日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > みりちゃむ罵倒シリーズの信頼感

こっぴどい悪口から再生への啓示に至る「NOBROCK TV」みりちゃむ罵倒シリーズの信頼感

【罵倒インタビュー】東京ホテイソンはかっこいいインタビュー中に、背後のみりちゃむから罵倒されても受け流せるのか!? – YouTube

 最近、バラエティ番組でもちょくちょく顔を見るようになった「みりちゃむ」という女性がいる。本名は大木美里亜。テレビの世界では、ここ数年のブームに乗ったギャルタレントの1人といったところだろう。

 だが、みりちゃむがひときわ輝きを放っているメディアがある。テレビプロデューサーの佐久間宣行氏が運営しているYouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」だ。

 もともとチャンネル内の「口喧嘩の強いギャルを発掘する」という企画をきっかけに、同チャンネルに出演するようになったみりちゃむだったが、その対応力と語彙力はテレビの最前線で仕事をしている佐久間氏と作家陣に大いに刺さり、さまざまな企画が誕生。「罵倒ギャル」としてのキャラクターを確立していった。

 27日、そんなみりちゃむを起用した最新の動画が公開された。若手お笑いコンビ・東京ホテイソンをゲストに迎え、オシャレ雑誌風のインタビューを受ける2人を背後からみりちゃむが罵倒するという、みりちゃむの立ち回りに大きな比重のかかった企画である。

 企画のルールは、東京ホテイソンはみりちゃむの罵倒に反応せず、インタビューに答え続けなければならないというもの。背後からはみりちゃむの罵倒、目の前には女性のインタビュアーが質問を投げかけてくるという状況だ。

 質問に対し、ショーゴが調子よく答えている途中で、さっそくみりちゃむが口を開く。

「偉そうだな、この2人組。M-1最下位のくせにね!」

 その一言で言葉を失ってしまう東京ホテイソンに対し、みりちゃむは途切れることなく背後から罵倒の言葉を浴びせ続ける。その間、約30秒。試してみるとわかるが、30秒にわたって人を罵倒し続けるというのは、なかなかに難儀である。

 その後も絶妙なタイミングで強烈な罵倒ワードを繰り出すみりちゃむ。東京ホテイソンについて下調べを尽くした形跡も見えるし、目が泳いでいるツッコミのたけるを即座に「おさかなツッコミ」と名付けて展開を作ったりもする。

 さらに、インタビュアーの女性の席を奪い、東京ホテイソンの目の前に陣取ると、攻撃の手を強めていく。恐ろしいのは、その発言のすべてが理に適っているし、芯を食っていることだ。

 さらに、みりちゃむのたけるに対する「おまえは芸能界で一番、何もしてない」というこっぴどい悪口に、ショーゴが「それは俺も言ってる」と同調すると、みりちゃむはターゲットをたける1人に絞り、集中攻撃。ショーゴに解散を提案し「おまえはまだ伸びるぜ」と言いだす。これに泡を食ったたけるが「いや、ショーゴの才能はここがマックスだ」「これ以上は俺らには無い」「ショーゴは1人じゃ無理だ」と言い出すなど、カオスな展開となった。

「ツッコミ間違いも、確かにたけるは多い。それもたけるの良さなんだよ。こいつの良さは、できないこととかできることを全力でやって、笑われることがたけるの良さなんだよ」

 ショーゴが、みりちゃむの目を見て話している。だが、それは相方に対するメッセージだ。

「初めて言うけど。もっと伸び伸びやってくれ。おまえを見せてくれって」

 たけるの目が潤んでいる。ついさっき、「ショーゴの才能はここがマックスだ」と口を滑らせた自分の失言を、ほかでもないショーゴが肯定しているのだ。東京ホテイソンというコンビが、企画の前後で、ほんの少しだが形を変えているのだ。

 みりちゃむ罵倒シリーズでは、こういうことが起こるのである。みりちゃむの罵倒はいつしか説法になり、再生への啓示となっていく。偶然ではない。アンジャッシュ・渡部建の回でも、TKO・木下隆行の回でも、同じことが起こっている。罵倒を受けた側が、本当に必要としていた言葉を、図らずもみりちゃむから与えられている。

 佐久間氏もみりちゃむ自身も、そこまで意図しているわけではないだろう。意図していないことが時おり再現されてしまうのだから、やはりこのシリーズからは目が離せない。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/12/28 19:00
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed