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フジ『ばらかもん』は原作“改悪”ドラマに? 「主人公の年齢変更」「田中みな実が…」

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ドラマ公式サイトより

 杉野遥亮主演のフジテレビ系水曜ドラマ『ばらかもん』が12日に放送スタート。初回は世帯視聴率5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、今期の民放ゴールデン・プライム帯ドラマの初回としては現状、『転職の魔王様』(カンテレ制作・フジテレビ系)の5.4%に次ぐワースト2位の成績となる、厳しい滑り出しとなった。

「昨年4月に間宮祥太朗主演の『ナンバMG5』で久々に復活したフジの水10ドラマ枠ですが、やはりこの時間帯の世帯視聴率はテレ朝の『報道ステーション』が強いうえに、日テレのドラマ枠にぶつかっていることや、TBSの『水曜日のダウンタウン』もあるため、難しいですね。とはいえ、昨年10月期の『親愛なる僕へ殺意をこめて』や今年1月期の『スタンドUPスタート』のように初回4%台とはならなかっただけに、健闘したとはいえそう」(テレビ誌記者)

 日本テレビの水曜ドラマ枠は今期、赤楚衛二主演の『こっち向いてよ向井くん』。奇しくもイケメン主演による人気マンガ原作ドラマ対決となり、「どっちをリアルタイムで観るか」と頭を悩ませる視聴者も出ているようだ。

「しかも『向井くん』のほうには前期のフジ水10『わたしのお嫁くん』で主演した波瑠がメインキャストで出ていますからね(笑)。『向井くん』も初回6.0%と厳しい立ち上がりですが、TVerのお気に入り登録者数は19日12時時点で『向井くん』が53.1万、『ばらかもん』は43.1万と10万もの大差がついている。15日0時時点では『向井くん』が43.7万と『ばらかもん』は34.6万だったわけで、差が広がってしまっていますが、それは作品の内容の評価の現れでしょう。初回放送の段階では、視聴者の間ではおおむね『ばらかもん』より『向井くん』のほうが支持されている印象です」(同)

 いったい『ばらかもん』の何がよくなかったのか。

「まず単純に、『ばらかもん』は2014年に日本テレビ系でアニメが放送されており、こちらの評判がよかっただけに、比較されやすい。この作品は、書道家の青年・半田が五島列島で過ごす中で精神的な成長を遂げ、それが書にも現れる……というのが大筋で、長崎県・五島列島を舞台に個性の強い島民たちとの交流がメインの青春コメディ。特に半田と、地元の小学1年生の女の子・琴石なるの交流が鍵となるのですが、アニメ版は五島出身の声優が方言監修も務め、当時11歳の子役が見事な五島弁を聞かせたものです。しかしドラマ版は、なる役の女の子を始め、一部の俳優が方言をあまり使わない。特になるは重要なキャラクターなので、ドラマは7歳の女の子が演じているので致し方ない部分もあるとはいえ、『なるが方言しゃべらないの違和感』『方言がいまいち……』といった声が出ていますね。NHKの朝ドラ『舞いあがれ!』で五島も舞台になったばかりなだけに、『舞いあがれ!』と比較する声も少なくありません」(同)

 さらに原作改変要素も失敗だと指摘されている。

「半田は書道界の重鎮からの酷評を受けて公衆の面前で逆ギレしたり、なるに自分の文字について気にしていた部分を指摘されたことで激怒したりと、特に序盤は精神的に未熟なことがうかがえるキャラクターなのですが、原作ではまだ23歳の設定。しかしドラマでは演じる杉野遥亮の実年齢に合わせたのか、27歳ということになっている。演出上でも半田の“子どもっぽさ”があまり視聴者に伝わらなかったようで、突然キレだす半田のシーンについて『情緒不安定すぎない?』『あんな大きな男の人にいきなり怒鳴られたら子どもはトラウマになるよ』などと言われてしまうことに。今後、島の子どもたちと同レベルで張り合う場面が出てくれば、もっと伝わるでしょうけどね……」(同)

 主人公の年齢以上に物議を醸しているのが、田中みな実演じる育江だ。

「原作では河本育江という名前で、既婚者の看護師ですが、大して出番はない。しかしドラマでは久保田育江という名前になっており、なるの親友・陽菜(ひな)の母親でシングルマザーという設定に変更。東京で働いていたが島に戻ってきており、半田のよき理解者になるという設定も加わっていて、明らかに田中みな実の出番を増やすための改変とみられますが、『田中みな実のナース姿は眼福』『田中みな実様が看護師って夢詰まりすぎ』と喜ぶ声がある一方、『ひなの母ちゃんって設定いる?』『ほとんど出番ないキャラなのに』などといった意見も。特に不安視されているのが、原作に存在しない恋愛要素が盛り込まれるのではないかという危惧ですね。フジテレビは昨年の月9『ミステリと言う勿れ』でも、原作マンガにはない恋愛要素を雑に付け加えたことで非難されていただけに、田中みな実が恋愛要員になるのではと原作ファンは戦々恐々としているようです」(同)

 主題歌が都会的なイメージの強いPerfumeということにも疑問の声が上がっているドラマ版『ばらかもん』。はたしてここから支持を伸ばしていけるだろうか……。

宇原翼(ライター)

雑誌、ウェブメディアの編集を経て、現在はエンタメ系ライター。

うはらつばさ

最終更新:2023/07/19 19:00
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