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『ブルーモーメント』最終話 「台風の目の中をヘリで飛ぶ」というアイディアだけで勝ち確です

山下智久(写真/Getty Imagesより)

 気象学の天才・ハルカン(山下智久)をリーダーとする特別災害対策本部「SDM」が自然災害に立ち向かい、人命救助に奔走するドラマ『ブルーモーメント』(フジテレビ系)も最終回。未曾有の巨大台風が上陸した東京を舞台に、SDMの活躍が描かれました。

 このドラマの魅力は、なんといってもスペクタクルとしての救出劇の演出でした。第1話と第2話で盛大にブチかました雪崩からの手に汗握る救出劇のイメージそのままに、途中いろいろあったけど、勢いを保ったまま最終回までこぎつけたと思います。

 さて、最終回。ほしいのはやっぱり救出劇の迫力と緊張感、そしてSDMのチーム感でしたが、これはなかなかでしたな。振り返りましょう。

■アイディアとして驚かせてくれた

 風速70メートル毎秒というすんごい突風にあおられて、吹き飛ばされてしまったSDMの指揮車両。その中には、一般のお子さん2人とハルカンの助手・雲田(出口夏希)が閉じ込められています。

 横転した車両の上には、一部が崩壊したビルのガレキ。救助は一刻を争いますが、そもそも現場に近づくことすらできないSDMチーム。ここで天才ハルカンの天才頭脳が弾き出した作戦は、「台風の目の中をヘリで飛ぶ」というものでした。

 いいなぁ、と思ったんです。いいアイディアだなぁと。

 もちろん、それが雲田たちを助けるために最善のアイディアだと思ったわけではありません。筆者は気象学の天才ではありませんし、現場の気象状況について分析したわけでもない。ただ、「台風の目の中をヘリで飛ぶ」って、ステキなアイディアだと思ったんです。

 思い出したのは映画『インターステラー』(14)で、宇宙空間の中を高速で回転しながら浮遊している母船にドッキングしたい主人公・クーパーが、「回転を合わせろ」と言ったシーンです。自分が乗っている着陸船を母船とドッキングさせるために、コントロールを失って暴走する母船に「回転を合わせる」。なんてステキなアイディアなんだと感心した覚えがあるんです。

 どう考えても無理じゃん、という状況を提示しておいて、見ている側が納得できる、かつ「なんかすごいことやりそう」な感じを出しつつ、「これって天才ならではのアイディアだよな」感も醸し出している。

「確かにそりゃできればすごいけど、そんなの無理だろ、いや彼らなら……!」という、その感じ。

 この一連の救出劇は、原作にはありません。完全にドラマのオリジナルです。このドラマを作っている人たちは、明らかに「救出劇っておもしろいよな」と思っていて、語るべきメッセージや防災についての啓蒙意識とは別のところで、「おもしろドラマ」を作ろうとしている。そういうことが感じられて、ステキだなと思ったわけです。

 吹き荒れる台風と、目の中に入って空が晴れ渡った瞬間のコントラスト。わずか27分という救助可能時間とのせめぎ合い。そういう見どころとなりそうなシーンを存分に描き切ったとは思わなかったけれど、「台風の目の中をヘリで飛ぶ」というアイディアだけで満足だったね。いやぁ、いいと思う。

■「個人からチームへ」の功罪

 原作ではハルカンのワンマン組織だった「SDM」に、各担当者が加入してチームとなったのが、今回のドラマの大きな改変点でした。

 それがよかったか悪かったかでいえば、両方あったと思うんです。特に、チーム内に死者を出すことで展開を作るという作業をクール後半に持ってきたことで、本来の哲学がめちゃくちゃブレた部分はありました。

 一方で、医療班の夏帆や警察班の橋本じゅんがSDMに加入し、力を発揮していくプロセスはすごくよくできていて、最初は「この人、SDMにとって邪魔になるんじゃない? 有害になるんじゃない?」というイメージで登場させておいて、その性根を描くことで戦力になっていく様子は感動的でした。

 そして最後には、めちゃくちゃ険悪な出会いだったハルカンと雲田が、いい感じに収まっていく。

 総じて、『ブルーモーメント』は勝ったと思います。6話から9話にかけてはあんまり乗れなくて文句もたくさん書いたけど、最終的には勝ったと思う。おつかれおつかれ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/06/27 14:00
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