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ファンク研究家が語る.ENDRECHERI.最新作『Super funk market』

.ENDRECHERI.最新作『Super funk market』から“ファンクマスター”堂本剛の現在地を探る

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.ENDRECHERI.『Super funk market』

 サブスクリプション型音楽配信サービスで音源が解禁され、国内外から注目を集めている堂本剛のプロジェクト「.ENDRECHERI.」。今春にはジョージ・クリントンとの共演も実現させた彼が、2年ぶりのニューアルバム『Super funk market』をデジタルリリース。全22曲収録のこの大作を、ファンク研究家・Dr.ファンクシッテルーさんはどう見るか。

”ファンクマスター”堂本剛による「.ENDRECHERI.」

 堂本剛は”ファンクマスター”である。

 ファンクとは何か? それは1960年代に誕生したブラックミュージックにして、一度耳にしたら踊り出さずにはいられない、最強のダンスミュージックだ。そして、堂本剛はそれを深く愛する者なのである。

 もちろん、ただ愛しているだけでは「マスター」とは呼ばれないだろう。その呼称が成立しているのは、彼が長年の努力の果てに、文字通りファンクを「マスター」していると言えるところまで到達しているからだ。

 彼は自らファンクを作詞作曲するだけでなく、歌い、ギターやベースも弾きこなす。Kinki Kidsで歌っている堂本剛の姿からは想像もつかないが、驚くべきことに彼のファンク・ギターやベースの腕前はもはや、一流のスタジオミュージシャンと同等のレベルに達しているのだ。

 何十年にもわたる鍛錬によってファンクをマスターした男、それが堂本剛であり、そして彼のファンク・プロジェクトが「.ENDRECHERI.」なのである。

 現在、.ENDRECHERI.は日本を牽引するファンク・アーティストとなり、世界にその名声が届き始めている。昨年初頭にはファンク専門の米音楽メディア「Funkatopia」が選ぶ「2021年のファンク・アルバムベスト20」に、.ENDRECHERI.のアルバム『GO TO FUNK』が選出された。

 また堂本剛は今年の5月13日、『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023』にて憧れのファンク・レジェンド、ジョージ・クリントン(P-Funk)のステージにギターでゲスト参加を果たした。この共演によって彼はジョージが認めた「P-Funkの一員」になり、名実ともに世界的なファンクマスターになったとも言えるだろう。

“デジタルアルバム”の『Super funk market』とは

 そんな.ENDRECHERI.が約2年ぶりにリリースしたフルアルバム、それが『Super funk market』だ。今作は、堂本剛のシンガーソングライター20周年を記念した活動の総決算でもあり、また彼にとって、リリース日にデジタルのみで発表された初めてのアルバムとなった。今後CDでのリリースが予定されている可能性もあるが、デジタル先行で発表されたのは、.ENDRECHERI.のアルバムが広く世界中で聴かれることを強く意識しているからではないだろうか。

 また、タイトルに関しては本人の口からその意味が語られている。

 

僕にとって「funk」とは、「自分の命の匂い」。「funk」をプンプンさせている人が集まっている場所、という意味で「Super funk market」というタイトルに決めました。日本、地球…規模が大きいほどその平和なエリアが広がっていくイメージ。まずは自分だけからでもいい、友達や家族、どこでだってマーケットを作り繋げていくことが出来る。自分を生きる、そんな決意表明をしている人たちとこの人生で出会って欲しい。
(.ENDRECHERI.公式サイト「Super funk market、今の想い。」より)

 音楽的にはファンクを軸に、ロック、R&B、ヒップホップなどのエッセンスが巧みに盛り込まれた.ENDRECHERI.らしい、ジャンルレスな一枚になっている。また前作『GO TO FUNK』同様、キーボード/アレンジのGakushiのカラーが強く感じられるサウンドが特徴だ。

 特に表題曲「Super funk market」などが分かりやすいが、ファンク・マナーに則りながらも一聴して.ENDRECHERI.だと分かるオリジナリティがあり、また既存のファンクの枠に収まっていない。世界レベルでも斬新な、新しいファンクの歴史を切り拓いていくアルバムではないかと感じた。

 今作は前半にファンク11曲、後半にバラード11曲という非常に豪華なラインナップ。これは前半のファンク・サイドが.ENDRECHERI.の現在地を、後半のバラード・サイドがこれまで歩んできた軌跡/奇跡を表現している。

 堂本剛は過去に突発性難聴を発症し、現在もその後遺症で音程を取ることが困難な状態が続いており、特にバラードを歌うことが難しい。そんな彼があえてアルバムの半分でバラードを歌うことに挑戦したのは、日本中の人たちがさまざまな場面で闘っていることを意識して、自身の挑戦が時代へのエールに繋がればいい、という想いがあると公式サイトで語られている

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