が心療内科で二重人格の治療を受けていたことを知り、さらにそこでなぜか恋人の京花の姿を見つけ、動揺。そして京花が、5歳のときに公園でホームレス生活をしていたところを児童養護施設に引き取られたという衝撃の過去を抱えていたことを知り、エイジは「君のことを助けてあげたい」と京花に告げる。エイジの言葉に喜ぶ京花だったが、次の瞬間、誰が畑葉子を殺したのか「全部教えてあげる」と言い出すのだった――。

明かされた雪村京花の“もうひとつの顔”

 エイジは、京花に連れられて古い団地の一室を訪れる。そこは、かつて京花が家族と暮らしていた部屋だったが、京花が「生まれ育った場所」だと指をさしたのは押入れ。京花は母親から虐待を受けていたのだ。母の言いなりの父も、優秀で母に愛されている姉も、京花への虐待を無視し続けてきた。そんな地獄のような日々を変えたのがLL事件だった。売春をしていた姉はLLに殺され、ショックを受けた母は後を追った。そうして京花は公園で保護されたのだという。

 LLが自分を地獄から救ってくれたのだと思い込み、LLを崇拝する京花は、その息子であるエイジに近づくチャンスをずっとうかがっていた。偶然知り合ったわけではなかった。そして京花が自分の恋人になった理由は「LLの息子だから」だった。さらに、2カ月前から二重人格のことに気づいていた京花は、B一のこともとっくに知っていた。京花が心療内科にいたのも、B一の治療に探りを入れるためでしかなかった。

 B一が畑葉子と会っていることを知り、売春をしている葉子をLLのように殺すのだと高揚した京花だったが、B一が葉子に危害を加える気配がないため、「私のお父さん」に調査させたという。それが葉子の最後の客だった白菱正人だった。「実は私たち、血のつながった本当の親子なのでした~」と明るく言って京花が開けた押入れの中には、行方不明になっていた白菱の変わり果てた姿があった。

 京花は白菱の奴隷気質に目を付け、母親のように白菱を支配していた。まずは白菱を葉子の客にし、葉子を経由してB一と接近させた。それでもB一の本心がいつまでも聞き出せないため、業を煮やした京花は直接B一と対面。そこでB一に葉子を殺すつもりがないことを知った京花は憤慨し、「目を覚ましてあげよう」と、白菱と合流した葉子を監禁し、白菱にLLのやり方を真似て拷問させ、殺害したのだった。白菱はその後、自ら命を絶ったという。

 衝撃の告白に呆然とするエイジに「はい、証拠」と、葉子のもう片方の耳を見せる京花。エイジのポケットの中に葉子の片耳が入っていたのは、「私からエイジ君へのプレゼントだったんだぞ」と自分が仕込んだものだと明かす。すべての罪を白菱に被せるつもりの京花は、「あ、LL模倣事件なんだから、最後は焼身自殺に見せかけたほうがいいのかな。ねえ、どう思う、エイジ君?」と楽しそうに語りかける。一方、エイジは信じられないと混乱する。

 京花は「どうしてもB一君にLLの後を継いでほしかった」ものの、拒否されたと明かす。「エイジ君はどうかな?」と期待の眼差しで問いかける京花。たまらずエイジは「LLの後なんて継ぐわけないだろ!」「君は完全にどうかしてるよ」と告げる。「私がエイジ君とB一君のためにここまでしてあげたのに、どうしてわかってくれないの!」と感情的になる京花だが、エイジは「違う! 僕のためじゃない。全部自分のためだ」と指摘し、「もう僕は君の力になれない」と伝える。すると京花は、エイジを優しく抱きしめ「そっか……わかった。わかったよエイジ君。私……今からエイジ君を殺すね」と不敵に微笑む。

 一方、刑事の桃井薫(桜井ユキ)らは、ナミ(川栄李奈)が提供した情報から白菱に疑いの目を向け、白菱が以前住んでいた団地を最近になって買い戻したと知り、部屋に踏み込む。するとそこには血を流して倒れている京花と、手にナイフを持ったエイジの姿が。エイジはナイフを持ったまま、ベランダから飛び降り逃走する。

 白菱が死に、京花が重傷というテレビの速報を見てナミはエイジに電話する。エイジに助けを求められ、車で駆けつけるナミ。エイジを車に乗せて事情を聞くが、エイジは「僕は何もやってないんです!」の一点張りで、早く車を出すようしつこく求める。それでもナミが繰り返し警察に行くように勧めると、エイジの表情が一変。ナイフを突きつけ「とっとと車出せ」と脅す。B一がエイジのフリをしていたのだった。

 B一の指示通りに車を走らせたナミは、「今日何があったの?」と訊ねる。だが、B一は「俺に何を聞いても無駄だ」という。B一に人格が交代した時、すでに京花は血まみれで倒れており、B一の手にはなぜかナイフが握られていた。エイジのときの記憶がないB一には、何が起こったのか把握できていなかった。「あの女を刺したのは俺じゃない」と言うエイジ。エイジがやったと言いたいのかと憤るナミは、「エイジは絶対に人を傷つけたりしない」「ホントはあなたなんでしょ? あなたがやったんでしょ?」と言い、「あなたのせいでエイジの人生、めちゃくちゃじゃない」と嘆く。すると「どうでもいいだろ、あいつの人生なんて。そもそもあいつは存在しない人間なんだ」と答えるB一。後から生まれた人格は“B一”ではなく、“浦島エイジ”こそが15年前にB一が生み出した別人格なのだと告げ、「なぜエイジが生まれたのか」を語ろうとするところで第5話は幕を閉じた。

門脇麦と山田涼介の芝居合戦

 第5話で象徴的な存在となったのは、やはり京花だろう。過去のすさまじさもさることながら、LLを崇拝し、「LLの息子」という理由だけでエイジに着実に近づいていったその”正体”。可愛い恋人のイメージを完全にひっくり返した。さらに、自分がやったことを嬉しそうに、明るく報告する京花。演じる門脇麦の演技について「優しく穏やかに狂っている」と、多くの視聴者が恐怖に震え上がった。今年1月期放送の『ミステリと言う勿(なか)れ』(フジテレビ系)では二重人格の役を演じていたことが記憶に新しいが、こちらは別人格ではなく、別の顔。門脇はさすがの演技で京花の二面性を体現してみせた。

 また、ナミの車の中でエイジからB一になった瞬間の”人格交代”シーンの山田の演技力にも絶賛の声が上がった。特にこの第5話では、エイジとして京花の告白に絶望し、涙する場面もあったため、見事な対比ともなっている。第5話は大半が門脇と山田の2人だけの場面であり、2人の名演が第5話を引っ張ったと言っても過言ではないだろう。

 しかし気にかかるのは、原作エピソードをかなり省略してきた点だ。今回の第5話は原作の4巻ラスト~5巻序盤にあたる。全11巻の原作マンガを全9話にまとめるにあたり、話が飛ばし気味になるのは致し方ないところか。そのぶんスピード感ある展開にはなっているが、はたしてうまくまとまるか。このドラマは、主にナミの部分で原作から設定・ストーリーが大きく変わっている部分もあり、これが結末にどう作用するかも気になるところ。

 SNS上では「まるで最終回?」と声が上がるほど怒涛の展開だった第5話だが、今夜放送予定の第6話からは「復讐編」と題された新章が始まる。残すところあと3話。ジェットコースター的な展開に振り落とされないよう、注意して観たいところだ。

■番組情報
水曜ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて
フジテレビ系毎週水曜22時~
出演:山田涼介、川栄李奈、門脇麦、尾上松也、早乙女太一、髙嶋政宏、桜井ユキ、佐野史郎、遠藤憲一 ほか
原作:井龍一・伊藤翔太『親愛なる僕へ殺意をこめて』(講談社ヤングマガジン刊)
脚本:岡田道尚
音楽:☆Taku Takahashi(m-flo)
主題歌:Hey! Say! JUMP「ウラオモテ」
プロデュース:草ヶ谷大輔
総合演出:松山博昭
制作・著作:フジテレビ
公式サイト:fujitv.co.jp/shinainarubokue

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/11/09 12:00
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